相模原市障害者施設殺傷事件の判決を受けて
障害のある方々が犠牲になった相模原市の障害者施設殺傷事件について、本日、横浜地裁は被告人に対して死刑を言い渡しました。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、お怪我をされた方々、ご家族の皆様に改めてお見舞い申し上げます。
被告人は「意思疎通できない重度障害者は生きる価値がない」と公言しています。この主張によれば、介助者がおらず機器がなければ言葉を出せない以上、被告人に殺されたのは私だったかもしれません。私は政治家になる前から、「命の価値は横一列」であることを強調してきました。命の価値に序列をつけ、凶行に及んだ被告人を到底、許すことはできません。
ただ一方、被告人の罪を裁くだけで、この事件、すなわち障害者への差別、命の選別という問題が解決する訳では決してないと考えます。
私自身も障害者療護施設の入所時、職員から虐待を受けたことがあります。入所施設は、職員と障害者の間に「上下関係」が起こりやすい環境です。重度障害者は当事者の実感として、生きてゆくことも、容易ではありません。施設に入る位の障害を持つ人なら、どの障害であっても、介助者によるケアを必要とします。このことによって、見えない「上下関係」が固定化してしまうのです。
その施設に入所していた際、「おれのケアがなければ、舩後は生きてゆけないよ」と言った介助者がいると、その同僚が教えてくれました。これが、前述した見えない「上下関係」の実例であり、それを介助者に感じさせてしまうのが、施設という閉鎖空間の特徴なのです。加えて申し上げるなら、これこそが、入所した者でないと言い尽くせないことと、私は確信しています。
結果として、被告人のような「重度障害者は、生きている価値がない」と偏った思想を生んでしまう土壌になってしまうのではないかと考えています。施設という場所は・・・。申し上げるまでもなく、これは「やまゆり園」だけの例外的な問題では決してありません。
裁判が一つの節目を迎えたことを機に、改めて、命の価値に序列をつけず、誰も排除しない社会をつくるためにどうしたらよいか、皆様と一緒に考えてゆきたいと思っております。
最後に、「命の価値は横一列」をこれからも私は、主張し続けてまいります。
参議院議員 舩後 靖彦