2020年3月18日 文教科学委員会質疑(2020年度予算案/インクルーシブ教育)

○舩後靖彦君

れいわ新選組の舩後靖彦でございます。

質問を始める前に、一言御挨拶申し上げたく存じます。

先週までの文教科学委員会の欠席について、御理解いただいた皆様に深く感謝申し上げます。出席して役割を果たしたかったのですが、私が発病したALSによる筋肉の痩せ具合から、実年齢よりはるかに高い肉体の年齢を自分に感じていると話した医療者の助言もあり、苦渋の決断で登院を控えておりました。新型コロナウイルスの感染拡大は今も続いておりますが、議員としての職責、志を果たしたいという思いで、自分自身や介助者の対策を取った上で、登院しての活動を行うことを決断いたしました。

一方、こうしたときこそ御検討いただきたいのが、情報通信技術を用いて遠隔で委員会などの会議に出席する方法です。例えば、インターネットを使って会議ができるアプリケーションは多数出ておりますし、実際、私も、介護、看護運営会社の副社長をしていた際、ネット会議で参加しておりました。また、分身ロボット、オリヒメを使ったロボットカフェなどもあるように、その場にいなくてもコミュニケーションができる新しい技術も次々と出ています。これは、障害のある私だけにとって有用なのではありません。災害など、緊急事態で一か所に集まることが難しかったり、危険度が高かったりする状況になった際は、誰にとっても有用であると確信しております。

さらにもう一点、私にとって壁になるのが重度訪問介護の問題です。経済活動中のサービスを認めていないこの制度を使っていると、議員として在宅勤務をしたくても難しくなってしまうのです。国がテレワークなどを推し進めようとする中、明らかに時代に逆行する制度だと感じております。

こうした実情や課題について、是非、委員の皆様、大臣始め御出席の皆様にも御検討いただきたく考えております。

委員長におかれましては、理事会でのお取り計らいを是非よろしくお願い申し上げます。

○委員長(吉川ゆうみ君)

後刻理事会において協議いたします。

○舩後靖彦君

代読いたします。

さて、質問に移らせていただきます。

新型コロナウイルスの感染拡大による学校一斉休業の影響について質問いたします。この度の学校一斉臨時休業に伴う学校現場の対応、保護者の方々の負担増につきましては既に御質問がされていますが、私の方からは、障害のあるお子さんたちに関して質問をいたします。

今回の一斉臨時休業は、特別支援学校、特別支援学級にも適用されておりますが、在籍するお子さんの中には、保護者が仕事を休めない場合、地域の障害福祉サービスも活用して居場所の確保に取り組んでいただくようにという文科省からの指示もございます。この場合、学童保育、放課後デイサービス等が想定されているかと存じますが、それほど恵まれた人員配置、環境ではないこと、また、今回の休校措置で放課後以外の利用者が増えることを考えますと、かなりの過密状態になることが想像されます。

現に厚生労働省の三月三日版放課後等デイサービスQアンドAでは、一日の利用定員が一五〇%超過してもやむを得ない、受入れ児童数に応じて職員を増員することが望ましいが、やむを得ず配置できなくとも減算は適用しないとしています。そういう事情であれば、看護師や介助員、その他の専門職が配置されており、設備面での環境も整っている特別支援学校、学級に通っていた方がよほど感染リスクは低いと考えられます。現に幾つかの自治体では、小学校低学年の児童のほか、特別支援学校、学級の児童生徒は、保護者が仕事で休めない場合、学校で過ごすことも認めています。

学校での感染者が一人も出ていない段階で特別支援学校、学級を含めて、準備期間もなく一律に一斉休校したことの判断自体がよかったのか、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(萩生田光一君)

今般の学校の一斉臨時休業の要請時において、専門家の知見によれば、当時、これから一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際となるとの見解が示され、子供たちの感染事例も各地で発生し、判断に時間を掛けるいとまもない中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一である、学校において子供たちへの集団感染という事態は何としても防がなければならないとの判断の下、政府として決定したものでございます。

休業の準備をする十分な時間を確保することができず、現場に混乱があることを前提にこのような決断をしたことは子供たちや学校の先生などには大変申し訳なく思っておりますが、この間の皆様の御協力のおかげで、現段階において学校での集団感染は防ぐことができていると考えております。

今回、子供たちの健康、安全を確保することを優先して判断させていただいたことに御理解をいただければと思います。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

では、次の質問に移らせていただきます。

医療的ケアの必要な子の付き添いの問題についてです。

昨年、私は、丸山初等中等教育局長の取り計らいで板橋区の都立特別支援学校志村学園の肢体不自由教育部門を視察いたしました。校舎はバリアフリーで、廊下もエレベーターも広々としておりました。そして、多彩な教育活動を可能にする特別教室が充実し、ハード面では理想的な環境でした。また、ICT等を活用し、個々に応じたコミュニケーション支援、常勤換算で七名の看護師配置、スクールバス十四コース、理学療法士、視能訓練士、言語聴覚士、自立活動支援員、介護職員の配置など、ソフト面でも非常に恵まれた体制と思いました。生徒たちもはつらつとした様子で、直接面談した複数の生徒は学校に来るのが楽しくてたまらないという雰囲気もかいま見せました。

