2021年6月11日 参議院北朝鮮による拉致問題等特別委員会質疑(拉致問題についての初質疑)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日、参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会での初めての質疑となります。質疑に当たって、様々な合理的配慮を検討、合意いただきました委員長、理事の皆様、委員の皆様に心から感謝申し上げます。

それでは、質問に入ります。ここからは秘書が質問を代読いたします。

代読いたします。

当選後の秋の臨時国会以降、私はこの特別委員会を希望し、所属してきました。国会議員として皆様と拉致問題について議論することを心待ちにしておりました。しかし、私が委員になってから今日の今日まで一度も質疑の機会を得ることができませんでした。

この間、拉致被害者の有本恵子さんの母、嘉代子さんが亡くなり、横田めぐみさんの父、滋さんも亡くなりました。未帰国の政府認定拉致被害者の親世代で御存命なのは、有本恵子さんの父、明弘さんと横田めぐみさんの母、早紀江さんの二人になってしまいました。拉致被害者家族の高齢化が進む中、拉致問題の解決は一刻の猶予も許されません。

まず、この特別委員会が一年以上にわたって実質審議が行われなかったことについて、加藤大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)

今議員御指摘のように、有本嘉代子さん、また横田滋さんが御逝去されました。二人の御存命中に恵子さん、めぐみさんとの再会を実現できなかったこと、私自身大変じくじたる思いであり、本当に申し訳なく思っております。

当委員会の運営に関しては、これは委員会でお決めいただくものと考えておりますけれども、国会で拉致問題について御議論いただくこと、様々な御意見、御提案をいただくこと、また、こういう場を通じて様々な発信にもつながっていくこと、大変意義深いものと考えております。本日のような機会、委員会でお決めをいただければ、政府として誠実に対応していきたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

次に、政府のおっしゃる拉致問題の解決の定義についてお尋ねします。

政府が考える拉致問題の解決とは何を意味するのでしょうか。政府認定の拉致被害者の方の帰国でしょうか。それとも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者八百七十三人を含めた全員の捜索、発見、あるいは帰国のことでしょうか。加藤大臣の御見解をお聞かせ下さい。

○国務大臣(加藤勝信君)

政府としては、拉致被害者として認定された十七名のほか、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者として、現在、八百七十三名について、国内外からの情報収集、分析、捜査、調査にも鋭意努めているところであります。

認定の有無にかかわらず、北朝鮮に拉致された全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

○委員長(山谷えり子君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山谷えり子君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

大臣は全ての拉致被害者とおっしゃいました。政府は被害者の数を正確に把握しているのでしょうか。加藤大臣、お聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)

政府としては、拉致被害者に関して様々な情報に接しているところでありますが、拉致被害者の安全確保にも関わることであり、お答えは差し控えさせていただいているところでありますが、誰を拉致しているかを知っているのは北朝鮮政府そのものであります。北朝鮮には、知っている全てのことを話し、そして全ての拉致被害者を一日も早く日本に帰国させてほしいと考えているところであります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

是非正確な情報をつかんでいただきたいと望みます。

質問を続けます。

菅総理は、施政方針演説で拉致問題を政権の最重要課題と御説明されました。しかし、本当に最重要課題として取り組んでおられるのでしょうか。さらに、菅総理は、拉致問題について全力を尽くすとおっしゃっていました。

では、実際、これまでどのように全力を尽くしたのでしょうか。また、どのような結果をもたらしたのでしょうか。今国会会期中に拉致問題についてどのような取組をなさったのでしょうか。拉致被害者、国民の皆様が分かるように御説明いただければ幸いです。加藤大臣に御見解をお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)

北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の安全に関わる重大な問題であり、国の責任において主体的に取り組み、解決を目指す課題だというふうに認識をしているところであります。

また、拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に行動するとともに、国際社会の理解と協力を得ることも重要であり、毎年、国際シンポジウムを開催するなど、国際社会への働きかけを行っているところであります。今年はコロナ禍にあって海外に行くことは困難でありますが、今月末に拉致問題に関する国際シンポジウムをオンラインで開催する予定であります。

また、菅総理は本年四月に訪米し、対面で行った日米首脳会談において、菅総理から拉致問題の即時解決に向けて引き続き理解と協力を求めたことに対し、バイデン大統領から拉致問題の即時解決への米国のコミットメントが示されたところでありますし、また、他の首脳会談あるいは電話首脳会談においてもそうした理解と協力を求め、また、それぞれ支持を得るべく努力をしてきているところであります。

引き続き、米国を始め関係国、国際社会と緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で対応していきたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

菅総理は、金正恩委員長と条件を付けずに直接向き合う決意を持っているとおっしゃっています。この条件を付けずにという言葉についてお尋ねします。

条件を付けずにというのは、拉致問題を一旦棚上げするという意味でしょうか。また、向き合うめどというのは立ったのでしょうか。前向きな御発言があると期待しておりますが、いかがでしょうか。また、状況について、当該家族に情報提供をしていますでしょうか。外交機密とはいえ、せめて当事者に伝えるべきではないかと考えますが、加藤大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)

何度も繰り返しになりますが、我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えには変わりはありません。

そして、条件を付けずとは、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、金正恩委員長と直接向き合うとの決意をより明確な形で述べたものであり、拉致問題を一旦棚上げにするといった意味ではありません。

日朝首脳会談について現時点でめどが立っているわけではありませんが、北朝鮮との間では、北京の大使館ルートなど様々な手段を通じやり取りを行い、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けた努力を行っているところでもあります。

また、御家族の皆さんには、菅総理も、また私自身も、四月七日の家族会、救う会との面会の機会を始めとして、様々な機会に直接お話をさせていただいているところであります。

北朝鮮とのやり取りの詳細については、事柄の性質上、今後の対応に支障を来すおそれもあるため、全てをつまびらかにお話しすることはできない面もありますが、今後とも御家族に可能な限り丁寧に情報を提供してまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

次に、外務大臣に伺います。

バイデン大統領は、対北朝鮮政策を見直し、現実的なアプローチを取ると表明しているとのことです。新聞各紙によれば、対価を与えながら段階的に非核化を目指すという方向性であると報じていますが、詳細は明らかになっていません。

政府は、米国の方針についてどのように考えているのでしょうか。また、それを踏まえ、日本独自の対北朝鮮外交をどのように展開されるのでしょうか。御見解をお聞かせください。

○国務大臣(茂木敏充君)

御質問ありがとうございます。

舩後委員にお答えをいたします。

北朝鮮にとっての最大の関心事と、これはやはり、現在の体制の保証を含めて、米国の対応がどうなっていくかということだと思います。

その米国バイデン政権、北朝鮮政策レビュー終えたところでありまして、ちょうど五月のG7の機会に日米韓の外相会合を開きまして、そこでブリンケン長官からその詳細な説明を受けました。

米国の政策レビューについて、我が国としては、一つは、米国政府が朝鮮半島の完全な非核化が目標であることや我が国を含む同盟国の安全確保のための取組を強化する旨明らかにしていること、そしてもう一点、政策レビューのプロセスにおいて日本側の考え方を米国にしっかりとインプットし、米国もこうした我が国や韓国との連携を重視しながらレビューを進めてきたことと、これを支持し、歓迎をしているところであります。

今後、北朝鮮政策を具体的に進めていくに当たって、この政策レビューの結果を踏まえ、日米、そして日米韓で緊密に連携をしていきたいと思っております。

我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指すとの方針に変わりありません。特にその中で、拉致問題の解決に向けては、何よりも我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると考えておりまして、政府一丸となって全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

終わります。ありがとうございました。