2022年3月16日 参議院文教科学委員会質疑(2022年度文部科学省予算に関して/医療的ケア児支援、重度障害学生・生徒への支援拡大)
○舩後靖彦君
れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本日は、令和四年度の文部科学省関連予算について質問の機会をいただき、ありがとうございます。
では、早速質問に移らせていただきます。
代読いたします。
まず、私も成立に関わった医療的ケア児支援法に関連し、学校における医療的ケア児支援について質問いたします。
来年度は、学校への医療的ケア看護職員の配置として600人増員の予算措置をいただいております。この間ずっとプラス300人でしたので、一気に倍増です。
しかし、予算を付けても、各自治体で看護師が不足している実態があります。そのため、保護者が通学や授業時間への付添いを強いられます。保護者自身も、就業や社会活動の機会が限られます。子供にとっても影響があります。家庭でも学校でも保護者が付き添うことで、子供同士の関係を築いたり、社会的に自立していったりすることの妨げになりかねません。
これらの状況を改善するため、医療的ケアに対応できる人材養成、研修の積極的な実施、支援体制の構築が必要です。看護師不足に対応するためには、医療的ケアのできる教員、ヘルパーの存在も重要です。ただ、教員は、日常業務での多忙さから考えて、医療的ケアを中心に担うことは難しいと考えます。現実的には、訪問介護等で日常的に本人に慣れているヘルパーが学校での医療的ケア及び学習支援に入るのが合理的ではないかと考えます。
文部科学省では、医療的ケア児支援法施行に当たって、令和3年9月17日に通知を発出しました。介護福祉士や一定の研修を受けた介護職員を学校に配置する際の留意事項として、看護師が巡回する体制を構築するなどの具体的な措置について改めて周知しています。
そこで、厚生労働省に確認いたします。
医療的ケアができる介護福祉士、ヘルパーの位置付けについて、学校に配置される介護福祉士や一定の研修を受けた介護職員は看護師の補助的な扱いなのでしょうか。当然、医療職でないとできない医行為はありますが、医師、看護師との連携は取れているという前提で、看護師が常時いなくても学校でヘルパーが医療的ケアをすることはできると解釈してよろしいのでしょうか。
○政府参考人(本多則惠君)
社会福祉士及び介護福祉士法では、介護福祉士については喀たん吸引等の行為を行うことができること、介護福祉士以外の者についても、一定の研修課程を修了したと都道府県知事が認定した場合に限り喀たん吸引等の特定行為を行うことができることが規定されております。これらの運用に当たりましては、医師や看護師との連携を確保する等の体制を求めているところでございますが、看護師を常時配置することは求めておりません。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございます。
医療的ケア児が学校で安心してほかの子供たちと共に学び、生活することができるよう、当事者に慣れたヘルパーを主体とし、指導的立場となる看護師が巡回し、フォローできる体制を全国的に整備していただきたいと切に要望いたします。
引き続き、医療的ケア児の学校における支援についてお尋ねします。
先日、障害のある大学生のオンライン交流会がありました。そこでは、全身性の重度の障害学生が、2018年度より始まった重度訪問介護利用者の大学等の修学支援事業を利用し、通学、修学における長時間介護を受け、大学を楽しんでいるという話を聞きました。
ノートテークなどの学習支援は、大学の障害学生支援のメニューで何とかなります。しかし、私のように生活のあらゆる場面で介助が必要で、かつ医療的ケア、コミュニケーション支援も必要となると、大学での合理的配慮の範囲の支援では追い付きません。就労時の職場介助制度でも同じです。私たちのような長時間介助が必要な重度障害者、コミュニケーション支援や医療的ケアの必要な障害者が一般的に利用している重度訪問介護という障害福祉サービスは、通学、修学、通勤、就労には使えません。
そのため、元々重度訪問介護を利用している大学生に絞って、市町村事業では、市町村事業である地域生活支援促進事業という形で予算化されました。制度があったおかげで大学に通えたなどの声もあり、重度障害を持つ大学生にとっては使い勝手が良いと高評価でした。
こうした現状を踏まえると、18歳以下の児童生徒についても拡大すべきではないでしょうか。重度の障害のある児童、18歳以下の重度の障害のある児童生徒にとっても、日常的に関わっているヘルパーが学校生活で、学校生活でも支援するのが一番安心感があると思います。先ほどの質問でも申しましたが、医療的ケアを必要としながら、在宅を、在宅生活をし、学校に通う子供たちが増えています。
そこで、厚生労働省にお尋ねします。
当事業を18歳以下の児童生徒に拡大することを検討してはいただけませんでしょうか。
○政府参考人(田原克志君)
お答えいたします。
障害のある方の修学支援につきましては、障害者差別解消法に基づいて教育機関等による合理的配慮が求められていることや、教育と福祉の役割分担の在り方等様々な課題がありまして、障害福祉サービスにおける個別給付の対象とはしていないところでございます。特に、18歳未満の障害のある学生に対する学内の介助や通学に対する支援につきましては、特別支援教育による支援の対象であることを踏まえまして、教育分野における支援との関係を含めた検討が必要が、必要と考えております。
