2022年11月16日 参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会質疑(10増10減法案、杉田水脈・総務大臣政務官の「生産性発言」について)、反対討論

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

私は、難病ALSの進行により、喉に穴を空けて人工呼吸器を付けています。声を出すことができないため、パソコンによる音声読み上げ、文字盤による文章作成、秘書による代読によって質問を行います。聞き取りづらい部分もあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

まず、公職選挙法改正案について伺います。

一票の較差の是正は重要です。しかし、今回の10増10減では、議席が増えるのは大都市、減るのは地方で、都市部偏重が加速し、地方の疲弊が進むばかりです。

一票の較差解消のためには、国会議員の定数増も方法の一つです。多様な民意を反映する観点からも有効です。人口100万人当たりの国会議員数は、イギリスが22.5人、フランスで14.3人、ドイツは8.6人、日本はたった5.7人、日本の議員数は決して多くないのです。

政府は、一票の較差が開く中、選挙があるたびに区割りを変えるという場当たり的な対応を繰り返してきました。なぜ、議員定数を増やし、格差解消を進めてこなかったのでしょうか。総務大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(寺田稔君)

御指摘のようなこの御意見もあることはよく承知をいたしております。

今回のこの、今御提案をさせていただいております区割り改定、これは最高裁判決等を踏まえ、アダムズ方式により計算がなされ、そしてまた、区割り審の勧告を受けて法案提出に至ったものでございますが、このアダムズ方式導入に至ります平成28年の衆議院選挙制度に関する調査会の答申によりますと、現行の衆議院議員の定数は国際比較、過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難いとしつつも、衆議院議員の定数削減は多くの政党の公約であり、主権者たる国民との約束である、このことから、削減案を求められるとするならばとして、衆議院議員の定数を10名削減して465名とする案が示されました。この衆議院議員の定数の在り方については、御指摘のように様々な御意見があろうと思います。

いずれにいたしましても、選挙制度の根幹に関わる大変重要な問題でございますので、各党会派におかれまして、御議論いただくべき事柄であると考えております。

○舩後靖彦君

次に、杉田政務官に質問します。

先週の天畠委員の質問に対する回答は、重度障害者として聞き流すことはできません。

先週の杉田政務官の答弁などをまとめた資料1を御覧ください。

確かに、政務官が直接言及したのはLGBTカップルについてです。しかし、改めて言います。あなたの主張は、生産性のない人間は生きている価値がない。日本は借金だらけなのに生産性のない人たちにお金を回しているという植松死刑囚の主張と全く同じです。生産性、社会の役に立つかどうかを物差しに人の価値を測る優生思想はこの社会に蔓延し、私たち重度障害者、病気や高齢で働けず支援を必要としている人の生存を脅かしています。

新型コロナ感染が拡大し、人工呼吸器やECMO(エクモ)が足りなくなったとき、高齢、障害のある人は若く健康な人に譲るべきという誤ったトリアージ論が浮上したのを御存じですか。

政務官の文章の結論は、普通であることを見失っていく社会は秩序がなくなり、いずれ崩壊しかねない、私は日本をそうした社会にしたくありませんとあります。政務官は、自分の価値観から見た普通でない人、秩序の枠に当てはまらない人の存在を否定しています。政務官の主張は、社会的マイノリティーを排除していくことにつながり、断じて容認できません。

改めて、主張を撤回し、LGBT当事者、生産性で切り捨てられてきた障害者や病者、高齢者への謝罪を求めます。

○大臣政務官(杉田水脈君)

御指摘の雑誌の寄稿については、既に、多様性を尊重することは当然のことだと認識していること、当事者の方々の人権を否定するつもりも、偏見を持って差別する意図も一切ないこと、障害者や高齢者、難病の方、子供を持っておられない女性を差別するような言及は一切なく、また考えてもいないこと、LGBTの方々への理解増進はもとより、差別やいじめのない社会に向けて努力してまいることなどの見解を既に表明をしているところであり、現在も今申し上げたとおりの認識でございます。

また、繰り返しになりますけれども、障害を持つ方や高齢者や難病の方、子供を持っておられない方々を差別するような言及は、今までも、その論文の中でも一切しておりませんし、そういう考えは一切持っておりません。

以上でございます。

○委員長(古川俊治君)

速記を止めてください。

 〔速記中止〕

○委員長(古川俊治君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

私を含め、なぜ障害者や、障害者などが差別や排除をされたと感じているか分かりますか。

○大臣政務官(杉田水脈君)

配慮を欠いた表現があったことは率直に反省をしております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

私の質問に答えてください。

○大臣政務官(杉田水脈君)

そういった配慮を欠いた表現をしたことは反省をし、また、理解を深め、差別のない社会、そして暮らしやすい社会の実現のために今までもしっかり努力をしてまいりました。これからもしっかりと努力をしてまいりたいというふうに思っております。(発言する者あり)

○委員長(古川俊治君)

今合図が、答弁していますから。今合図あるから、向こうから。舩後さん、舩後さんから合図がいただくことになっているんです。

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(古川俊治君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