しかし、そのように充実した体制の志村学園でも、人工呼吸器を付けたお子さんは親の付き添いが必要で、自立活動の授業中もお子さん一人に母親含めて大人二人が付いている状態でした。また、人工呼吸器を付けたお子さんはスクールバスに乗れず、親御さんが送迎されているとのことです。さらに、人工呼吸器のお子さんだけでなく、てんかんなどで服薬が必要なお子さんも、薬が必要な状態になると、親が学校に迎えに行かなければならず自宅で待機している状態ということでした。

資料一を御覧ください。公立特別支援学校に在籍する医療的ケア児で病院併設校以外の学校に通う児童生徒のうち親の付添いを求められている児童生徒は一五・四%、八百二十六人、公立小中学校に在籍する医療的ケア児のうち付添いを求められている児童生徒は四六・二%、三百八十八人です。

特別支援学校における付添いの理由のグラフを見れば、学校の都合で付添いを求められているケースが大多数に上ることが明らかです。一方、小中学校では看護師が常駐していないためという理由が七五%で、看護師配置が進んでいない実態が浮き彫りになっています。

こうしたデータから見ても分かるとおり、医療的ケアの必要な子供、特に人工呼吸器を付けた子に対する親の付添いは、志村学園に限らず、ほかの公立特別支援学校、公立学校においても共通の課題と言えます。

文部科学省の令和二年度予算では、切れ目のない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実の中で、医療的ケアの必要な幼児児童生徒のための看護師配置を拡充されておられます。また、学校における医療的ケア実施体制構築事業で、人工呼吸器の管理が必要な児童生徒の受入れ体制の在り方の調査研究及び看護師等への研修充実を図っております。しかし、これだけでは、医療技術が進歩し、医療的ケアが必要な子供の増加に対応できているとは言えません。とりわけ、小中学校では、医療的ケアの必要な子供が分散しているため、看護師の常駐が難しく、親の付添い率が高くなっていると考えられます。

親の付添いは、子供の自立にとっても大きな問題と考えます。親は、生まれたときから子供の世話をしていますから、本人が要求を伝える前に気付いて何でもやってあげてしまい、子供自身が周囲に要求を伝える力が育たなくなってしまう可能性もあります。そして、親、特にこの場合母親ですが、学校での付添いや自宅待機のために仕事を諦め、家事や自分の余暇に充てる時間も削られなければなりません。このことは、今回の新型コロナウイルス対策での学校一斉休校で親が仕事を休まざるを得ない事態が日常化しているというふうに捉えていただければ、その深刻さが御理解いただけるかと思います。また、通常学校において親が医療的ケアのために教室若しくは別室待機していることは、ほかの子供たちにとってその子が異質な存在であることを際立たせることになり、子供同士の関係づくりの妨げにもなりかねません。

親の付添いは、子供の自立の観点からも、親の就業保障や自己実現のためにも問題があると言わざるを得ませんが、大臣はこの状況をどのようにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(萩生田光一君)

医療技術の進歩により人工呼吸器を使用する幼児児童生徒が学校に通うようになるなど、医療的ケア児を取り巻く環境は変わりつつあることから、平成二十九年十月に有識者会議を設置し、学校における医療的ケアの実施体制の在り方について検討を行ってきました。平成三十一年二月に有識者会議が取りまとめた最終まとめを受けて、文部科学省では、学校における医療的ケアの基本的な考え方等を整理し、翌三月に各教育委員会等に対して通知を発出をしました。この通知において、保護者に付添いを求めることについては、本人の自立を促す観点からも、真に必要と考える場合に限るよう努めるべきであることを示すとともに、教育委員会の担当者が集まる会議においてその趣旨を説明をしてきたところでございます。教育委員会等において、通知で示された内容が十分理解され、適切な対応が取られるように、引き続き促してまいりたいと思います。

なお、先生御質問の中で、平成二十八年の調査結果をお示しいただきました。今、私説明しましたように、二十九年からかなり踏み込んで様々な取組をした結果、直近の三十年の資料によりますと、これと同じ円グラフで示すとすれば、学校の生活の付添いありというのが、当時先生おっしゃったように一五・四%だったのが、現在では八・〇%まで減ってきました。

残念ながら、東京のようにスクールバスに看護師さんが乗っているケースもあるんですけど、地方に行きますとそういうものがないものですから、どうしても登下校に保護者の方が御同乗される実態は現在も非常に多く、六〇%というふうに確認をしております。

是非、こういうお子さんたちがより自立ができるように、また働くお父さん、お母さんたちの環境が守れるように、文科省としても更に検討を続けてまいりたいと思っております。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

