2024年6月15日 「障害児の高校進学実現岡山県民の集い」に参加しました

6月15日、岡山市きらめきプラザで開かれた「障害児の高校進学実現岡山県民の集い」に日帰りで参加してきました。

岡山とのかかわりは、2021年、学校に看護師配置がされているにもかかわらず、宿泊を伴う校外学習や看護支援員の勤務時間外は親が付きそうことを求められていると、人工呼吸器ユーザーの小学生の親御さんからのご相談を受け、文教科学委員会で質問をし、岡山市教委に親の付き添いなしで安心して学校生活を送るための体制整備を求めた要望書を出したことに始まります。このお子さんが来年高校受験を迎えるため、表題の集会が企画されました。

集会で、主催者の開会あいさつに続き、舩後議員は「障害児の高校進学における定員内不合格をなくす取組」について、この4年間の国会活動報告をいたしました。

その中で、3年越しで質問を繰り返した結果、ようやく2022年4月の委員会で「どのような形で定員内不合格の実態調査が行えるか検討する」という答弁を引き出し、7月に行われた「高等学校入学者選抜等に関する状況調査」の中の1項目として調査が行われたことを報告しました。調査によって都道府県ごとの定員内不合格者数の実態が初めて明らかとなり、高校は義務教育ではないから点数が取れなければ定員内不合格は当たり前という意識から、課題があるという認識に教育委員会も変わってきたと舩後議員はその成果をとらえています。

また、東京都・大阪府・神奈川県のように定員内不合格を出さない取組みを全国に広げ、自治体間による格差をなくすことはできないかと質問し、「定員内不合格を出さないよう取り扱っている例を含め、他の教育委員会における入学者選抜の実施方法を参照していただくよう周知する」との大臣答弁を引き出したことを報告しました。舩後議員は、各教育委員会、学校長が高校で学びたいと希望する子どもたちと真摯に向き合うよう、各地で定員内不合格に取り組んでいる団体がこの通知を使って後押しすることが重要と訴えました。

その後、東洋大学客員研究員の一木玲子さんによる「障害児の高校進学実現」の講演が行われました。講演の中で一木さんは、なぜ障害があると高校に入れないのか、障害者権利条約の「障害の社会モデル」と「人権モデル」から考察されました。

障害に応じた合理的配慮は、障害のない受験生と平等に受験に参加するための障壁を取り除く「社会モデル」の考え方であること。しかし、「社会モデル」だけでは、知的障害ゆえに合理的配慮を尽くしても点が取れない受験生にとっては乗り越えられない。学力とは何かという価値観・評価の基準自体を変え、「点数で測れる学力・知識の量」を競う学力検査の方法自体を変えること。何が差別なのかという規範自体を問う「人権モデル」で定員内不合格の問題をとらえる必要があると話されました。そして平準化した学力を求める学校教育のパターナリズムを脱して、「良かれと思って」分離教育を勧める「良かれ差別」をなくそうと訴えました。

その後、岡山で来年高校受験に臨む呼吸器ユーザーの中学生とそのご両親が、オンラインで中学校での様子や受験に向けての準備について報告されました。また広島の呼吸器ユーザーで今年4月高校生になった正木篤さんとご両親から、パワーポイントで用意された資料を基に、中学校での授業や定期テストにおける合理的配慮について、また志望校をどう絞り込んでいったか、例年定員割れしていた第一志望の県立高校がまさかの定員オーバーで不合格になった後、2次募集にどう臨んだか、具体的なお話がありました。報告と質疑から、舩後議員含め参加者は、高校は、中学までの地域を超えた新しい出会いがあり、社会に出ていくためのより大きな可能性を育める場所であることを実感しました。

その後、障害児の高校受検についての全国状況について竹迫和子さん(障害児を普通学校へ・全国連絡会運営委員)からの報告と、地元岡山での定員内不合格について岡山県教育委員会との話し合ってきた報告があり、集会は終了しました。

舩後議員は帰りの新幹線の都合で、終了間際に集会場を後にしましたが、その際参加者の皆さんから、現地参加して国会での取組みを報告してくれたこと、開会前の時間に一緒に写真撮影をしたり交流を深めたことに感激の声が寄せられました。

全国各地から、障害のある子どもの就学先決定、学校での合理的配慮、高校受験などをめぐるご相談が寄せられ、委員会で質問したり要望書を出すなど対応しています。できる限り当事者と直にお会いして、現地の事情を聞く機会を持っていきたいと改めて感じているところです。