障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの全国大会で活動報告

2020年7月31日にオンラインで行われた、障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの全国大会で、2021年通常国会の活動報告を行いました。

当日、舩後ふなごが行った動画による講演をyoutubeに公開しましたので、ご覧いただければ幸いです。

なお、動画には字幕がついておりませんので、読み上げた内容は以下に掲載いたします。

<はじめのごあいさつ>

障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークの皆さま、大変お世話になっております。『れいわ新選組』舩後靖彦でございます。

今般は、今年1月の総会に引き続き、通常国会における活動報告という、私どもにとっては貴重な場を設けて下さいまして、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。

さてわたくし、人工呼吸器を装着しているため、発話が出来ません。その為、お聴き下さっているように、パソコン音声を用いて、発話に代えております。

活動報告に際しては、聞き苦しい点も多々あるとは存じますが、これも一つのテクニックと受け止めて頂き、お許しくださることをお願い申し上げます。

ところで、活動報告をさせて頂く前に、一言申し上げたいことがございます。私自身は、超重度の障害を抱える、一人の難病患者にすぎません。しかしながら、私を支える介助者を含めた事務所メンバーに、それぞれ非凡なる才覚を持つ人たちとチームを組むことが出来ました。これから申しあげることは、舩後靖彦事務所全員の力でなし得たことでございます。

一つ一つは、決して派手なものではありませんが、地味な要求にこそ障害のある皆さま並びに市民皆さまの、真の要求があると私は考えています。

ちなみに、僭越ではございますが、当事務所の理念を紹介させて頂きます。

「障害の有無を問わず、誰もが幸せになれる社会を創る。」

でございます。では、はじめます。

2021年の通常国会での主な活動として、委員会質疑、議連、要望活動、その他の活動の4項目を通じて、ご紹介をさせていただきます。

まず初めに、委員会質疑を通じた活動についてご紹介をいたします。私は現在、文教科学委員会と北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会に所属しています。通常国会では文教科学委員会で14回、拉致特で1回の計15回、質疑を行いました。このうち文教委員会では、予算や法案に関する審議、フリーにテーマを選べる一般質疑などを通じ、幅広い問題について取り上げました。

一般質疑のなかでは、ここにお示ししたとおり、当事者の方々から寄せられた障害関係の課題を積極的に取り組んでまいりました。

ここから、質疑を通じた成果についてこれから紹介いたします。

一つ目は、障害のある大学生の教育実習をめぐる差別事案です。

この問題を取り上げた質疑自体は昨年11月なのですが、結果が出たのは今国会中なので、ここで紹介をさせていただきます。事案の概要は、手話で会話をする「ろう」の学生がろう学校に教育実習に行った際、ろう学校の指導教員から声を出すよう強要された、というものです。

この問題は、秘書を通じて教育実習生の送り出し大学から相談を受け、差別的対応を受けた元大学生から直接、秘書・議員がヒアリングを数回行いました。質疑を行った後、文科省は今年1~2月、教職課程のある大学等に対して、障害のある学生の教育実習について、初めての実態調査を行いました。

実態調査の結果によると、「障害を理由に受け入れを断られた」ケースがあったり、「大学等における障害学生の必要な配慮の有無を把握していない」ケースがあったりする実態が明らかになりました。この結果を踏まえ、文科省は今年4月、大学や都道府県教育委員会に対して、通知を発出したのです。

「障害のある学生が教育実習に参加する際の支援について」とする通知は、障害のある学生に必要な配慮の教育実習実施前の把握、教育実習中の状況把握などについて求めています。

この件は先日、新聞記事でも取り上げられました。

こうした調査や、通知によって、差別的な対応がすぐになくなるわけではありませんが、障害のある学生が教育実習に当たり前に参加できる環境整備の第一歩になると感じております。

