佐賀県・福岡県・長崎県豪雨災害に関する緊急 質問・要請書

佐賀県・福岡県・長崎県豪雨災害に関する緊急質問・要請書を厚生労働省および内閣府に対して提出し、それぞれ以下の通り回答を得ました。

厚生労働省への緊急質問・要請書

2019年8月28日

厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部障害福祉課 地域生活支援推進室
担当者様

参議院議員 舩後靖彦
電話 03-6550-0302 /ファクス 03-6551-0302

佐賀県・福岡県・長崎県豪雨災害に関する緊急質問・要請書

日頃の、防災への取り組み 、被災者支援・災害復旧のご尽力に敬意を表します。

さて、毎年のように豪雨災害が多発し、大きな被害をもたらしておりますが、昨日から佐賀県、福岡県、長崎県では、これまでに経験したことのないような大雨となっている所があり、広域に避難指示が出ております。

私自身ALS患者という立場から、避難がしづらい/遅れがちな「災害弱者」、とりわけ医療的ケアの必要な方々の現状を深く案じております。

つきましては、関係省庁に災害時要支援者への対応に関する質問と、被災現場で対応にご尽力いただいている方々へ、医療的ケアの必要な人へのさらなる支援・配慮を国からもお願いしていただきたく、要請させていただきます。

質問事項

1、震災時の災害時要支援者に対する個別計画・避難計画はできていて、関係機関で把握しているかと思います。これは豪雨災害でも対応できるようになっているのでしょうか。

豪雨は事前に予測可能なので、事前避難ができるかと思いますが、その際の支援体制はどうなっているのでしょうか。

2、現実問題、医療的ケアの必要な人は避難所で過ごすことは難しいと思われます。また、大雨・浸水の中の車椅子、ストレッチャーでの移動は危険を伴うこともあります。避難所に避難できない人の現状把握はどのようになっているのでしょうか。

3、避難所での医療的ケアや、様々な配慮の必要な人への対応はどうなっていますでしょうか。福祉避難所はそのような人に対応できるようになっているのでしょうか。

質問のご回答は文書でお願いいたします。ご担当部局の部分だけでけっこうです。

要請事項

1、避難所に避難された方の状況は避難所で把握可能ですが、避難できずに自宅にとどまっている要支援者、とりわけ医療的ケアの必要な人の状況把握と報告を速やかにお願いします。相談支援事業所、保健福祉センター等関係機関に要請願います。

2、人工呼吸器利用者にとって電源確保は生死の問題に直結します。大規模停電地帯などにおける、医療機関、福祉施設等自主電源確保している機関へ、電源確保の協力をお願いしたします。(※昨年の岡山での豪雨災害で、病院に駆け込んだが、電源使わせてもらえなかったという事例を聞いています。)

3、医療的ケアが必要な人への避難所における配慮として、医療処置ができるスペースの確保、(自宅避難を含め)人工呼吸器の保全、バッテリー電源の確保、痰の吸引チューブ等備品の確保、経管栄養材の確保、点滴セットの用意、大型担架の用意、バッテリー電源の確保ができなかった場合の手動式呼吸器(アンビューバッグ)の用意、給水の確保等をお願いします。

4、避難が長期化する場合、医療的な処置が必要な方の国立病院などへの優先的受け入れ体制の構築をお願いします。

5、今回の豪雨災害に限らずですが、大規模災害発生時には行政の支援だけでは間に合わず、民間ボランティア、NPO等支援団体の協力が不可欠です。その際、要支援者名簿の共有はできることになっているはずですが、実際熊本地震の際も自治体によって対応がまちまちでした。民間とのスムーズな連携ができるよう、引き続きご指導をお願いします。

6、障害者・高齢者等の災害時要支援者の場合、福祉避難所へというのが一般的対応かと思います。しかし、建物自体はバリアフリーになっていても、数が少なく避難しづらいという問題があります。また、長期間要支援者が集中しますと、そこで日常的に支援をする人への負担が増します。