今後とも、障害のある方の修学支援につきましては、文部科学省と十分連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。
○委員長(元榮太一郎君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(元榮太一郎君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
この問題は、我々障害者にとって越えられない壁のような大問題です。是非、私から厚生労働大臣に直接お会いして話したく思います。部長、そして審議官、大臣にアポイントをお願いできますでしょうか。
○政府参考人(田原克志君)
お答えいたします。
また具体的に御要望を伺いながら、具体的な対応について調整をさせていただきたいと思います。
○委員長(元榮太一郎君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(元榮太一郎君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
5分だけで結構ですので、お願いします。
○政府参考人(田原克志君)
お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、具体的な対応につきましては、今後調整をさせていただければと思います。
○委員長(元榮太一郎君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(元榮太一郎君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
一回チャンスをください。厚労大臣にアポイントをお願いいたします。
○政府参考人(田原克志君)
お答えいたします。
先ほど御質問をいただいております18歳未満の障害のある学生に対する学内の介助や通学に対する支援につきましては、特別支援教育による支援の対象であることも踏まえまして、教育分野における支援との関係も含めた検討が必要と考えております。
御質問の趣旨は十分理解しているつもりでございますので、舩後委員と後ほど調整をさせていただきたいと思います。
○舩後靖彦君
代読いたします。
是非よろしくお願いいたします。
就労分野でも同じように、重度訪問介護利用者を対象にした重度障害者等就労特別支援事業が2019年10月にスタートしました。しかし、実施自治体が圧倒的に少ないのが実態です。市町村事業にすると、やるやらないが市町村の判断に委ねられるため、地域格差が必ず生まれます。是非、国の責任で、重度訪問介護の利用制限を規定している厚生労働省告示第523号を撤廃していただき、年齢制限も緩和していただき、長時間過ごす学校、職場での介助ができるようにしていただきたいとお願いし、次の質問に移ります。
大学における障害学生への支援についてお尋ねします。
文科省は昨年10月、全国の86の国立大学に対し、障害学生支援の取組状況について調査を行いました。その結果によると、86大学中85大学で障害学生への授業や学生支援、学生生活について支援を行っている、若しくは支援体制が整っているとの回答でした。一方、18大学で専任の担当者がいない、7大学で紛争解決の調整機関がない、9大学で就職活動支援を行っていないか支援体制が整っていないといった課題も明らかになりました。
文科省は新年度予算で、支援体制が不十分な大学等への支援として2億5500万円を計上しています。今述べたような問題解消につなげてほしいと願いますが、それと同時に要請をいたします。
当事務所が実際に大学における障害学生の支援現場で働く専任スタッフにヒアリングをしたところ、支援窓口があることで教員が障害学生支援を丸投げしてしまう、一人で32人の支援に携わっており、250人の教員と対応している、教員とやり取りをしている、教務や保健管理など他部署との連携がつくりやすい環境整備が必要といった声が寄せられました。ただ窓口をつくった、職員を配置しただけでは、障害学生が当たり前に大学に通える体制にならないのは明らかです。また、今回は国立大学が対象になっておりますが、私立大学への支援も含め、是非現場の声に耳を傾けた支援体制構築につなげてほしいと思います。
大臣に前向きな答弁をお願いいたします。
○国務大臣(末松信介君)
舩後先生にお答え申し上げます。
障害の有無にかかわらず、全ての学生がその意欲と能力に応じて大学等で学ぶことができるようにその機会の確保と環境整備をすること、大変重要でございます。
このため、文部科学省では、昨年、国立大学に対しまして、障害学生支援の取組状況を調査いたしました。その結果を踏まえまして、第4次障害者基本計画の成果目標のうち達成率の低い項目を中心に、障害学生受入れの体制整備に必要な教職員人件費相当の経費を支援することとしまして、今お話がありましたように、令和四年度予算案で新たに2.5億円を計上したところでございます。また、私立大学に対しましても、私立大学経常費補助金を活用しながら、障害学生支援策の取組を促しているところであります。