二つ目としては、先の国会で可決された教職員による児童生徒性暴力防止法に関する質疑です。議員立法によって、教員による性暴力を防ぐための法律です。質疑のなかでは、障害のある児童生徒の被害を防ぐため、被害にあった児童生徒への支援について尋ねました。法案には賛成をしたうえで、委員会としての意思を表明する「付帯決議」で、障害のある児童生徒への支援について盛り込ませました。なお質疑にあたっては、障害のある児童生徒の性被害に詳しい、弁護士さんたちの助力を受けました。以上、一部ではございますが、先の通常国会における委員会質疑の内容と主な成果について紹介しました。

次に、議連の活動についてご紹介いたします。

現在、25の議連に参加しています。障害福祉や教育分野だけでなく、さまざまな分野にわたって参加しています。通常は集まって会議をするのですが、コロナ感染拡大により、zoomを利用する機会が増えました。25の議連のうち、3つの議連で役員を務めています。

障害、高齢分野の主な議連はこのようなものです。

教育分野や人権問題についても、積極的に取り組んでいます。

外交問題や労働問題、空襲被害の補償の問題にも関心をもち、積極的にかかわっています。

こうした議連活動を通じて、先の通常国会で大きな動きがありました。昨年6月から参加していた「永田町子ども未来会議」の議連では医療的ケア児支援法案の立案、検討をしていました。法案要綱の段階で、当事者からのヒアリングを踏まえて修正を提案。当事者の声を反映させた結果につなげることができました。

この写真は、参議院で法案が全会一致で可決され、成立したことを祝したときに記念撮影したものです。

次に、さまざまな要望活動へのご対応などについて説明します。

国会議員事務所には、様々な団体・個人が陳情・政策提言のためにお見えになられたり、お電話、FAX、ホームページの相談コーナーから、ご相談・ご要望が寄せられます。また、受け身的にご相談等を受けるだけでなく、災害時などの緊急時には必要な要請を担当省庁、関係団体に機動的に行います。

ご要望、ご相談案件の中には、担当部署に確認するだけで解決するものから、担当省庁・機関に要望書を出して改善・検討の対応をお願いするもの、あるいは法制度全体に関わり、法改正のような長い取組みを要するものまで様々あります。

ここでは、個人・団体からのご相談・ご要望案件について、全体にもかかわる問題として担当省庁・団体に要望活動をした事例をご紹介します。

さまざまな分野で要望活動を行っておりますが、大きく分けるとこのような5つのジャンルで要望を行ってきました。少し具体的に紹介をしていきたいと思います。

一つ目は厚労省関連です。

昨年10月に重度訪問介護にかわる新しい制度ができたことを受け、都内の自立生活センターから、相談を受けました。相談を踏まえ、当事者が参加する形で厚労省によるレクをしてもらおうということになり、zoom勉強会を開きました。全国から約30団体・個人の方が参加していただきました。

次にコロナ関連です。

一つは、医療従事者のワクチン接種についてです。在宅生活を支える訪問看護師が優先接種から外れてしまっているのではないかという懸念を受け、2021年1月厚生労働大臣宛てに要望書を提出しました。

コロナ関連ではほかにも要望をだしました。患者団体の方からの情報提供で、ALS患者が感染、入院したことが判明しました。原因は、感染していたヘルパーに介護を続けさせていたからでした。ALS患者を支えるための医療的ケアとコミュケーション支援ができるヘルパーが少ないため、代替ヘルパーが見つからいことが背景にあります。そこで、2021年5月 厚生労働大臣宛に、「重度障害者の在宅介護職員(ヘルパー)に対する新型コロナウィルス感染症ワクチンの優先接種及びPCR検査の定期検査化等を求める緊急要望」を提出しました。

障害児教育関連についても取り組みました。

愛知県在住の人工呼吸器利用の中学生、保護者や支援団体からの要請を受け、受験時の合理的配慮提供や、定員内不合格を出さないよう要望しました。要望の前に行われた話し合いの場には、木村英子議員とともにzoomで同席もしました。地域での熱心な働きかけもあり、愛知県内での障害のある受験生の定員内不合格はゼロになったそうです。

