2024年6月6日 文教科学委員会質疑(専門学校生への経済的支援を)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

本日は、学校教育法改正案、いわゆる専門学校の教育の充実に関する法改正についての質疑となります。

大学との制度的公平を図るための改正内容、質の保証を図るための取組については賛同するものでありますが、今、専門学校に通う方々の現状については看過できない課題があります。多様な分野で将来を担う専門学校生が安心して学び、社会に出られる環境整備のため、以下、質問してまいります。

まず、法案の具体的な改正項目についてお尋ねします。

法案では、大学などとの制度的整合性を高めるための措置として、学習時間に関する基準を、大学、高等専門学校と同様に単位制によって定めることができるとしています。この単位制法定化により、大学と専門学校の間での学生の移動の円滑化が進むことが期待されています。大学や大学院でもっと学びたい、高度な研究をしたいと望む専門学生にとって選択肢を広げることにもつながり、改正内容については賛同いたします。

一方、そうした専門学生を支える基盤、環境については十分とは言えません。調査を見ると、専門学校から大学への編入学者は令和四年で2186人、短大4366人、高専2471人と比較しても多いとは言えない現状です。

専門学生にとって選択肢を広げるため、編入学したい学生を支えるための仕組みが必要ではないでしょうか。相談体制などの仕組みを構築するため、国としても取り組んでいくべきではないでしょうか。単位制への転換を機に国としてどのような取組を展開していくのか、見解をお示しください。

○国務大臣(盛山正仁君)

専門学校は、国家資格の取得等につながる実践的な職業教育機関であることから、修了後、資格等を取得して直ちに就職する方が多く、他の学校種に比べて大学への編入学者は必ずしも多くありません。

今般の改正は、大学への編入学者数を増加させることを目的としたものではありませんが、専門学校生の多様な学びを進めるため、単位制に係る規定を設けることで、大学へ編入学を円滑にする制度改正を行うこととしています。

さらに、制度改正と併せて、専門学校と大学との連携の促進や、各専門学校において編入学を希望する生徒が相談できる進路相談体制の充実を促すなど、必要な取組を進めてまいります。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

ここから専門学生への経済的支援についての質問を行ってまいります。

専門学生は厳しい経済状況にあります。文部科学省の資料によると、専門学生の家庭の年収は約3割は400万円未満で、400―600万円の22.9%を含めると、600万円未満が半数を占めます。一方、日本学生支援機構の調査によると、授業料や通学費などの学費は公立が約39万円、私立が116万円で、特に私立では非常に大きな負担となっています。この現状についてどう考えますか。見解をお示しください。

○国務大臣(盛山正仁君)

まず、家庭の経済状況にかかわらず、希望する誰もが質の高い教育を受けられるチャンスが平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばすことができるよう、低所得世帯を始めとした高等教育費の負担軽減を図ることが重要であると我々認識しているところであります。

そして、その今、舩後先生の方から御説明がありましたけれども、専門学校生の世帯年収はほかの大学生ですとかそういう方に比べると相対的に低いというのは我々も承知をしております。

専門学校生が家庭の経済状況により進学を断念することがないよう、引き続き経済的負担の軽減にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

○舩後靖彦君

経済的負担の軽減、これが本当に重要です。

引き続き質問いたします。

次に、経済的理由による中退者、休学者への対応についてお尋ねします。

修学支援新制度の実施などによって経済的理由による中退は減少傾向になりましたが、まだ中退理由の五%を占めています。これをゼロにすべきです。また、中退にまで至らなくても、学費や生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければならない学生も多いのが現状です。

令和四年度の日本学生支援機構の調査では、専門学生の収入のうち、アルバイト収入が18%を占めています。令和2年度の調査を比較すると、家庭からの給付が減っている一方、アルバイトの収入が増えており、アルバイトせざるを得ない状況がうかがえます。

専門的な知識、技術を得るために学校に通っているのに、アルバイトに明け暮れなければならない状況は本末転倒ではないでしょうか。アルバイトに頼らなくても安心して学べる環境が不可欠です。経済的な不安を減らすことが必要です。

れいわ新選組は、大学院まで高等教育の無償化を訴えています。一気に無償化が難しくても、少なくとも修学支援制度の対象拡大、給付額増加が必要ではないでしょうか。けちっている場合ではありません。

この点について、大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(盛山正仁君)

先ほどもお答えしたように、できるだけ希望する誰もが教育を受けられるチャンスを平等に与える、そういうような政策を我々も取り組んでいきたいと考えているところでございます。

