2021年8月30日 介護保険に関するオンライン懇談会に出席

8月30日18時30分から開かれた「何とかしよう!介護保険 8・30オンライン懇談会」に、舩後ふなごがオンラインで出席し、党を代表して発言しました。

発言内容は以下の通りです。

「なんとかしよう!介護保険 8.30オンライン懇談会」にお集まりの皆様、こんばんは。れいわ新選組・参議院議員の舩後靖彦でございます。

コロナ禍の介護現場で、介護や支援の必要な高齢者の日々の生活を支えていらっしゃる介護従事者の皆様、利用者、家族の皆様、行政の皆様、日頃のご活動に心より敬意を表します。

私は2000年に全身麻痺になり、寝たきりとなるALSを発症しているとの診断を受け、2002年に胃ろうを造設。そして、同年から人工呼吸器を利用しております。寝たきりとなり、24時間の介護と医療的ケアが必要となったことは厳然げんぜんたる事実です。障害福祉サービスの重度訪問介護と介護保険の訪問入浴サービスに加えて、医療保険から訪問看護サービスと往診を受けているものである国会議員としての活動の中で、当事者目線の政策を提言してまいりました。

本日の懇談会「呼びかけ」の要旨にもありますが、介護保険制度が発足して20年がたち、今まさに制度の抜本的改革をするときと、私たちれいわ新選組もとらえ、提起しております。

2000年に「介護の社会化」をうたって発足した介護保険制度は、この20年間の度重なる制度改悪により、給付抑制、保険料負担・利用者負担の増加、報酬改定による事業所経営の悪化、何よりも劣悪な労働条件と低賃金からくる介護人材不足が重なり、保険負担はあっても必要な支援・サービスが使えない制度になっています。

そのため周知のこととして、家族を介護するために仕事を辞める介護離職者が年間10万人近く存在し、若年介護者は仕事に就く機会を失したまま、社会的孤立の中にとめおかれています。

さらに新型コロナウイルスのパンデミックによって、介護現場における構造的人材不足、利用者・介護労働者双方にとって安全・安心を維持するための検査体制。そして、ワクチン優先接種体制整備の遅れ、必要な物品の不足など、多くの課題が顕在化しました。「危険手当」等の一時しのぎの施策でなく、人口減少と超高齢化に対応した持続可能な介護政策が今こそ必要と考えております。

2040年には団塊ジュニアと就職氷河期世代の一部が高齢者となり、65歳以上が4000万人に達する見込みです。その中で非正規・不安定雇用の世代が、社会保障の枠組みから取りこぼされたまま高齢化する可能性があります。さらには世帯の45%がひとり暮らしになり、世帯の高齢・単身化が進み、必要な介護・支援を受けられず、孤立化が深刻化することが予想されています。

そこで、れいわ新選組は、介護保険制度を一人暮らしの要介護高齢者を支えられる持続的制度にするために、短期的に次の見直しを提案しております。以下、紹介させて頂きます。

1、保険料を上げずに、制度の充実と財政基盤の安定化を図るため、国庫負担の割合を50%に増やし、保険料の負担割合を50%から25%に引き下げます。

2、 「要支援1,2」を保険給付から外し「介護予防・日常生活支援総合事業」に移した改悪を撤回させ、保険給付に戻します。

3、 「要介護1、2」の保険給付はずしに反対します。2021年4月には要介護1~5までの要介護認定者を、市町村の総合事業の対象者にすることを可能にしました。人材不足が長期化するなか、ホームヘルプ、デイサービスの指定事業所の確保が危うくなれば、要介護の人に対して「総合事業」で代用することに道をひらくことにもなりかねません。これは介護保険制度の崩壊ほうかいを決定づけるもので断固反対し、元に戻します。

4、介護保険のサービスには、趣味など本人が自由に使える部分がなく、本人の生活を充実させる仕組みにはなっていません。見守り等を含め必要な時に必要な時間を保障する態勢をつくります。

5、一定の所得がある高齢者の利用料負担を2~3割に引き上げることは廃止し、原則1割に戻し、低所得者の利用料免除・減免を制度化します。

6、介護報酬の抜本的引き上げを行うとともに、離職理由の一つである賃金面での待遇改善のため、一時的な「待遇改善加算」でなく、公費(税)で、介護職員の恒常的こうじょうてき賃金ボトムアップを図ります。

7、自治体の福祉職を増員し、公務員ヘルパーを復活させます。今回のコロナ禍において、介護現場で職員、利用者の感染クラスターが発生した場合、事業所・法人内での対応に任され、介護従事者に過重な負担が強いられました。民間事業者だけでは必要なサービスの量と質がまかなえない事態や過疎かそ地域、多重問題を抱えた利用者への対応のため、措置時代のように市区町村で公務員ヘルパーを常駐させます。

8、静岡県富士宮市で行われているように、介護、健康福祉、虐待防止、権利擁護など、高齢者のあらゆる相談や問題に対応する「ワンストップ相談窓口」として、自治体直轄の地域包括支援センターを増やしていきます。地域のさまざまな組織や人材と連携して、包括的なサポートを自治体の責任で、効率的に行えるようにします。

9、介護の担い手不足の原因は、単に待遇面の悪さや少子高齢化のために起こっているだけでなく、幼い頃から障害や重篤な病をもつ人と分けられ、身近に接することなく育ってきたために、大人になって自分が障害者や高齢者に関わるという自然な感情が若い世代の中に育っていないことが根本原因と考えています。幼い頃から障害の有無にかかわらず共に学び育つ環境を整え、インクルーシブ教育を実現することによって、大人になってからも自然に支え合う関係をもてるようにし介護等を担うすそ野を広げていきます。

以上に加え、れいわ新選組は長期的ビジョンとして、将来的に介護保険制度は廃止し、サービスの質を担保たんぽすることを当然の前提にして、利用料の応能負担原則に基づいた税方式にすることを検討してまいります。

引き続き皆様のご意見をうかがいながら、誰もが安心して必要な介護・支援を受けられる体制整備を図ってまいりたいと存じます。共に頑張りましょう。

当日の動画も配信されています(舩後ふなごの発言は1時間33分ごろからです)。

ぜひご覧ください。