2021年3月25日 参議院文教科学委員会質疑(少人数学級法案について参考人=専門家を招致して意見聴取・質疑)

○舩後靖彦君

れいわ新選組の舩後靖彦でございます。

参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見を誠にありがとうございます。心から感謝申し上げます。

それでは、早速質問をいたします。

代読いたします。

今回の法案によって小学校での段階的な三十五人学級が進められることになりますが、更なる少人数化が必要ではないかという点について質問いたします。

長年現場からも求められていた少人数学級に道筋ができたことについては、歓迎したいと考えます。一方、三十五人という規模や小学校に限定していることを踏まえると、まだまだ道半ばと考えます。私どもとしましては、少なくともOECD平均並みの二十五人以下が必要なのではないかと考えております。

そこで、参考人の先生方にお伺いします。

これからの日本の教育を考える上で、小学校、中学校において何人規模のクラスが望ましいと考えますでしょうか。また、その規模を実現するため、国に対してどのような対応を求められますでしょうか。三人の参考人の皆様、お一方ずつお答えいただければ幸いです。

○参考人(三幣貞夫君)

学級の規模ですが、私は、三十人未満ということで二十九人ということで、三十人になったら十五、十五に分けられるということで、今お話が、舩後ふなご先生からお話があった二十五ですと、二十六になって十三、十三になるということで、私どもの経験とかそういったものからいうと、十三人のクラスは、これは少し学級の規模としては少ないのではないかなというように考えております。

したがいまして、大変申し訳ないんですけど、舩後ふなご先生は舩後ふなご先生のお考えで受け止めさせていただきますけど、私とすると二十九人、三十人未満学級がいいのではないかと、こういう考えを持っています。

以上です。

○参考人(藤井昌也君)

私は、まずは三十人以下と思っています。

ただ、先ほどから言っている個別最適な学びを進めるためには、人数は少ない方がいいです。そうすると、例えば三学級で三十人ずつとしても、学年付きの先生も増やして、学年で例えば五人で個別最適な学びを支えるというようなこともやっていただけます。つまり、学級定員としてはまずは三十人だと思っておりますが、やっぱり教職員の定数なり加配なりを増やしていただいて、多くの先生の下で、それから目で子供たちを育む、サポートできるようにしてもらえたらと思っております。

○参考人(中嶋哲彦君)

私は、二十人程度と考えています。

ただ、これ考えるときに重要なことは二つありまして、一つは、今御質問があったのは適正規模がどのぐらいかという質問だったと思うんです。適正な規模としては二十人ぐらいがいいんじゃないかというふうに思うんですね。

法案で挙がっているのは学級編制標準なんです。ですから、学級編制標準と適正規模を分けて考えなくちゃいけないですね。それを、二十を仮に標準だということになると、十人のクラスになると。それは少な過ぎるだろうという議論になるわけで、ですから、仕組みとしてどういう仕組みをつくるかということと、実際にどういう、どのぐらいのクラスの規模がいいかということ、これ分けながら融合させる議論が必要で、まだそこは知恵がないところだと思うんですね。今、知恵がないというのは、法律の中に知恵がないと思います。それは議論がこれ今後必要だろうと思います。

さらに、もう一つだけ言わせてください。それは、学級というのはそれぞれですけれども、学習活動によっては二つ三つ合わせればいいんです。必ずしも一学級で一つの授業をするということではなくて、活動の内容によっては複数の学級が集まって学習集団をつくりながらやればいいんです。そうなってくると、教室の在り方も今の在り方とは多分違ってきます。

ここで示しちゃいますけど、これ二つクラスがあるとしますね。こう並んでいるほかにもう一つ別の空間をつくれば共同の空間ができますし、これぶち抜けるようにすれば大きな空間ができます。そうすると、いろんな学習活動ができるようになるんです。なので、学習のクラスサイズと教室の在り方、それからそれをどう組み合わせるか、これは今よりももっと創造的に考えていただく必要があるということです。

以上です。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

次に、インクルーシブ教育と少人数学級の関係性についてお尋ねいたします。

私は、障害のある子もない子も共に学び育つことが重要だと考え、インクルーシブ教育の実現を訴えています。また、障害だけでなく、外国籍の子供や様々な文化、社会的背景を持った多様な子供たちが同じ教室の中で学ぶ、誰も排除しないインクルーシブ教育を進める上で少人数学級は重要だと考えております。

国立特別支援教育総合研究所の大内進上席総括研究員はイタリアの事例を挙げ、元々小学校の学級定員は二十五名と少ないのですが、障害のある子供が在籍する場合は二十人となっていました、さらに低学年では二学級に一名の教員が増員されていました、障害のある子供には支援教師が配置されていますのでインクルーシブ教育による担任への負担が偏ることもありませんと述べ、少人数学級におけるインクルーシブ教育の実践を紹介されています。

