【舩後・天畠対談 特別公開】後援会機関紙30号を発行しました

舩後靖彦の後援会機関紙「Funa GO!新聞」第30号(2022年8月号)を発行し、会員の皆様に発送いたしました。

今月は、舩後・天畠 両議員による特別対談です。

月に1度発行する機関紙のご提供は、後援会会員の皆様限定の特典となっております。

ぜひご入会をよろしくお願いいたします。

問い合わせ先

電話  03-6550-0302

ファクス 03-6551-0302

メール  yasuhiko_funago@sangiin.go.jp

 

第30号で掲載した対談記事について、天畠議員からの要望もあり、以下の通り、HPでも掲載いたします。


今夏の参院選で、れいわ新選組から全国比例(特定枠)で初当選した、天畠大輔さん。声を出せない重度障害者同士である、舩後靖彦議員が天畠・新議員と対談し、今の思い、6年間の抱負を語り合った。対談は7月19日、参議院議員会館の舩後事務所で行った。

【はじめに】

舩後靖彦議員は、進行性の難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行による全身マヒ、喉に穴を開けて人工呼吸器を装着しており、声を出せないことから、他者とコミュニケーションをとる際、主に①文字盤②意思伝達装置のパソコンを使い、文字を入力③あらかじめ用意した文章を介助者らに代読させる――といった方法で行います。今回の対談では、①と②を用いて天畠大輔さんと対話を行いました。

一方、言葉を発することができない重度障害者の天畠大輔議員も、他者とコミュニケーションをとる際は、①「あかさたな話法」②あらかじめ用意した文章を介助者らが代読する――などの方法で行います。

対談では、どのような言葉をどのようなコミュニケーション方法で行ったのかを明確にするため、

(文字盤)=(文)

(代読)=(代)

(あかさたな話法)=(あ)

という表記で示しています。

文章を通じて、声を出せない重度障害者の2人が、どのように対話しているのかを想像してみていただければ、幸いです。

それでは、対談をお楽しみください。

【対談本文】

◆天畠「重度訪問介護の制限を撤廃したい」

舩後(代読=以下、代):まずは当選おめでとうございます。いま、どのようなお気持ちですか。

天畠(あかさたな話法=以下、あ):特定枠の重みを感じています。(代)皆さんからの支援でいただいた議席なので、絶対に無駄にはしないという思いです。

舩(代):6年間でどのようなことに取り組みたいですか。

天(あ):(重度訪問介護の通勤・就労中などの利用制限を定めた)告示523号の撤廃(※1)を目指していきたいです。

舩(文字盤=以下、文):詳しくお話頂けますか。

天(あ):(仕事をしている間は重度訪問介護を使用できない仕組みを変えるために)今、厚労省と交渉しています。

舩(文):どなたと話されましたか?

天(あ):課長補佐さんと話しました。

舩(文):もっと上の方と話されないと難しいと思います。

天(あ):課長にきてほしいと頼みましたが、難しいと言われました。議連をつくるなど様々な方法で挑戦したいと思います。(代)参議院が(特例的に)介助費用を支払う(※2)と言われましたが、それだと他の重度障害者と差がついてしまう。特権階級的な扱いを受けることに迷いがあります。

舩(文):ところで、どの委員会の所属を希望されますか。

天(あ):厚生労働委員会で重訪の問題に正面から取り組みたいです。ただ必ずしも希望通りにならないことも承知しているので、総務委員会も希望しています(※3)。投票のバリアフリーに取り組みたいからです。舩後さんもご協力いただけませんか。

舩(文):ぜひ!

天(代):施設に入居している障害者、高齢者などが選挙制度にアクセスしづらい現状があります。すべての人が等しく参加できるものにしたいです。実は今回初めて、郵便投票制度を利用しました。障害者手帳1級や要介護認定5の方が対象です。書類を取り寄せ、記入して返送し、投票用紙が届き、郵送で投票、というとても長い道のりでした。障害者手帳の原本を送らなければならないことも驚きでした。「郵送するしかないか」と思ったら、市職員がわざわざ訪問をしてくれました。写しでよければ職員の効率化にもなるのに、です。合理的なルールの見直しが必要です。

◆委員会質疑で「あかさたな話法」を 合理的配慮求める

舩(代):私と天畠さんは、声を出せないという共通点があります。委員会質疑で、私は文字盤による再質問の際は、質問時間が減らないように速記(議事進行)を止めるという合理的配慮を受けています(※4)。天畠さんはどのような配慮を求められますか。