熊本大地震の際、熊本学園大学がキャンパスを避難所として開放し、様々な障害のある人、高齢者、一般の近隣住民が避難したユニバーサルな避難所として注目されました。それは元々、様々な障害をもつ教員・学生が在籍しており、大学としてハード面もソフト面も日常的に対応してきたからこそ、非常時に即対応でき、学生・教職員、地域住民が一体となって要支援者への対応に当たることができたのだと思います。

このように、基本的に避難所となる小・中学校が普段から障害のある児童・生徒が学んでいる環境であれば、建物も教職員・地域住民の意識においてもバリアが解消され、災害時に多様な被災者を受け入れることが可能になると考えます。

要支援者=福祉避難所と固定化することなく、一般の避難所を誰もが避難できるユニバーサルな避難所にして行く方向でのご検討をお願いします。

以上

厚生労働省からの回答

2. 現実問題、医療的ケアの必要な人は避難所で過ごすことは難しいと思われます。また、大雨・浸水の中の車椅子、ストレッチャーでの移動は危険を伴うこともあります。避難所に避難できない人の現状把握はどのようになっているのでしょうか。

(答)

1 障害者などの災害時要支援者に係る対応については、内閣府においてもなされておりますが、厚生労働省としても、今般の佐賀県を中心とする大雨に関しては、8月28日付けで、佐賀県に対して、被災した要援護障害者等の状況や実態の把握に努めていただくとともに、避難対策や障害福祉サービス等の円滑な提供について柔軟な対応をお願いしています。

2 また、相談支援事業者と障害福祉サービス事業者、医療機関等が連携して、被災地域で生活を続けている障害児者が適切なサービスにつながるよう配慮をお願いしています。

3 さらに、避難所以外で生活している障害児者等については、食料、生活用品の配給やその他の必要な支援の情報が届いていない可能性もあることから、その把握に努め、必要な支援や情報伝達を行えるようお願いしています。

引き続き、被災自治体と連携して対応してまいります。

3.避難所での医療的ケアや、様々な配慮の必要な人への対応はどうなっていますでしょうか。福祉避難所はそのような人に対応できるようになっているのでしょうか。

(答)

1 避難所等で生活する障害児者とその御家族への支援に当たっては、障害特性等により、特段の配慮が必要となります。

2 障害者などの災害時要支援者に係る対応については、内閣府においてもなされておりますが、厚生労働省としては、地震や大雨による災害等により避難所等での生活が必要となる場合には、各都道府県等に対して、
① 障害児者とその御家族への支援に関して種々の配慮をお願いするとともに、
② 被災した視聴覚障害者等への情報・コミュニケーション支援についての情報提供を行うなど、

必要な対応を行っています。

内閣府への緊急質問・要請書

2019年8月28日

内閣府
防災担当者 様

参議院議員 舩後靖彦
電話 03-6550-0302 /ファクス 03-6551-0302

佐賀県・福岡県・長崎県豪雨災害に関する緊急質問・要請書

日頃の、防災への取り組み、被災者支援・災害復旧のご尽力に敬意を表します。

さて、毎年のように豪雨災害が多発し、大きな被害をもたらしておりますが、昨日から佐賀県、福岡県、長崎県では、これまでに経験したことのないような大雨となっている所があり、広域に避難指示が出ております。

私自身ALS患者という立場から、避難がしづらい/遅れがちな「災害弱者」、とりわけ医療的ケアの必要な方々の現状を深く案じております。

つきましては、関係省庁に災害時要支援者への対応に関する質問と、被災現場で対応にご尽力いただいている方々へ、医療的ケアの必要な人へのさらなる支援・配慮を国からも お願いしていただきたく、要請させていただきます。

質問事項

1、震災時の災害時要支援者に対する個別計画・避難計画はできていて、関係機関で把握しているかと思います。これは豪雨災害でも対応できるようになっているのでしょうか。

豪雨は事前に予測可能なので、事前避難ができるかと思いますが、その際の支援体制はどうなっているのでしょうか。

2、現実問題、医療的ケアの必要な人は避難所で過ごすことは難しいと思われます。また、大雨・浸水の中の車椅子、ストレッチャーでの移動は危険を伴うこともあります。避難所に避難できない人の現状把握はどのようになっているのでしょうか。