謝っていただけないのですか。

○大臣政務官(杉田水脈君)

何度も申し上げますが、私は、障害を持つ方や高齢の方、難病の方、子供を持っておられない方々を差別するような言及は一切いたしておりません。そういう考え方も一切持っておりません。また、論文の中にもそういった内容は一切書いておりません。

以上でございます。

○委員長(古川俊治君)

速記を止めてください。

 〔速記中止〕

○委員長(古川俊治君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

あなたを政務官に任命した岸田総理の見識を疑います。

以下、用意していた原稿を代読します。

多様な人が多様な意見を持っている中で、その調整をし、より良い社会をつくっていくのが政治の役割だと考えております。多数派が少数派の多様な意見を排除したり、強者が多くの支援を要する人を駆逐していく弱肉強食の社会にならないためこそ政治があるのです。杉田政務官に辞任を求め、次の質問に移ります。

次に、障害のある人の選挙活動における合理的配慮について伺います。

資料2を御覧ください。

これは、障害のある議員らによる障害者の自立と政治参加をすすめるネットワークが行ったアンケート調査の結果です。移動や建物のアクセス、情報保障、障害福祉サービスが政治活動に使えないことなど、障害のある候補者には障害のない候補者と比べ、多くのハンディがあることが分かります。

車椅子利用者の多くが、選挙カーの乗り降りに時間が掛かり、有権者と出会う機会が制限されること、車椅子対応宿泊施設の少なさを挙げています。日常使用のリフト付き福祉車両を選挙カーとして使えず、選挙カー用に更に一台用意しなければならないという声もあります。地方選挙は、有権者と会い、地域の課題を共有することから始まります。体力的に一日12時間動けない、有権者と出会う機会が限られるため、選挙期間を障害のない候補者より延長してほしいという提案もあります。

高校、大学受験や公務員採用試験では、試験時間の延長が実施されています。障害のある人がない人と平等に被選挙権を行使するために何が課題か実態調査を行い、公職選挙法及び規則を見直し、合理的配慮の検討をお願いしたく存じます。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(寺田稔君)

御指摘のように、選挙の公正を確保しながら障害がある方々の政治参加を進めることは重要な課題であると認識をいたしております。

選挙運動は有権者に誰を選択すべきかの判断材料を提供するものですが、選挙の公正を確保するため、選挙運動には一定のルールが設けられており、これはこれまでも各党各会派における熱心な御議論の積み重ねの中から現在の制度となっております。

若干の例を最近の例で申し上げますと、この選挙運動期間における候補者情報の充実、また有権者の政治参加の促進のため、インターネット選挙運動が解禁をされました。また、発語障害のあられます方々が立候補されます場合におきましては、政見放送の録音を行います際に、あらかじめ提出をされました原稿に基づいてNHKなどの方でこの録音したものを使用することができるような規定となっているところでございますが、いずれにいたしましても、御指摘のような、候補者が行う選挙運動の実態を確認することや、これまでの状況を踏まえた合理的配慮の検討などについては選挙運動の根幹に関わる大事な論点でございます。各党各会派におきまして御議論いただくべき事柄であると考えております。

○委員長(古川俊治君)

時間が来ていますので、よろしくお願いします。

○舩後靖彦君

代読いたします。

国会、地方議会に多様な声が届くよう、障害のある人とない人が平等に選挙に臨める環境整備についての検討を国会議員の皆様にもお願いし、質問を終わります。


◆反対討論

○舩後靖彦君

私は、れいわ新選組を代表し、公職選挙法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

一票の較差の是正は、最高裁が指摘するように、憲法14条の平等原則から導かれるものであり、無視できるものではありません。しかし、一票の較差を是正するために都市部の定数を5増やし、地方の定数を5減らしてしまえば、都市部偏重、地方軽視の状況に陥ってしまいます。地方の意見が国会に届きにくくなり、より地方が疲弊します。都市部にとっても、一票の較差の是正のために選挙があるたび区割りを変えていくことは、場当たり的な解決策、問題の先送りでしかありません。

そもそも、この間、自公政権が継続する中で議員定数を削減する一方、国は財政再建、構造改革の名の下に緊縮財政を推進してきました。これが地方疲弊の根本的な原因です。

れいわ新選組は、多様な民意を反映するためにも、先進国の中でも極端に少ない国会議員の数を増やすべきだと考えます。身を切る改革などというスローガンはこの現実を無視したものです。日本の人口100万人当たりの国会議員数は、世界で168位、OECD加盟国38か国中35位、ほかの国と比べても少ないと言われています。衆議院、参議院共に、まずは減らしてきた議員定数を増やすことによって一票の較差の是正をすべきでしょう。

一票の較差の根本的な原因は、地方から都市部への人口流出です。そして、それに対する有効な施策を講じず、地方の過疎化を招いてきた時の政権の失策があります。

地方を活性化するために、地方への交付金を増やすなど積極的な財政支出により、地域活性化の施策を国として推進することを求め、反対討論といたします。