2020.6.4 参議院文教科学委員会質疑

○舩後靖彦君

れいわ新選組の舩後靖彦でございます。

大臣、先日の質疑では、日本人学校への派遣教師の方々の支援について真摯な御答弁を本当にありがとうございました。今後も取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

さて、本日も、二日の質疑に続きまして著作権法改正案について質問をさせていただきます。その前に、本法案とは直接関係ございませんが、著作権に関係して、昨年六月に施行されました読書バリアフリー法について質問させていただきます。

代読いたします。

この法律は、視覚障害者に限らず、ページがめくれない上肢障害のある人や、難読症、眼球障害など、活字のままでは読書が困難な人を対象に、読書環境を整備し、誰もが読みたい本を読めることを目指した法律です。点字図書、拡大図書、録音図書、音声読み上げ対応の電子図書など、アクセシブルな書籍の普及、インターネットの本貸出しサービスの強化などが柱になっています。

しかし、資料にありますように、アクセシブルな書籍を借りるにしても購入するにしても、ニーズに対してコンテンツは圧倒的に不足しています。テキストデータを本を買った視覚障害者などに合理的配慮として提供する仕組みがあれば、利用者自身がパソコンで拡大して読んだり、点訳ソフト、音声転換ソフトを使ったりするなど、自分に最適な方法で利用することができます。ボランティアに頼っている点訳、音訳、拡大図書の作成においても、テキストデータがあれば作業の効率と質は格段に上がります。けれども、著作権者の許諾を取る手間、不正に複製若しくは改ざんされアップロードされるリスクなどが壁となり、テキストデータの提供、販売は広がっていないのが現状です。

私も、自分でページをめくって本を読むことができません。そのため、本をスキャンして音声再生可能なPDFにしてもらい、パソコンでPDFの文字を追いながら聞いています。しかし、以前、当委員会でも申し上げましたように、私は縦組みの文字はほぼ読めないのです。テキストデータを提供していただけると、パソコンで自分に合った文字の大きさ、MSゴシック書体で横組みにし、文字を追いながら音声読み上げ装置を使って聞くことができますので、大変助かります。しかし、そのようなテキストデータの提供の合理的配慮を行っているのは、障害関連、福祉関連書籍を出版するごく一部の中小出版社に限られています。

先月、パブリックコメントに付された基本計画案は六月中旬をめどにまとめられるとのことです。計画案では、出版社からのデータ販売や提供について出版関係者との検討の場を設け、電磁的記録の提供に関する課題や具体的な方法について検討していくとなっています。建物や交通機関など、ハードのバリアフリー化に関しては国の補助もかなりの割合で入っています。情報バリアフリーの促進においても、データ漏えい防止策、電子データ作成に係る財政支援について是非前向きに御検討をしていただきたく存じます。

また、出版社の負担を考えますと、利用者との橋渡しをするリソースセンターが必要です。アメリカでは視覚障害者用のデータベース、ブックシェアに、フランスでは国会図書館に書籍の電子データが蓄積され障害者に提供される仕組みがあります。このような仕組みづくりを是非進めていただき、全ての人が活字文化の恩恵を享受し、豊かな精神文化を培っていける社会にしていただきたいと存じますが、お考えをお聞かせください。

○政府参考人(小笠原陽一君)

お答え申し上げます。

委員御指摘のとおり、読書バリア法の目的である読書環境整備を進めていくためには、出版社から視覚障害者等の方々に対するテキストデータの提供を促進していくことが大変重要であるというふうに認識しております。

今回の読書バリア法による基本計画案においては、出版社によるテキストデータの提供の具体的な在り方について必要な議論を行っていくため、出版関係者による検討の場を設けることが規定されたところでございます。

経済産業省といたしましては、基本計画の公表後、速やかにこの検討の場を立ち上げ、ただいま委員から御指摘をいただきました課題を含めまして議論を進め、文部科学省等関係省庁の御協力も得て早期に結論が得られるよう、しっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

○委員長(吉川ゆうみ君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(吉川ゆうみ君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

さて、近年、高齢化が進み、読書困難な人が増えています。読書のバリアフリーは失われた市場を回復するものです。文化発展のため、意気込みを是非大臣、御見解をお願いいたします。

○国務大臣(萩生田光一君)

確かに、先生のように障害をお持ちでなかなか紙ベースの読書に親しむことがしづらい方々のみならず、高齢化社会を迎えますと小さな字を追ったりすることが大変で、それをパソコンなどで展開しないと読み物もなかなか読み込めない高齢者の方が増えてくることも実態だと思います。

ここは、政府がというよりは、民間の皆さんがそれをビジネスチャンスと捉えて、これからの時代の一つのツールとして展開されたらよろしいんじゃないかなというふうに思います。必要な応援があるとすれば考えていきたいなと思います。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

それでは、著作権法改正案についての質問に移ります。

今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校措置により、オンライン授業が始まっています。その中で、現状ではネット配信が禁じられている文芸作品や論文、新聞、雑誌記事、音楽、写真などの著作物を授業に使う際に支払われる補償金が今年度に限り無償化されました。

