2022年11月7日 超党派・国連障害者の権利条約推進議員連盟総会で、舩後がジュネーブ出張の報告
2022年11月7日に国会内で「超党派・国連障害者の権利条約推進議員連盟総会」が開かれました。関係省庁や、2022年8月の国連障害者権利委員会による審査に参加した団体から報告がなされるなか、現地に出張した舩後も活動報告をする機会をいただきました。
報告の内容と資料は以下の通りです。
皆様 こんにちは。れいわ新選組・参議院議員の舩後靖彦でございます。報告の機会をいただきありがとうございます。
私も8月17日から25日にかけてジュネーブに行き、日本から参加された障害者団体、関係団体の皆さまと共に、障害者権利委員会による審査を傍聴してまいりました。
全身マヒで人工呼吸器ユーザー、医療的ケアが必要な障害者にとっての9日間の海外渡航。15時間の飛行機と10時間のバスでの長距離移動、坂の多い市内での移動の確保、医療機関との提携、人工呼吸器・吸引器等の医療機器とそれに付属する物品・(例えばバッテリー充電器の変圧器等)の準備等々、ロジスティック面は本当に大変で、文字どおり命がけの行為と言える経験でした。それについては、配付資料をご参照下さい。
しかし、外務省をはじめ、ジュネーブの国連代表部、経由地パリではフランス大使館の皆様のご尽力、ご高配のおかげで、トラブルを乗り切り、すべての日程を滞りなくこなすことができました。この場をお借りして感謝申し上げます。
そのような大変な想いをしてジュネーブにいったわけですが、残念ながら国会議員の私は国機関からの参加ということで、市民社会からのブリーフィング(事前説明)は、傍聴できませんでした。それでも会場前まで行って、ジュネーブに来た皆さんと交流いたしました。
市民社会からの事前の情報提供やブリーフィング、ロビーングでのインプットが功を奏して、権利委員から投げられた質問は、非常に的確かつ厳しいものでした。
しかし、これらの質問に対する日本政府の回答は、「やっています」の言い訳。制度と現実とのギャップについて聞かれているのに、制度の説明を繰り返す、論点反らしのオンパレードで、聞いていて非常に残念でした。
それらの回答のうち3点に関して、帰国後、国別報告者に・フォローアップのコメントをメールでお送りしました。詳しくは、配布した資料をご覧ください。
8月15日から9月9日まで開かれた第27回障害者権利委員会では、日本を含め8か国の政府報告審査が行われました。非常に忙しい日程の合間を縫って、市民社会との対話の時間を取り、日本の現状を的確に把握して質問をしてくださった権利委員の献身的な姿には、本当に感動いたしました。
そして、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻で燃料費や物価が高騰する中、ジュネーブに集まり、障害者の権利推進のために精力的に活動された障害者団体はじめ、多くの参加者の皆様の熱意あふれる活動に直に接し、交流できたことは、私の今後の活動の源となりました。
9月9日、日本政府に対する総括所見が発表されました。どの勧告も大切ですが、中でも、フォローアップで19条・「自立生活と地域生活へのインクルージョン」と、24条「教育」に関する勧告に特別に注意喚起しています。日本の国別報告者のラスカス委員は、「障害の有無で分離した特別支援教育は、インクルーシブな社会で暮らしていく道のりを否定し、将来、施設で暮らすことにつながる。インクルーシブ教育なくして、障害のある人の自立生活はあり得ない」と強調されました。私も全く同様に考えております。
しかしながら、文部科学大臣は9月13日の記者会見で、「現時点において、多様な学びの場において行われている特別支援教育を中止することは考えてはおりません。」と答えています。早速、文教科学委員会でこの点について質問いたしましたが、多様な学びの場に障害のある子を当てはめる分離・別学制度から、すべての子どもが共に学ぶインクルーシブ教育へのパラダイム転換を目ざすという回答は得られませんでした。
日本の障害関連法制の見直し、障害者の権利推進に勧告を役立てるために、立法府にいる議員の責任の大きさを痛感しております。私自身にとっても、勧告の履行は直接影響する問題です。今後とも、障害当事者団体、関係団体の皆様と共に、権利条約の完全実施に向けて取り組んで参りたいと存じます。
今後ともよろしくお願いいたします。