2022年12月6日 「国連の勧告実施を求める院内集会」に参加、報告

12月6日(火)、舩後は「国連の勧告実施を求める院内集会」(於:衆議院第2議院会館 第1会議室)にオンラインで参加し、8月にジュネーブで行われた国連・障害者権利委員会の対日本政府報告審査の傍聴経験を踏まえ、挨拶をしました。

この集会は、障害者権利委員会に日本政府報告書に対するパラレルレポートを提出し、ジュネーブで障害者権利委員会のブリーフィング(事前説明)にも参加した4団体(障害児を普通学校へ・全国連絡会、公教育計画学会、インクルーシブ教育情報室、TOYONAKAWAKATSUDO)を呼びかけ団体とする「国連勧告実施・インクルーシブ教育実現ネットワーク(準備会)」の主催によるもの。

9月9日に障害者権利委員会から日本政府に対する総括所見が出されましたが、「特別支援教育をなくし、インクルーシブ教育を実施するための国家政策の作成をする」という勧告を受けて、文科大臣は13日の定例記者会見で「特別支援教育は中止しない」と回答しました。

これに対して、勧告実施のためにどのような取組みを進めていくかの基調提案が行われました。続いて4不団体からの報告、通常学校への就学を拒否されている当事者や、特別支援学級からの交流時間を半分以下に限定すべきという文科省の4月27日付通知に対して、大阪弁護士会に人権救済申し立てをした方などから訴えがありました。

インクルーシブな社会は誰も排除しない、分け隔てられることなく共に学び・育つことから始まることを訴える参加者の声を聴き、舩後は参加した国会議員とともに取り組んでいくことを改めて約束しました。

皆様 こんにちは。れいわ新選組・参議院議員の舩後靖彦でございます。

私もジュネーブに行き、日本から参加された障害者団体、関係団体の皆さまと共に、障害者権利委員会の審査を傍聴してまいりました。

ジュネーブに行かれた皆様、またインクルーシブ教育実現に向けて取り組んでおられる皆様とともに、会場で熱い議論に参加したかったのですが、急きょ外出を控えなくてはならぬ状況となり、オンラインでの参加となりました。残念でなりません。

さて、9月9日に発表された障害者権利委員会の総括所見は、ほぼすべての条項に及ぶ膨大なものです。その中でも、19条・「自立生活と地域生活へのインクルージョン」と、24条・「インクルーシブ教育」に関する勧告について、「緊急の措置を講じる必要がある」と注意喚起しています。

このことについて、日本の国別報告者のラスカス委員は、来日公演の中で、「障害の有無で分離した特別支援教育は、インクルーシブな社会で暮らしていく道のりを否定し、将来、施設で暮らすことにつながる。インクルーシブ教育なくして、障害のある人の地域社会での自立生活はあり得ない」と強調されました。全く同感です。

しかし、文部科学大臣は9月13日の記者会見で、「現時点において、特別支援教育を中止することは考えてはおりません。」と答えられました。

早速、文教科学委員会でこの発言について質問いたしましたが、相変わらず、「障害のある子どもと障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、教育的ニーズに応じた多様な学びの場の整備を両輪として取り組んでいく」というお答えでした。

障害者権利条約24条(教育)の条文解釈ともいえる、一般的意見第4号では、「第24条の完全な実現に向けて、主流の教育制度と特別支援/分離教育制度という2つの教育制度が持続されることとは相容れない」と、明確にインクルーシブ教育への転換を求めています。この回答は総括所見を正しく理解しようとしない文科省の姿勢の現われであると、心から残念に思います。

今すぐ制度転換することは難しくとも、少なくとも地域の学校への就学拒否をなくすために、いくつかの自治体で実施しているように、就学時健康診断の通知とともに就学通知を全員に送るという方式は今すぐでもできるはずです。

当事者、関係団体の皆様、保育・教育関係の皆さまのご意見を伺いながら、権利条約の完全実施に向けて立法府の場で取り組んで参りたく存じます。共に頑張りましょう。