2022年4月12日 厚生労働委員会質疑(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案、委員外質疑で厚労委員会初質疑)

○委員長(山田宏君)

この際、お諮りいたします。

委員外議員舩後靖彦君から社会保障及び労働問題等に関する調査についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(山田宏君)

御異議ないと認めます。

それでは、舩後君に発言を許します。舩後靖彦君。

○委員以外の議員(舩後靖彦君)

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日は、議員立法、障害者情報コミュニケーション施策推進法案に関しまして厚生労働委員会での質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。山田宏委員長、理事の先生方、とりわけ御尽力いただきました野党筆頭理事の川田龍平先生に厚く御礼申し上げます。

私は、働き盛りの41歳のときにALSを発症し、44歳で人工呼吸器を付けるために喉に穴を空けましたので、声を出して話すことができません。介助者が透明のプラスチック製の文字盤を指で指し示し、まばたきしたところで一文字一文字確定して、意思を伝えています。あるいは、皆さんがマウスでカーソルを動かすようにチューブを歯でかんでセンサーを作動させ、パソコンを操作して、文書作成やメール、ネット検索などをしています。また、眼球の縦方向の動きが難しいため、縦書きの文章は読めません。テキストデータを音声変換するソフトで音声読み上げをして聞いています。

このように、情報保障とコミュニケーション支援を必要としている私にとって、情報アクセシビリティー、コミュニケーション支援を保障する包括的な法律ができることは大変重要であり、ほかの多くの当事者の方々同様、長らく待ち望んでいた法律です。少しでも実効性のある良いものにしていただきたく、これから質問をさせていただきます。

まず、冒頭、大臣にお伺いいたします。

障害者総合支援法、バリアフリー法、読書バリアフリー法などにより、情報保障、コミュニケーション支援などの合理的配慮についての取組が広がってきています。しかし、地域、分野、行政、事業所ごとに対応の差が大きく、障害者権利条約の第21条が規定する表現及び意見の自由並びに情報へのアクセスが権利として可能となっている状況とは言えません。

大臣は、本法案の重要性に関してどうお考えでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)

本案の草案によりますと、本法案は、全ての障害のある方々が、社会の様々な分野において、必要な情報の取得や利用、円滑な意思疎通を行うことに関して、その重要性を改めて認識し、基本理念を定め、国や地方公共団体、事業者等の責務を明らかにするといった内容であると承知をいたしております。

厚生労働省としては、障害のある方々が必要な情報の取得や円滑な意思疎通を行うことは大変重要であると再認識するとともに、法案が成立した場合は、引き続き、意思疎通支援といった障害のある方々に対する支援にしっかり取り組むとともに、その充実に努めてまいります。

○委員以外の議員(舩後靖彦君)

ありがとうございます。

大臣の意気込みを感じることができ、大変心強い限りです。

次の質問に移ります。

本法案第十条に基づき、既存の障害者総合支援法、バリアフリー法、読書バリアフリー法、電話リレーサービス法などに規定されている情報保障、コミュニケーション支援施策、あるいは本法案第13条第2項が努力義務となっている点などの見直し、改正を行う事になると考えてよろしいのでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君)

本法案の草案によりますと、第十条において、政府は、障害のある方々が必要な情報の取得や円滑な意思疎通を行うことに関して、必要な措置を講じなければならないとされていると承知をいたしております。

法案が成立した場合は、意思疎通支援といった障害のある方々に対する支援に取り組むとともに、その充実に努めてまいりたいと考えております。

その上で、必要に応じて障害のある方々の情報保障や意思疎通に関係する法令の見直しや支援策の運用の改善等の検討がなされることになるものと考えております。

○委員以外の議員(舩後靖彦君)

ありがとうございます。

次の質問に移ります。

法案第13条第2項が努力義務になっています。国、地方団体が事業者の取組を支援すべく必要な施策を取る際、その範囲は地方公共団体によって違いはあるかと存じます。しかし、施策を取ること自体は努力義務ではなく、第1項同様に義務規定とすべきではないかと考えますが、厚生労働省としてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。

○政府参考人(田原克志君)

お答えいたします。

法案の草案によりますと、第13条第2項におきまして、国及び地方公共団体は、各事業者が行う意思疎通のための取組を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとされていると承知をしております。

各事業者が行う取組は様々なものがあると想定されますので、それらの取組を全て支援することは難しいと考えておりますけれども、障害のある方々が必要な情報の取得や円滑な意思疎通を行うことは大変重要であると考えておりますので、法案が成立した場合には、できる限り幅広い分野で支援が行われるように、必要な予算の確保も含めて取り組んでまいりたいと考えております。

○委員以外の議員(舩後靖彦君)

ありがとうございます。

次の質問に移ります。

法案策定過程で、幾つか法文の書きぶりについて要望、質問をいたしました。そのうち幾つかについては、法案の条文若しくはほかの法律でカバーされているという御回答をいただきました。それならば、法律の具体的な説明や解釈を施行規則の別表に例示するとか、関係機関へ法の周知をする際、Q&Aを作成して通知と共に配付する、ホームページで公表するなどして、法案の趣旨が具体的に見えるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(難波健太君)

お答えします。

共生社会の実現に向けて、障害のある方が社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加するために必要とする情報を取得、利用することや、円滑に意思疎通を図ることができるよう、障害のある方による情報の取得、利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進することは大変重要であると考えているところでございます。

法律が成立した場合でございますが、ホームページでの公表、また地方公共団体への通知の発出を始めといたしまして、関係省庁とも連携をして必要な周知を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○委員以外の議員(舩後靖彦君)

ありがとうございます。

今回の質問でもお分かりのように、私は、意思疎通支援、医療的ケア、見守りを含め、長時間にわたっての介助が必要です。それは重度訪問介護という障害福祉サービスで可能になっています。しかしながら、この制度は職場や学校では使えず、私が国会で活動している間の費用は参議院が支払っています。介助者もそのサービス内容も何も変わらないのに、ある場面では重度訪問介護が使えて、ある場面では使えないという不合理をなくし、利用者主体のシームレスな制度にしていただきたいと厚生労働大臣にお願いして、質問を終わります。

ありがとうございました。

○委員長(山田宏君)

本日の質疑はこの程度にとどめます。