2023年1月27日 参議院本会議 代表質問

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

会派を代表して、政府四演説に対する質問をいたします。

質問の前に、一言申し上げたく存じます。

私は、難病、筋萎縮性側索硬化症、ALSの進行により、喉に人工呼吸器のチューブを差し込み呼吸をしています。ゆえに、声を出すことができません。したがいまして、パソコンを用いて、電子音声の読み上げによって質問を行います。代表質問がこのような形で行われるのは憲政史上初めてです。これは私だけでなく、ほかの人工呼吸器利用者、言語障害のある人が当たり前に本会議場で質問できる道が開けたこととなります。心よりうれしく思っております。重度障害者への合理的配慮の提供を認めてくださった皆様に改めてお礼を申し上げます。

それでは質問に移ります。

総理は、施政方針演説で、不安定で脆弱なサプライチェーン、世界規模でのエネルギー・食料危機、人への投資不足など、グローバリゼーションの変質、変容を指摘し、今こそ新たな方向に足を踏み出さなければならないと宣言されました。その上で、新たな時代にふさわしい国際秩序をつくり上げていくために5年間で43兆円の防衛予算を確保し、反撃能力も保有すると明言されました。

しかし、敵基地攻撃能力を幾ら抑止力、反撃能力に言い換えても、相手からすれば軍事的な脅威であり、威嚇です。専守防衛から逸脱する事実上の改憲です。これほどの転換にもかかわらず、安保三文書を昨年の臨時国会が閉会した後に改定してしまいました。

戦争ができる国に向かおうとする軍拡の前に、戦争がもたらしてきた現実に目を向けるべきです。ロシアのウクライナ侵攻を見ても明らかなように、戦争は社会で最も弱い人々にしわ寄せが向かいます。今、この瞬間も、国内に貧困や病などに苦しむ人々がいます。そうした一人一人を守れずに国を守ることはできません。

戦争を防ぐための行動が今こそ必要です。防衛予算を減額し、その分を国民生活の向上に直結する予算に組み替えるべきだと私は考えます。岸田総理の見解をお示しください。

この国を守るとは、あなたを守ることから始まる。れいわ新選組の基本理念です。その一丁目一番地は一人一人の所得向上であり、あらゆる分野における国内生産体制の回復です。れいわ新選組は、消費税廃止や一律給付金のように国民生活を底上げする経済政策を掲げています。また、介護、保育従事者への月給10万円アップや、10年間で官民合わせて200兆円のグリーンニューディール政策を緊急政策として訴えてきました。

総理は、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組んでいくとおっしゃいました。さらに、1月24日の令和3年度決算に関する本会議では、我が会派の大島九州男議員の質問に対して、国債は国民の借金ではないと答弁されました。

足下の物価高に的確に対応するならば、まずは消費税を減税することが最も有効な物価高対策ではありませんか。総理の消費税減税に向けての決意をお聞かせください。さらに、1000万人以上の個人事業主、フリーランスなどが影響を受けると言われているインボイス制度も中止すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。

総理は、持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるため、労働市場改革を進め、足下での物価上昇を超える賃上げの必要性を説かれました。れいわ新選組は、介護・保育従事者への月給10万円アップをうたってきました。しかしながら、岸田政権が令和4年度に実施した福祉・介護職員の処遇改善に係る加算は、たった月額9000円程度です。

民間調査会社が介護職員に給料アップを実感していますかと聞いたところ、アップを実感していると回答した人が約35%、アップを実感していないと回答した人が約65%でした。この結果を見て、れいわ新選組の政策提言の方が現政権の施策よりも現場のニーズにマッチしていると自信を深めています。

総理にお尋ねします。

福祉・介護職を含め、物価上昇を超える賃上げを成し遂げるために、どのような具体的施策を打ち出していくのでしょうか。見解をお示しください。

岸田総理は、子ども・子育て政策を経済、社会の持続性のための最重要政策と位置付け、児童手当など経済支援の拡大、子育てサービスの充実、働き方改革の三本柱で対応すると打ち出されました。

しかし、保育所、学童保育や病児保育などのインフラ整備と、そこで働く保育士、福祉職員の待遇改善は置き去りにされたままです。さらに、公立学校の教員不足も深刻化しており、ついに2023年度採用試験では定員割れを起こす県も見られました。これは、人を育てるという最も重要かつ基本的な営みを個人や家庭に押し付け、長年にわたり教育・保育予算をけちってきたツケであり、このままでは子育ても教育も崩壊しかねません。