天(あ):あかさたな話法で質問できるよう合理的配慮を求めています。(代)具体的には、「あかさたな話法」による発言時は原則として速記を止めず、介助者による読み取りの過程を議事録に残す▽介助者による通訳・代理発言を認める▽「あかさたな話法」による読み取りの時間を含めると、通常の質疑時間の1・5倍の時間がかかる。このため、割り当てられた質疑時間に対して、1・5倍の時間延長を合理的配慮として認める――などです。舩後さんが「委員会質疑で文字盤再質問時には速記を止める」という合理的配慮を受けることになった経緯を教えていただけますか。

舩(代):時間延長を求めていましたが、残念ながら認められませんでした。話し合いの結果、文字盤の再質問時は持ち時間が減らないという合理的配慮となりました。

(舩後介助者):介助者の立場からの思いをお話します。委員会質疑の場にいくと、後ろに刺さるような視線を感じ、気持ちが負けそうになることもありました。

天(あ):秘書と介助者の連携も大切になりますね。

舩:(まばたきで、うなづく)

◆共通の趣味の「読書」の方法を語り合う

舩(代):私は全身マヒで弾けるギターを使ってバンド活動をしています。お仕事以外で、天畠さんはどんな趣味や活動をしていますか。

天(あ):読書と映画鑑賞、セブンイレブンのスイーツを食べることです。

舩(文):読書をどのようにされていますか。私はオーディオブック(聴く本)と電子書籍を購読しています。

天(あ):オーディオブックは、途中で寝るとどこまで読んだかわからなくなってしまいます(笑)(あ)ファッションについて質問です。洋服は既製品ですか?それともオーダーですか?

舩(代):既製品です。外国産のものだと手が長いので、それを直すくらいです。

天(あ):(本会議場で着用が必要な)ジャケットの着用は免じてもらうよう、交渉中です。筋緊張が出て(体が大きく動いて)しまうので。出馬の記者会見のときもスーツを着ましたが、シャツが透けるくらい汗をかいてしまいました。

舩(代):最後に、応援している人へのメッセージをお願いします。

天(あ):みなさま、一緒に政治を、社会を変えていきましょう。

舩(文):ありがとうございました。それを大きな目標に掲げ、ご活躍なさることを期待しております。

【注】

※1 厚生労働省の告示523号では、重度訪問介護サービスの対象から、「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」が除外されている。この告示は、重度訪問介護だけでなく、同行援護(視覚障害者への移動中の支援・介所)、行動援護(行動障害のある知的障害者への移動中の支援・介助)、さらに総合支援法に位置付く地域生活支援事業(自治体の事業)の移動支援についても適応されている。この告示に基づき、自治体は、就労・就学のみならず、習い事、飲酒を伴う外出、政治活動には重度訪問介護は用いることができない、というガイドラインを作っているため、障害者は、健常者なら当たり前にできる活動ができない。告示523号によって障害者の社会参加が著しく阻害されているといえる。

※2 現行制度では経済活動中(仕事中)の重度訪問介護は利用できないため、舩後、木村両議員の介助費用は特例的に参議院が負担している。両議員は制度変更を求めているが、実現していない。

※3 2022年8月の臨時国会前に所属委員会が決定し、天畠議員は第一希望の「厚生労働委員会」への所属が決まった。

※4 舩後議員が「文字盤」を使って再質問する際は、速記を止める、つまり議事進行を止め、持ち時間が減らない合理的配慮が認められた。これ以外にも、パソコンやウェブカメラの使用、音声読み上げを行う意思伝達装置、介助者の同席、秘書による代読など、さまざまな合理的配慮が認められている。こうした合理的配慮は、議員が所属する各委員会で決められている。天畠議員も所属する厚生労働委員会のなかで、提供される合理的配慮が決められることになる。

【あかさたな話法】

介助者に「あ、か、さ、た、な」と順番に発音してもらい、音に合わせて天畠議員が腕を動かし、合図を送る。行が決まったら「あ、い、う、え、お」と発音してもらう。これを繰り返して1文字ずつ文章をつくる。文字を書いたり、言葉を発したりできない天畠さんが、母親とともに考案した。

【略歴】

てんばた・だいすけ

1981年生まれ。14歳の時、医療ミスで、四肢麻痺・視覚障害、嚥下障害、発話障害を負い、車椅子生活に。ルーテル学院大学、立命館大学大学院を経て、2019年に博士号取得。現在は、重度身体障害者の介助付き就労にまつわる研究を行う。所属は中央大学社会科学研究所客員研究員。