舩後、木村、天畠3議員で障害者総合支援法等の束ね法案提出反対の要望書を提出/抗議声明を発表

現在開かれている臨時国会において、内閣は障害者総合支援法等5つの改正法案(障害者総合支援法・精神保健福祉法・障害者雇用促進法・難病法・児童福祉法)を束ねて提出しました。

提出に先立つ13日、れいわ新選組の舩後靖彦、木村英子、天畠大輔3議員は、岸田文雄・内閣総理大臣宛てに、5つの改正法案を束ねて提出しないよう、要請しました。障害や難病をもつ当事者にとって、ひとつひとつの法律が生命にかかわる重要なものであり、束ねて審議するものではないと考えているからです。

障害者の生活や命を左右する重要な法案であることに加え、改正内容について丁寧に審議をする必要があります。にもかかわらず、この5つの改正法案を一つに束ね、一括して審議してしまうことは、障害者の人権を侵害するだけではなく、命までも脅かしかねません。

13日の要請では総理への面会を断られ、官邸の外で職員に要請文に渡さざるを得ませんでした。要請内容も受け入れてもらえず、政府は5つの改正法案を束ねて提出したことから、14日、3議員連名で抗議声明を発出いたしました。

2022年10月13日

内閣総理大臣

岸田文雄 様

参議院議員

舩後靖彦

木村英子

天畠大輔

障害者総合支援法等の束ね法案提出反対の要望書

連日のご活躍に敬意を表します。さて、第210回臨時国会において、障害者総合支援法・精神保健福祉法・障害者雇用促進法・難病法・児童福祉法の5法案が束ねて提出される見通しでございます。しかしながら、障害や難病をもつ当事者にとって、ひとつひとつの法律が生命にかかわる重要なものであり、束ねて審議するものではないと一同考えております。障害者に関わる法案が束ねられることなく、丁寧な審議がなされるよう、要望いたします。

今回の法改正のうち、特に精神保健福祉法改正案は、障害者の居住支援や相談支援、就労支援の改善に関わる障害者総合支援法や障害者雇用促進法の改正案とは異なり、医療保護入院の入院期間や身体拘束の要件の見直しが中心となっています。また、難病法・児童福祉法においても、医療費助成の制度改善が主な改正点となっています。つまり、今回の障害者総合支援法等改正案との関連性は極めて低く、一本化する理由が見当たりません。

さらに、障害者総合支援法の改正案は、令和6年度報酬改定と一体となっており、本来は期間の短い臨時国会に上程されるようなものではないと存じます。結論を申し上げれば、次回通常国会において十分に時間をかけて審議すべきであると考えます。

いくつかの障害者団体からも、「束ね法案ではなく、それぞれの法律において十分な審議時間を確保しての法案に」「精神保健福祉法改正案についてはより一層丁寧な議論を」と伺っています。

特に今年は、障害者権利条約の初の対日審査が開かれました。結果として、『国連障害者権利委員会』から政府に対し、精神保健福祉に関する強い勧告が出されています。

それにもかかわらず、感染症法改正案等の大型法案の裏で、障害者に関わる複数の法案を1本に束ね、丁寧な審議をしないまま通してしまうことは、障害当事者の存在をないがしろにすることにつながりかねません。

われわれ障害当事者議員は、国会議員である前に、国の保障がなければ生きていくことができない一人の当事者です。障害者に関する法律を束ねることは、人権軽視と考えます。法案を束ねることはやめていただきますよう、要望いたします。

以上

障害者総合支援法等の束ね法案提出に抗議する声明

れいわ新選組

舩後靖彦

木村英子

天畠大輔

私たちは、現在開かれている臨時国会において内閣が障害者総合支援法等5法案を束ねて提出したことに抗議します。

私たちは、今回の束ね法案に反対する理由や、障害者の現状を直接知っていただくために首相への面会を求めました。しかし断られたため、10月13日に障害当事者議員3名で官邸に直接赴き、要望書を提出してきました。

今回の5法案の中には、障害者総合支援法において、障害者の生活の場の一つであるグループホームに期限をつける改正や、精神保健福祉法で本人の同意なく入院させられる範囲が拡大する改正など、様々な障害者の生活や人権に直結する内容が多く含まれています。また、障害者雇用に関する改正も含まれていますが、私たちが厚労省に求め続けている「重度訪問介護を利用しての通勤・就労」については何ら改善はなく、内容も不十分なものとなっています。

このように一つ一つの法案が、障害者の生活や命を左右する重要な法案であるにもかかわらず、この5法案を一つに束ね、一括して審議してしまうことは、障害者の人権を侵害するだけではなく、命までも脅かしかねません。

これまで、障害当事者議員が少ない中で審議されてきた法律や制度によって、障害者の現状が置き去りにされてきた歴史があります。2003年には措置制度から契約制度に移り変わり、その後自立支援法・総合支援法と変遷するたびに、私たちの生活と命が脅かされてきました。制度の変遷に振り回されながらも、その度に一から生活を作り直し、やっとの想いで命をつないできました。

私たちは、障害者の人たちの苦しみと願いの信託を受けて議員になりましたが、このような厳しい現状は国会議員になった今でも同じです。法律や制度が変えられてしまう恐怖を、今でも同じように痛感しています。

2016年には障害者差別解消法が施行されましたが、障害者に対する理解はまだまだ社会に浸透していません。国会においても、障害当事者議員への合理的配慮は進んでいません。そんな中で審議が不十分では、障害者の生活や命が奪われてしまいます。束ね法案ではなく、一つ一つを時間をかけて審議することが不可欠です。

さらに今年の9月には、国連の障害者権利条約の対日審査において、障害者施策に関して、医療モデルから、「社会モデルや人権モデル」への転換が勧告されました。これを受けて国会は、様々な障害者のあらゆる場面での社会参加が実現できるように、差別解消に向けた警鐘を鳴らす責務があります。

それぞれの障害者の生活を改善していくためにも、国会から障害者への差別を解消していくためにも、束ね法案提出には抗議することを表明します。

以上