防衛費増額の前に、教育・保育予算を大胆に増やし、子供を安心して産み育てられる社会、家庭の条件にかかわらず、望む者が高等教育を受けられる社会への転換を図るべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。

岸田総理は、原発の建て替えや運転期間の一定期間の延長を進めると明言しました。全く容認できません。地震、津波など様々な災害リスクにさらされている日本で、今後も想定外の自然災害は起こり得ます。ロシアによるウクライナ侵攻を見ても明らかなように、安全保障上のリスクにも直面します。

今の政府、電気事業者がこうしたリスクに適切に対応できるとは思えず、原発の再稼働や運転期間延長は国民を生命の危機にさらします。目先の原発に頼るのではなく、長期的視野で再生可能エネルギーの開発、発展を進めることで、日本の存在感を示すべきです。総理の見解をお示しください。

最後に、改めて国民の皆さんに呼びかけます。

新たな時代にふさわしい国際秩序は、世界平和と核兵器の廃絶です。戦争のない世界をみんなが求めています。しかし、岸田総理は、国連の核兵器禁止条約の批准をしようとせず、安保三文書を改定し、戦争を誘い込もうとしている姿勢すら感じます。私は、政府の姿勢に強い危機感を抱いています。

国民を守らない防衛費増額。流動化し続ける雇用。先細りし続けるあなたの所得。崩壊しつつある介護サービス。政府の間違った経済政策で苦しむ国民を一日も早く救うべく、積極財政による緊急政策を今すぐ実行する必要があります。

この目的のために与野党問わず一致協力すべきだと訴え、質問を終わります。(拍手)

〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(岸田文雄君)

舩後靖彦議員の御質問にお答えをいたします。

まず、防衛予算等にお尋ねがありました。

新たに策定された三文書に基づく取組は、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方も変更するものではありません。

防衛力の抜本的強化は、国民の命や暮らしを守り抜くために必要です。その検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。一年以上にわたって議論を積み重ねており、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛力の規模を導き出した上で令和5年度予算に所要額を計上しており、必要な予算であると考えております。

同時に、本予算には一般歳出の約6割を社会保障や教育などが占め、国民生活の向上に直結する経費など、必要な施策を盛り込んでいるところです。

したがって、予算の組替えの御提案をいただきましたが、政府としては本予算に御賛同をお願いしたいと考えております。

そして、消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。

御提案については丁寧にお伺いさせていただきますが、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けられています。このような消費税は社会保障制度を支える重要な財源であり、減税は考えておりません。

そして、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。個人事業主やフリーランスなど、様々な方の御懸念について丁寧に課題を把握しながら、取引環境の整備やインボイス対応のための支援策の充実、さらに、新たな税制上の負担軽減措置など、政府一体で連携して、制度の円滑な実施に向けて万全の対応を図ってまいりたいと考えております。

物価を超える賃金についてお尋ねがありました。失礼、物価を超える賃上げについてお尋ねがありました。

賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、物価上昇を超える賃金引上げを行っていただくべく、民間だけに任せるのではなく、政府としても、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加えて、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金の引上げ、そして中小企業における生産性向上などへの支援や価格転嫁の促進など、政策を総動員して環境整備に取り組んでいきます。

なお、福祉・介護職員の処遇改善については、給与を恒久的に3%程度引き上げるための措置など、これまで累次の処遇改善を講じてきたところです。

今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえて、見える化を図りながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、また負担軽減、こうした取組を進めてまいります。

子供を安心して産み育てられる社会への転換等についてお尋ねがありました。

子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。個々の政策の内容や規模面、もちろん重要ですが、地域社会や企業の在り方を含めて社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策、これを実現していきたいと考えております。

様々な御指摘をいただきましたが、今後、まずは、こども政策担当大臣の下で、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、6月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。あわせて、高等教育の負担軽減に向け、出世払い型の奨学金制度の導入、給付型奨学金の中間層への対象拡大等にも取り組んでまいります。

エネルギー政策についてお尋ねがありました。

昨年2月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギーの安定供給の確保が世界的に大きな課題となっています。近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要です。

政府としては、引き続き、再エネ導入を最優先として、最大限の導入に取り組みます。具体的には、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、2030年度の再エネ比率36%から38%に向けて取り組んでまいります。

その上で、我が国の厳しいエネルギー供給の現状を踏まえれば、再エネのみならず、徹底した省エネの推進に加え、原子力を始めあらゆる選択肢を活用していくことが必要です。

原子力については、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでまいります。原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の新規制基準の下、厳格な規制を行うとともに、原子力災害のリスクに備えて、各府省が連携をし、原子力防災体制の充実に取り組んでまいります。(拍手)