2024年6月7日 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 参考人質疑

参考人

・北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局次長横田哲也君

・特定失踪者家族会事務局長・特定失踪者古川了子氏の姉竹下珠路君

・南山大学総合政策学部教授平岩俊司君

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

私は、ALSという進行性難病の影響で人工呼吸器を付けており、声を出すことができません。パソコンによる音声読み上げと秘書による代読で質問をさせていただきます。

私は、2019年に当選後、一時期を除き、この拉致特別委員会に所属してきました。この間、政府に様々質問してきましたが、回答は差し控えるという答えを繰り返されてきました。外交上言えないことがあるのは理解をしています。ただ、5名の方が帰国されて以降、一人の拉致被害者も帰国できていない現状を踏まえると、残念ながら政府の取組は結果が出ていないと言わざるを得ません。そうした中、首相が最重要課題と繰り返すだけでは国民の信頼は得られないのではないかと考えています。長くこの特別委員会に所属していながら、解決に向けて力になれていないことを申し訳なく思いますが、少しでもお役に立てるよう、政府に働きかけられるよう、本日は参考人の皆様に御意見を承りたく存じます。

まず、横田参考人に質問いたします。

岸田総理が4月5日掲載の日経新聞で、訪朝について、年内と言わず、できるだけ早い時期に実現しなければならないと発言したことを受け、4月26日の本委員会で、私は、林大臣、上川外務大臣に、できるだけ早い時期とはいつ頃を意味しているのかと質問しました。答えは、差し控えさせていただきたいでした。ある意味、政府の姿勢は一貫しています。この委員会の場で説明しないという点についてはです。

横田参考人は、2023年の福井県の集会で、政府の交渉に対し、人の命が懸かっている、成果が出なければゼロ点とおっしゃっておられました。成果を出せない、説明も十分にしない政府の姿勢について、率直な意見をお聞かせください。

○参考人(横田哲也君)

御質問ありがとうございます。

また、この委員会で連日いろいろお取組をいただいておりますことを感謝申し上げます。ありがとうございます。

この今の御質問につきまして、結果が出ていないことに対して、そのいろんなところどころで私は、政府に点数を付けるとすればゼロ点だと確かに申し上げております。結果が出ていないので、それはもちろんだと思うのですが、一方で、何もやっていないかというと、今回の日朝間での水面下交渉があったがゆえに金与正からの談話が出たりしていることを考えると、総理始めその幹部が最重要課題として捉えて何かしら動きを取っているんだろうというふうには思っています。

ただ、結論が出ていないことには非常に歯がゆい思いもしますし、何やっているんだという気もありますが、かといって、その首相官邸の関係者にどなり散らしても始まらないわけですし、実際に動くのは官邸であり、国の関係者なので、もうそこは信じて動いていただくしかないですし、まかり間違って本当に違う動きを取ったりですとか、ちょっと、えって思うようなことがあれば、当然私たちも強く発言をすることがあると思いますが、それは信じていくしかないかなというふうに考えております。

以上です。

○舩後靖彦君

次に、竹下参考人にお伺いします。

竹下参考人には、2022年6月にも参考人として御出席いただき、御意見をお聞かせいただきました。今回もよろしくお願いいたします。

拉致問題の解決が一向に進まない中、家族会会員の方々の高齢化が進み、非常に切迫しているかと存じます。2年前に御出席されて以降、政府が差し控えると答えて何も説明しない姿勢は全く変わっていません。成果も出ていません。

竹下参考人は、今年2月、国連人権高等弁務官事務所ソウル事務所でスピーチをされたとお聞きしています。一方、先月20日には林大臣と面会をされました。海外での発信と政府への働きかけ、この二つを通じ、国内と海外での反応や対応に違いや差を感じた点はありますでしょうか。

○参考人(竹下珠路君)

私たちは、先ほども申し上げたように、国際社会に特定失踪者家族としてあるいは家族会として訴える場が今までほとんどありませんでしたので、その点につきましては、これから何ができるかと毎回探しながらしておるところでございますが、せんだって、5月20日にも、林官房長官、拉致問題担当大臣とお目にかかった折に、やはり先ほど私が申し述べたこととほとんど同じようなことを要請文としてお願いしておりました。

だから、そういった点では、何でしょうね、できるところからできることを、私たちとしてはとにかく成果を出してほしい、結果を出してほしいという願いでお願いしているところでございます。

○舩後靖彦君

次に、平岩参考人に伺います。

2024年4月の朝日新聞のインタビューで、北朝鮮から自ら譲歩してまで日本と交渉したい動機は見当たりませんと話されていました。御分析を拝読しますと、岸田総理が言うような、年内と言わず、できるだけ早い時期に実現しなければならないという目標には非常に高いハードルがあるように考えます。

平岩参考人は北朝鮮の狙いを、日本との交渉の唯一にして最大の目的は国交正常化後の経済協力と述べてもおられます。こうした状況で、できるだけ早い時期の実現という高いハードルを越えるため、政府にはどのような姿勢が求められるかについて、改めて御意見をお聞かせください。

○参考人(平岩俊司君)

ありがとうございます。

御指摘のとおり、私は、北朝鮮が日本との関係正常化を目指す最大の目標というのは、国交正常化の後の経済協力ということなんだろうと思います。これは、2002年の日朝平壌宣言で設定された枠組みをいかに実現していくのかということかと思っております。

しかしながら、現状、なかなか国交正常化というのが北朝鮮からすると見えない状況ですので、日本政府としては、御指摘のとおり、極めてハードルが高いということになるんだろうと思います。

御案内のとおり、例えば2018年に北朝鮮は韓国、それからアメリカ、さらには中国と首脳会談を繰り返しましたが、残念ながら日本との間の首脳会談というのはございませんでした。恐らくそれは、北朝鮮からすると、今、その2018年の段階というのは核問題が焦点であって、日本との国交正常化というものがまだ順番としてその視野に入っていなかったんだろうというふうに想像されるんですけれども、恐らくその際にも、例えばトランプ大統領などから北朝鮮に対して日本の意向というのは再三にわたって伝えられているというふうに聞いておりますが、やはり北朝鮮からすると、残念ながら日本との国交正常化の道筋が見えないということなので、やはり積極的に出てこないということでしょうから、日本政府としては、もちろんその今の個別の拉致問題であるとか、その核、ミサイルの問題の個別の問題のその先に明確に国交正常化があるということを示す、国交正常化に至るその道筋というものを明確に示すことによって、こうした条件をクリアすればあなたたちが必要としている国交正常化の後の経済協力が得られるのだという、その絵姿を明確に見せるということが必要になってくるんだろうというふうに私は考えております。

○舩後靖彦君

ありがとうございました。非常に貴重な御意見を伺うことができました。

これで質問を終わります。