続きまして、学校における医療的ケアの今後の対応について御質問いたします。

今大臣からも御紹介ありました学校における医療的ケアの今後の対応についてという通知では、医療的ケアの必要な子供、児童の就学先決定について合意形成のプロセスを丁寧に行うこと、保護者の付添いには真に必要と考える場合に限るよう努めることとされていて、子供への対応、親の付添いの現状が変わることを期待いたしました。

しかし、その一方で、呼吸器の管理や特定行為の医行為が必要な人工呼吸器利用の子の場合、一律に判断することなく、その子の状態、主治医や学校医の意見を参考に、安全性を考慮して対応すること、対応を検討することとなっております。

安全性を理由に人工呼吸器利用の子供が特例扱いされ、保護者の付添いがなくなるのかどうか、そして就学先決定で本人、保護者の希望する場合は校区の小中学校に通うことができるのか、懸念が残ります。

現在、都道府県、市区町村教育委員会におけるガイドラインの策定状況、この通知によって実際に各教育委員会での対応はどのように変わるのか、文部科学省では把握されていらっしゃいますでしょうか。大臣、お聞かせください。

○政府参考人(丸山洋司君)

お答え申し上げます。

平成三十一年三月に発出をしました通知におきまして、医療的ケアに関するガイドライン等の策定を示したところですが、現時点でまだその状況等は文科省の方で把握をしておりませんが、議員御指摘のとおり、医療的ケアを必要とする幼児、児童生徒が在籍する学校においては、その可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行う必要があると考えております。

また、安全、安心に教育を受けることができるよう、校長の管理下で、学校医、学校配置の看護師、担任、養護教諭などがチームを編成し、一丸となって医療的ケアに対応する体制の構築が重要であることから、必要な措置を各教育委員会等に対して依頼をしたところであります。

文部科学省としては、関係者の連携共同が一層進み、医療的ケアを必要とする幼児、児童生徒に対する教育機会や安全が確保されるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

次の質問に移ります。人工呼吸器を付けた子供の就学先決定に関する質問です。

来年度、小学三年生になろうとしている川崎市の在住の難病のお子さんが地域の小学校への就学を希望したにもかかわらず、人工呼吸器を付けているということで特別支援学校に就学措置をされました。現在、裁判にもなっております。川崎市教委は、安全面から特別支援学校が適当と判断しましたが、御両親は、幼稚園で障害のないお子さんとともに過ごした経験から、小学校でもほかのお子さんと学ばせたいという希望を伝えておりました。

学校教育法施行令では、就学先決定に当たっては、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見、専門的見地からの意見などを踏まえた総合的な観点から決定すべきとあります。しかし、人工呼吸器利用で小中学校に通っている前例はたくさんございます。障害者差別解消法の文部科学省対応指針においては、一般的、抽象的な理由に基づいて各種機会の提供を拒否することは適当でないとあります。

それなのに、川崎市教委は、本人、主治医、幼稚園からの聞き取りもなく、人工呼吸器を利用しているから安全ではない、命に関わると判断したわけです。幼稚園で一緒に育った大勢の同世代の子供たちと一緒に学びたいという本人と御両親の素朴な願いを踏みにじるものではないでしょうか。裁判までしなければ、この願いがかなえられないのでしょうか。

川崎市の判断は、文科省が昨年出された通知以前のことであることは承知しておりますが、人工呼吸器利用の子は安全面から小中学校で学ぶことは無理、特別支援学校に行きなさいという一律の判断は、今後なくなると考えてよろしいでしょうか。大臣、お聞かせください。

○国務大臣(萩生田光一君)

川崎の件はちょっと個別の件なのでコメントは差し控えさせていただきたいんですが、障害のある子供の学びの場については、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムの理念と実現に向けて取り組むことが大切であると認識をしております。

このため、文部科学省においては、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行うとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるように、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備を行うことが必要であると考えております。

障害のある子供の就学先については、本人や保護者の意見を可能な限り尊重しながら、市町村教育委員会において総合的な観点から決定することとされています。具体的には、障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制整備等の事情を勘案して、子供たちにとって最適な学習環境を提供できるよう決定されております。

また、障害者に対する合理的配慮については、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律において、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組とされており、各学校及び設置者の体制面、財政面等の要素を考慮し、個別に判断することになるものと認識しております。

文科省としては、こうした取組を通じ、障害のある子供の多様な学びの場の更なる充実を図ってまいりたいと思いますので、一律的に不可能だと、こういうことを各自治体に指導しているような事実はございません。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

最後に一点、大臣にお尋ねいたします。

人工呼吸器を付けているだけで、危ないから普通学校に来るなということであれば、呼吸器を付けている私にも、危ないから議員活動をするなと言われるのでしょうか。そんな判断は正しくないのではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(萩生田光一君)

先ほども申し上げましたように、受入先となる自治体の様々な環境の違いもあるかもしれません。呼吸器を付けていることを理由に一律に一般の学校に通うことができない、そんな世の中であってはならないと思っておりますので、しっかり対応してまいりたいと思います。

○舩後靖彦君

ありがとうございました。