しかし、この措置は教育機関に限定され、保育園や民間団体による読み聞かせなどには適用されません。登園できない園児にオンラインで絵本の読み聞かせをしたい、読み聞かせの動画を配信したいとの希望は増えているようですが、著作権者の許諾が前提になっています。

出版社、著作権者がオンライン朗読に慎重なのは、動画サイトへのアップロードという経済的被害への懸念ばかりが理由ではないようです。漢字の読み間違い、作品の世界観に合っているかなど、朗読の質を気にする作家さんもおり、出版社としては慎重に個別対応せざるを得ないということなのです。

今回、新型コロナウイルスの影響で、コンサート、舞台公演、映画など、多くの興行が中止、延期を余儀なくされ、図書館、美術館、博物館も閉ざされました。緊急事態宣言で日本中が巣ごもりになる中、投げ銭方式の無観客ライブ公演の配信、過去の公演映像、人気漫画の無料配信が一気に広がりました。

オンライン鑑賞、オンライン朗読が拡大している今、舞台や演奏のアーカイブ化、プラットフォームの育成を進めるに当たり、著作権の壁の解消の検討が必要になってくるかと存じますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(萩生田光一君)

著作権法上、著作物をオンラインで配信する場合には、学校教育での引用や利用に当該する場合などを除き権利者の許諾が必要とされていますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってオンラインでの作品の鑑賞や絵本の朗読などのニーズが増えているものと承知をしております。

先生御質問でありましたけど、ちなみに幼稚園も保育園もこの三十五条に含まれますので、今の臨時措置の中では許諾は必要ございません。

この点、今般の状況に対応した実際の取組として、権利者の許諾を得た上でオペラや歌舞伎等の公演を期間限定でネット上で無料配信したり、出版社が絵本読み聞かせ動画を無料配信するなど、ユーザーが円滑にオンラインで著作物等を楽しめるような対応が進められていると承知しています。また、コロナ後の状況を見据え、舞台の動画配信プラットフォームの立ち上げに向けた民間の主体的な取組などが進められているものと承知をしております。

文科省としては、このようなオンラインでの配信についての様々な取組がなされている現状も踏まえつつ、今後とも幅広いステークホルダーや専門家、国民の皆様の声を丁寧にお伺いしながら、まさにバランスの取れた望ましい著作権政策の在り方を検討してまいりたいと思います。

先生御指摘のとおり、このコロナの中では、本来の著作権利者の皆さんがその権利を主張しないで、できるだけ家庭にいる皆さんに和みを届けたいとか、学校に行けないで困っているお子さんたちのための応援をしたいということで、確かにこの壁をぼんと取り払ってくれましたので、そういう意味では今理想の著作権の在り方なのかもしれないんですけど、元々その人たちには権利がありますから、そこは権利の保護と利用者のバランスというのをしっかり整えながら、できるだけその壁が低くなることが利用者にとっては有り難いんですけど、権利者のやっぱりそれなりの補償というものもしていかなきゃならないので、そういうバランスをしっかり見ながら、この法律を成立させていただいた後にまた運用面でいろいろ考えていきたいと思っています。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

続きまして、インターネット上の海賊版サイトの対策としてのブロッキング対策についてお尋ねいたします。

省庁横断の知的財産戦略本部でブロッキングやアクセス警告方式を含む総合的メニューが検討されていましたが、ブロッキングに関しては結論が出ず、法制度整備は先送りになったと伺いました。悪質な海賊版サイトの多くが外国に存在し、削除要請にも応じず、告発も難しいという場合、アクセスを遮断するしかないという意見もあるかと存じます。その一方、憲法二十一条二項、電気通信事業法上の通信の秘密との関係をどう整理するのかということが問題になります。

そこで、今回どのような議論があってブロッキングの法制度整備が見送りになったのか、また今後ブロッキングの法制度整備が検討される場合どのような要件を勘案して検討されるのか、その方向性についてお聞かせください。

○政府参考人(三又裕生君)

お答え申し上げます。

二〇一八年六月から十月にかけまして知的財産戦略本部の下に設置された有識者会議においてインターネット上の海賊版対策について議論が行われました。ここでは、ブロッキングに関する法制度整備につきまして、具体的な制度設計の議論に入るべきとの意見や慎重な検討が必要との意見などがあり、意見がまとまりませんでしたが、海賊版対策を総合的に推進することにつきましては認識が共有されました。その後、知的財産戦略本部の下で議論が重ねられまして、昨年十月、インターネット上の海賊版に対する総合的なメニュー及び工程表を作成し、関係閣僚間で確認を行ったところでございます。この総合的な対策メニューにおきまして、ブロッキングに係る法制度整備につきましては、他の取組の効果や被害状況等を見ながら検討することとしております。

以上です。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

著作権保護をアリの一穴として今後ブロッキングの対象が広がってしまうことも懸念されますので、著作権保護と通信の秘密保護との法の利益の判断は慎重に行っていただきたく存じます。

これで質問を終わらせていただきます。