一方で、障害のある学生への支援は、先生今御指摘のとおりです。支援窓口のみではなくて、関係部署が連携して取り組むことが重要です。支援窓口だけつくってもというのは全くそのとおりでございます。
文科省では、支援に当たって、基本的な考え方や合理的な配慮のやはり決定手順等を取りまとめ、学内の専門部署や学生の所属部局や担当教員が連携して取り組むように働きかけを行ってございます。例えば、修学支援でしたらやっぱり就職課とかそういうところがやっぱり真剣に聞いてあげる、聞かなきゃならないという、そういう気持ちを持たないとなかなか回っていかないものだと思っております。
文部科学省では、引き続き、設置主体を問わず、現場の声を踏まえました各大学に対する適切な支援に努めるとともに、障害学生支援への取組や学内の支援体制の充実を促してまいりたいと存じます。
○舩後靖彦君
代読いたします。
是非よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
先週の大臣所信に対する質問で、私は、コロナ禍の学校教育、オンライン授業について質問いたしました。令和3年3月19日に出されたGIGAスクール構想の最新の状況についてによりますと、GIGAスクール構想による一人一台端末配付を前倒しし、2021年3月末までに公立小中学校設置自治体の97・6%が納品を終えました。また、校内のネット環境は、公立高校も含めて97・9%が4月から始め、使い始められる状況ということでした。
しかしながら、GIGAスクール構想の対象外である高校への対応は自治体任せになっています。同じ調査報告書によると、公立高校で一人一台端末が整備できると回答したのは、20年度末までが12件、21年度中としたのは5件で、合計しても36%にすぎませんでした。また、端末の費用負担に関しては、最新の状況を文科省に確認したところ、保護者負担と自治体負担がほぼ半々とのことでした。
こうした対応が分かれた原因は、一人一台端末整備の対象になって、高校が一人一台端末の端末整備の対象になっていないためです。自治体の中には、岐阜県や熊本県のようにコロナ対策の地方創生交付金を端末整備に充てたところもあります。しかし、大規模な自治体ほど感染者数が多く、生徒数も多いため、端末整備に予算が回っていないようです。
これまで、児童生徒の端末、児童生徒の端末未整備支援として、高校段階の低所得者世帯等の生徒が使用するパソコン端末整備の予算化をされています。低所得家庭向けの補助は貸与が原則となり、保護者の負担で端末を用意する自治体の中には、県独自に端末購入費などを支援する奨学金を創設したところもあるようです。
このまま端末が用意できない都道府県では、中学まで貸与の一人一台端末で過ごしてきた生徒たちが、高校生になった途端、紙と鉛筆の世界に戻ることとなり、都道府県によって大きな格差が生じてしまいます。保護者負担で端末購入を呼びかけ、オンライン授業を進めている高校もあると聞きます。そうなると、既にタブレットやパソコンを持っている生徒や自費購入できる余裕のある家庭の生徒とそうでない生徒との間に同じ高校の中で大きな格差が生じてしまいます。
自費購入も含め既に端末の整備が済んでいる自治体との公平性の問題はありますが、高校、高校生に端末を行き渡らせるため、自治体に対する国の支援が必要と考えます。大臣、この点について御見解をお聞かせください。
○国務大臣(末松信介君)
御質問いただきまして、ありがとうございます。
先ほど吉良先生とも少し、御質問を受けまして、やり取りをいたしました。いろいろと、達成年度とかいろんなことについては、少し私の理解と違っているところあるかもしれませんので、それはきちっと調べたいと存じます。
この高校の端末整備につきまして、保護者負担を原則として個人端末の活用ということで、BYOD、ブリング・ユア・オウン・デバイスですか、あなたの端末機を持ってきてくださいで対応する自治体とか、様々な財源を確保して設置者負担での整備を進める自治体など、多様な実態がございます。
こうした中で、文部科学省では、令和2年度第3次補正予算におきまして、低所得者世帯の高校生への貸与等を目的として設置者が行う端末整備を支援してきたところでございます。また、昨年末に令和3年度補正予算に計上されました新型コロナウイルス感染症対応地方整備、地方創生臨時交付金の活用等を含めまして、令和四年度を見据えた整備を要請する通知を都道府県等に発出するとともに、私とデジタル大臣の牧島先生と連名によりまして大臣メッセージも発信するなど、整備を促してまいりました。
こうした中で、令和4年度には全ての都道府県、指定都市で高校一年生の一人一台の環境整備が完了予定であり、また、令和6年度までには全学年の一人一台環境整備が完了する予定となってございます。予定でございます。
文科省としては、全国どの高等学校においても一人一台端末環境ができる限り速やかに実現されるよう、必要な支援は行うことによりまして、今後とも設置者の取組を促してまいりたいというふうに思います。
課題のことは今お聞きをいたしました。ありがとうございます。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございました。質問を終わります。