医療的ケア児の親の付き添い問題も重要な課題です。

岡山県で、人工呼吸器使用の小学生の保護者に対し、看護支援員が不在のときや宿泊を伴う校外学習のときに保護者が付きそうよう求めてきた問題がありました。相談を受け、要望書を提出し、現在も現地で交渉が続いています。

今後も、現場から寄せられる声に機敏に対応していきたいと考えております。

最後に、その他の活動について簡単にご説明します。

普段の活動の情報発信は、HPとSNSを活用しています。残念ながら今なお、「障害のある議員に国会議員は務まらない」という偏見をお持ちの方もいるので、できる限り議員活動が分かりやすく伝わるよう努めています。月に1回、後援会の機関紙を発行し、会員の皆様に届けることも、大切な活動の一つです。

短い報告はツイッターやフェイスブックで、詳細な報告はホームページで行っています。

できるだけ見やすく使いやすいデザインになるようにしており、各項目には読み上げ機能を付け、視覚障害の方にも見ていただけるよう配慮しております。

委員会質疑については、ユーチューブに字幕付きの動画を公開しており、文字盤による再質問の様子なども詳しく紹介しています。

また、個別に寄せられる相談以外にも、当事者団体の方々と定期的に意見交換を行っています。本日の大会もそうでございますが、コロナの影響で対面ではなくネット会議システムを使う機会が増えました。遠方の方と意見を交わせるにはとても便利ですが、やはり皆様と対面でじっくりお話合いができればとも考えております。

次に、質問主意書の活用についてご紹介します。質問主意書は、分野を問わず政府の見解を問える手段です。

参議院議長を経由して質問文書を送ると、政府が文書で回答します。

舩後ふなご議員はこれまで、計3件の質問主意書を提出しました。

いずれも、厚生労働省の分野で、当事者や関係者からの要望を受けて取り組んだものです。2021年国会では、新型コロナのワクチン流通についての質問主意書を提出しました。

質問主意書の質問内容と回答はすべて、参議院のホームページで公開しておりますので、よければご覧ください。

また、議員外の活動として、大学などでの講義を行っています。この全国大会もそうですが、ほとんどがオンラインによる講義になっているため、事前に動画を撮影するなどして、自身の生活や活動について紹介しています。大学以外でも、「日本医療ソーシャルワーカー協会」などで、当事者としての体験を交えながら、発信をいたしました。

<さいごのあいさつ>

さいごに一言、申し上げます。

先日、障害のある外国籍の青年から、日本での大学院への進学について、ズームで相談を受けました。私個人としては、懸念する案件は多数存在します。が、私はその前日、進学可能性を追求せんと、あらゆる想像を巡らせ下調べを致しました。国会議員としての役割を果たさなければならないと感じたからです。

私を突き動かした要因の一つにある、障害児作の詩を紹介いたします。

【おかあさん、ぼくが生まれてごめんなさい】

ごめんなさいね おかあさん。

ごめんなさいね おかあさん。

ぼくが生まれて ごめんなさい。

ぼくを背負う かあさんの

細いうなじに ぼくは言う。

ぼくさえ 生まれてなかったら

かあさんの しらがもなかったろうね。

大きくなった このぼくを

背負って歩く 悲しさも

「かたわの子だね」とふりかえる。

つめたい視線に 泣くことも

ぼくさえ 生まれなかったら。

障害の子どもが、このような詩を書かなくなるような社会にすることが、私の責務であると考えております。

改めて、当事務所の理念、「障害の有無を問わず、誰もが幸せになれる社会を創る。」

を、実現化することを決意致しました。

今後も障害者の自立と政治参加を進めるネットワークの皆様も緊密に連携をお願いしたく存じます。わたくし並びに当事務所メンバーへのご支援、引き続き宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。