少し別の観点では、普通学級で少人数学級化が進まないことがインクルーシブ教育を阻害しているのではないかという問題提起もあります。

東京学芸大学の高橋智氏は、障害や特別ニーズを有する子供の学習を保障する通常学級の条件整備、これはクラスサイズの縮小や教師の加配、少人数教育、個に応じたカリキュラム等が十分に進展しないため、むしろ通常学級から障害や特別ニーズを有する子供が排除され、少子化にもかかわらず特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒が激増する事態が起こっていると指摘しています。

こうした意見を踏まえると、インクルーシブ教育を進める上でも少人数学級が必要だと感じております。

この点について、参考人の皆様お一人ずつから御意見をお聞かせいただけますでしょうか。

○参考人(三幣貞夫君)

インクルーシブ教育と少人数学級の直接の関係は、ちょっとお答えするものがないんですけど、ただ、インクルーシブ教育の展開ということで、私ども非常に、支援学級あるいはそういった該当する子供たちが多くなってきております。支援員を非常に多く配置しております。交付税措置されますのが、私どもですと三千万ほどです。これとは別に、市独自の予算で六千万を超えるお金を支出しておりまして、交付税措置だけで展開している市の三倍の支援員を保育所、幼稚園、学童保育、小中学校に配置しております。したがいまして、隣の市から特別支援学級に入るよう指導のあった子たちが転校してくるというような状況になってきておりまして、これ財政的にちょっと考えなくてはいけないなという問題も起きているような状況で、私も支援を必要とする子供たちに対応しております。

お答えから少しずれたかも分かりませんけど、私どもの現状とするとそういう現状になっております。

○参考人(藤井昌也君)

少人数学級とインクルーシブ教育の関わりというところ、私、済みません、そこまでの意識がなかったので、舩後ふなご先生の話を聞いて、ああ、なるほどなというふうに思ったのが確か、素直な思いです。

名古屋におきましては、高等特別支援学校を今つくろうとしています。それが今、名古屋市立の商業高校と同じ敷地内につくり、授業なんかも一緒にやったりとか、いろいろ部活なんかも交流したりということをちょっと考えているところではございます。

小中学校の方では、もちろん交流学級、学習とかいろいろなことは進めているんですが、少人数学級だからという部分からすれば、やはり目が行き届くということや小回りが利きやすくなるということで、お互いの関わりがきちっと持てるのかなというふうに思っていますし、結局は、社会に出てとか、それから、いろんな世界では様々な方がお見えだということならば、学校は全てそんなふうに障害があるなしで分けるんではなくて、一緒に生活をする、学習をするということは望ましいことではないかというふうに考えております。

○参考人(中嶋哲彦君)

私、子供が小学生のときに学校で障害者を理解する教育というのがあって親子参加でしたんですけれども、そのときに全盲の方を招いて生徒と触れ合うようなことがあったんですけど、感想を見てみると、障害がある人はかわいそうだ、不自由だ、そういう感想ばっかりなんですよ。おかしいだろうということで結構学校に抗議したんですけれども、それってやっぱり障害者を理解する教育になっていないんですよね。

その背景には何があるかというと、やっぱり障害者のことを本当に肌身で理解できていないんだろうと思います。私の子供たちは、幸いなことに全盲の子供さんと小さい頃一緒に遊んでいたんですよ。ジャングルジムで遊ぶんです。全盲の子がジャングルジムで遊んでいるので、うちの長男なんかはあの子は本当は見えるんだろうと言っていたんですよ。だけど、できるんですよ。そのことが分かっているから、全盲だということでかわいそうだなんという話にはならないです。

その意味では、インクルーシブ教育って本当に必要なことだ、どういう社会をつくるかというので本当に必要なことです。その際に、クラスサイズが小さくなるというのは、やっぱり子供同士の接点を増やしていったりとか、それから先生の目が行き届くようにするという意味でとっても大事なことです。

でも同時に、やはり先ほどの御発言にもあったように、障害のある人が入ってくることを排除しようとする人もいます。校長時代に障害のある生徒を一人入学させたんですけれども、大学本部から叱られました。何で入学させるんだ、まあこんなこと言うとあれですけど、そういうふうなことがありました。いや、何を考えているんだということで総長に抗議したことがありますけれども、そういうやっぱり視点もあるんですよね。

その意味では、障害のある人が障害のない人と一緒に、あるいは障害がない人が障害がある人と一緒に生活するためにやっぱり支援が必要です。支援をしっかり付けることで一緒にやっていける。だから、少人数学級だけでそれが実現するわけではなくて、少人数学級プラス必要な支援、これは必要だと思います。障害の方だけじゃなくて、外国語が必要な人にもそれは必要なわけで、それぞれのニーズに応じた応答性を示すということ、これがリスポンシビリティーですよね。責任があるというのはレスポンスすることですから、そういう学校になってほしいなと思います。そういう仕組みにしたいと思います。

以上です。

○舩後靖彦君

代読いたします。

本日は、貴重な御意見を本当にありがとうございました。

これで質問を終わります。