3、避難所での医療的ケアや、様々な配慮の必要な人への対応はどうなっていますでしょうか。福祉避難所はそのような人に対応できるようになっているのでしょうか。

質問のご回答は文書でお願いいたします。

要請事項

1、避難所に避難された方の状況は避難所で把握可能ですが、避難できずに自宅にとどまっている要支援者、とりわけ医療的ケアの必要な人の状況把握と報告を速やかにお願いします。相談支援事業所、保健福祉センター等関係機関に要請願います。

2、人工呼吸器利用者にとって電源確保は生死の問題に直結します。大規模停電地帯などにおける、医療機関、福祉施設等自主電源確保している機関へ、電源確保の協力をお願いいたします。(※昨年の岡山での豪雨災害で、病院に駆け込んだが、電源使わせてもらえなかったという事例を聞いています。)

3、医療的ケアが必要な人への避難所における配慮として、医療処置ができるスペースの確保、(自宅避難を含め)人工呼吸器の保全、バッテリー電源の確保、痰の吸引チューブ等備品の確保、経管栄養材の確保、点滴セットの用意、大型担架の用意、バッテリー電源の確保ができなかった場合の手動式呼吸器(アンビューバッグ)の用意、給水の確保等をお願いします。

4、避難が長期化する場合、医療的な処置が必要な方の国立病院などへの優先的受け入れ体制の構築をお願いします。

5、今回の豪雨災害に限らずですが、大規模災害発生時には行政の支援だけでは間に合わず、民間ボランティア、NPO等支援団体の協力が不可欠です。その際、要支援者名簿の共有はできることになっているはずですが、実際熊本地震の際も自治体によって対応がまちまちでした。民間とのスムーズな連携ができるよう、引き続きご指導をお願いします。

6、障害者・高齢者等の災害時要支援者の場合、福祉避難所へというのが一般的対応かと思います。しかし、建物自体はバリアフリーになっていても、数が少なく非難しづらいという問題があります。また、長期間要支援者が集中しますと、そこで日常的に支援をする人への負担が増します。

熊本大地震の際、熊本学園大学がキャンパスを避難所として開放し、様々な障害のある人、高齢者、一般の近隣住民が避難したユニバーサルな避難所として注目されました。それは元々、様々な障害をもつ教員・学生が在籍しており、大学としてハード面もソフト面も日常的に対応してきたからこそ、非常時に即対応でき、学生・教職員、地域住民が一体となって要支援者への対応に当たることができたのだと思います。

このように、基本的に避難所となる小・中学校が普段から障害のある児童・生徒が学んでいる環境であれば、建物も教職員・地域住民の意識においてもバリアが解消され、災害時に多様な被災者を受け入れることが可能になると考えます。

要支援者=福祉避難所と固定化することなく、一般の避難所を誰もが避難できるユニバーサルな避難所にして行く方向でのご検討をお願いします。

内閣府からの回答

令和元年9月6日(金) 舩後靖彦議員(参・れいわ新選組)

佐賀県・福岡県・長崎県豪雨災害に関する緊急質問・要望書

(質問事項)

問1 震災時の災害時要支援者に対する個別計画・避難計画はできていて、関係機関で把握しているかと思います。これは豪雨災害でも対応できるようになっているのでしょうか。

豪雨は事前に予測可能なので、事前避難ができるかと思いますが、その際の支援体制はどうなっているのでしょうか。

(答)

1.市町村においては、避難行動要支援者名簿の情報(以下「名簿情報」という。)に基づき、避難支援等関係者(※)の協力も得ながら、避難行動要支援者と個別に打合せを行い、個別計画を策定することが望まれる。

(※)消防機関、都道府県警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織など

2.一つひとつの具体的な内容は把握していないが、個別計画とは、名簿情報に加え、避難支援等に必要な情報を記録するものであり、例えば、豪雨災害を想定した際の留意事項がある場合には、当該事項を記録することにより、特定の災害にも対応可能となる。

3.避難行動要支援者の避難の実効性を高めるためには、防災訓練等を実施することや、平時から住民同士の顔の見える関係を構築すること等が大切であり、内閣府としても、地域の特性や実情を踏まえつつ、これらの取組が進むよう助言しているところである。