東日本大震災と福島第一原発事故から10年を迎えて

東日本大震災と、福島第一原発の事故から10年となりました。お亡くなりになられた方を心からお悔やみ申し上げます。また、避難生活を続けておられる方々に心からお見舞い申し上げます。また、今も行方が分からない方を待つご家族が再会できることを心から願います。

震災当時、私は千葉市の障害者療護施設に入居していました。そこの職員たちも、動揺はかくせない様子で、ナースコールを鳴らしてもすぐこない。来たとしても、気の荒い介護士ともなると、私が依頼したことが、(推測ですが)たいした事ではないと思った途端、ベッド脇の机を激しく蹴とばされたこともありました。

こうした私自身の体験からすると、震源地に近い地域ですごしておられた方、職員の方はもちろん、遠く離れた地にある多くの方、福祉施設の職員方々にも、混乱が生じていたのではないかと想像しています。

震災後も今にいたるまで、各地で地震・水害が続いています。つい1か月前の2月13日にも福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が起きたばかりです。災害列島で暮らす私たちにとって、防災・減災対策はいのちを守るために欠かせない取り組みだと考えます。

私は、重要政策の一つとして、「災害時要配慮者等を置き去りにしないインクルーシブ防災の推進」を掲げています。NHKが2012年に行った調査によると、東日本大震災における障害者の死亡率は、住民全体の死亡率の2倍となっていました。また、環境の激変と他人との共同生活への適応が難しく「周囲に迷惑をかける」「ここでは生活できない」と、多くの障害者が避難所での避難をあきらめざるを得なかった現実があります。

災害時に特に支援を必要とする「避難行動要支援者」について、国の指針では個別の避難支援計画策定が求められていますが、2019年6月時点で作成が完了した自治体は12.1%にとどまります。全身まひで人工呼吸器がなければ生きられない私も「避難行動要支援者」の一人です。決して他人事ではありません。誰一人取り残されず、安全に避難し、生活できる環境づくりのため、国会議員として心血を注ぐ所存です。

さらに、こうした「インクルーシブ防災」の実現のためには、普段から障害や難病のある人が当たり前に地域で暮らし、かかわる環境づくりが欠かせません。幼いころから地域で、ともに学び育つインクルーシブ教育、重い障害や病気があっても一人暮らしができる地域づくりを実現することが、インクルーシブ防災の土台となります。

これからも、被災者、避難者の方々の声を受け止め、取り組んでまいります。

2021年3月11日 れいわ新選組 参議院議員 舩後靖彦