高等教育の修学支援新制度につきまして、非課税世帯の学生に対して高等教育を無償とする水準で支援を行うとともに、これに準ずる世帯にも、支援の崖が生じないよう、全額支援の3分の2又は3分の1を所得に応じて段階的に支援しているところであります。

さらに、令和6年度からは、この給付型奨学金等について多子世帯及び理工農系の中間層への拡大等を行うとともに、令和7年度からは、子供3人以上を扶養している場合に、国が定めた一定の額まで大学等の授業料、入学料を無償とすることとしております。

我々文部科学省としては、このような教育費負担の軽減を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、引き続き教育費の負担軽減に取り組んでいきたいと考えています。

○舩後靖彦君

代読いたします。

通告と質問の順番を一つ入れ替えて、奨学金についての質問をいたします。

次に、奨学金の利用状況についてお尋ねします。

日本学生支援機構の令和四年度調査によると、専門学生で何らかの奨学金を受給している割合は60%を超え、平成30年度以降で最多となりました。同様に増加傾向にある大学昼間部の55%と比較しても高い状況です。

奨学金に頼らざるを得ない状況を踏まえるのであれば、貸与型ではなく、返済不要な給付型の奨学金を更に増やしていくべきではないでしょうか。貸与型は借金にすぎず、学生に多額の借金を自己責任で押し付けている責任は国にあります。単純に計算しても、約半数の学生が借金を背負って働かなければならなくなっている、この状況を改善すべきです。

この点について、大臣の見解をお示しください。

○国務大臣(盛山正仁君)

貸与型奨学金については、厳しい経済状況などで奨学金の返還が困難な方に対して、返還の猶予や毎月の返還額を減額する減額返還制度などにより支援を行ってきております。令和六年度からは、減額返還制度の利用可能な年収上限を引き上げるなど、更なる返還の負担軽減に取り組んでいるところです。

また、令和2年度からは、高等教育の修学支援新制度により、低所得世帯を対象に授業料等の減免と給付型奨学金の支給を併せて実施しており、令和6年度、7年度にも制度の対象を拡大してまいります。

文部科学省としては、これらの取組を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、引き続き教育費の負担軽減に取り組んでまいります。

○委員長(高橋克法君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(高橋克法君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

それでは負担軽減にはなりません。以下、準備した文章を読み上げます。

借金しないと高等教育で学べない環境に未来はありません。大臣も借金を背負うのは自己責任だとお思いですか。

○国務大臣(盛山正仁君)

我々としましては、現在の奨学金支援の制度というものをできるだけ改善するつもりではございますが、貸与制ということで返還される、その返還された資金、これを原資としてまた新たな方に貸与をする、そういうようなこともしております。

そういったことも含めまして、できるだけのことはしたいとは思っておりますけれども、完全なその無償化というのは、今の現時点においてはまだまだ困難な点、これから検討すべき点がたくさん残っていると考えております。

○舩後靖彦君

次に、修学支援新制度の受給率についてお尋ねします。

文科省によると、修学支援新制度の専門学校での利用者は約7.5万人、在学者数に占める割合から計算すると約12.9%に上ります。一方、さきに紹介した専門学生の家庭の年収を見ると、本来はもっと利用されるべきではないかと考えます。

この制度が必要な専門学生に届いていないのではないでしょうか。条件緩和を含め、必要な人に届く制度に改善、検討すべきではないでしょうか。

○政府参考人(池田貴城君)

お答え申し上げます。

専門学校におけます修学支援新制度の受給状況につきましては、先ほど吉良委員の御質問にもお答えいたしましたように、今、舩後委員御指摘のとおりでございます。

その上で、文部科学省としては、この高等教育費の負担軽減策につきまして、必要な方々に支援をきちんと届けて御活用いただくためには積極的な情報発信が重要だと考えております。

具体的には、まずは学校における周知が重要と考えておりまして、これまでも大学や専門学校、あるいは都道府県教育委員会、高等学校などに御協力をいただいてまいりました。また、昨年度は、高等学校などの進路が決まる前の子供への周知を図るという観点から、14道府県の公立中学校などに対し、奨学金制度の情報を記載したノートを配付しております。加えて、テレビ番組やホームページ、あるいは様々なメディアを通じた広報活動にも取り組んでおりまして、今後とも学生生徒や保護者への情報発信に努めてまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

れいわ新選組は大学院までの高等教育無償化を訴えています。学びたい人が経済的不安を持たず、当たり前に学べる社会にしていくことが必要です。そのためにも、教育機関への公的支出を増やさなければなりません。

このことを改めて強調し、質問を終わります。