2024年4月26日 参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会質疑

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本委員会における対政府質疑は5回目となります。質疑のたび、今日こそは誠実な回答をいただきたいと願って臨んでいます。林大臣、上川大臣、よろしくお願いいたします。

まず、今月行われた日米首脳会談の結果についてお尋ねします。

4月10日に行われた日米首脳会談で、拉致問題についても議題に上ったと報道でお聞きしております。報道によると、バイデン大統領は十日の日米首脳会談後の共同記者会見で、岸田文雄首相は北朝鮮による日本人拉致問題で金正恩朝鮮労働党総書記との会談実現を目指す考えであることについて、対話を模索することは良いことだなどと語ったそうです。

報道では力強い支持とありますが、米国がこの拉致問題解決について積極的な姿勢を見せている要素がどの辺りにあったのでしょうか、御教示ください。

○国務大臣(上川陽子君)

拉致問題の解決のためには、我が国自身が主体的に取り組むことがまず不可欠であります。その上で、米国や韓国を始めとする国際社会と緊密に連携をすることが重要であると考えております。

こうした観点から、米国とも拉致問題の解決に向けまして緊密に連携をしておりまして、バイデン大統領御自身、一昨年に訪日した際には、拉致被害者御家族の皆様と面会をし、励まし、勇気付けていただきましたほか、先般の日米首脳会談におきましても、拉致問題の即時解決に向けた力強い支持を改めて得ることができました。

御家族も御高齢となる中、時間的制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人道問題でございます。引き続き、米国や韓国を始めとする国際社会と緊密に連携をしながら、全ての拉致被害者の方々の一日も早い御帰国を実現するため、あらゆるチャンス、これを逃すことなく全力で行動してまいります。

○舩後靖彦君

続いて、岸田総理の訪朝についてお尋ねします。

岸田総理は、4月5日付け日経新聞で、訪朝について、年内と言わず、できるだけ早い時期に実現しなければならないと発言しています。できるだけ早い時期とはいつ頃を意味しているのか、林大臣、お答えください。

○国務大臣(林芳正君)

今の舩後委員の御質問に関しましては、外務大臣からお答えをさせていただきます。

○国務大臣(上川陽子君)

我が国の一貫した方針でありますが、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指すものでございます。その中にありまして、時間的制約のある拉致問題はひとときもゆるがせにできない人道問題であり、切迫感を持って取り組まなければならない課題であるということであります。

日朝間の諸懸案の解決に向けまして、首脳会談、これを実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていく旨、岸田総理御自身も繰り返し述べているところであります。政府として、そのための働きかけを引き続き行っていく考えでありますが、御質問の点も含めまして、これ以上の詳細につきましては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、差し控えさせていただきたいというふうに思います。

○舩後靖彦君

年内に訪朝を実現できるのですね。いま一度御発言ください。

○国務大臣(上川陽子君)

北朝鮮側には様々なルートを通じまして働きかけを行ってきているところでございますが、今御質問にあった点も含めまして、その詳細について明らかにすることにつきましては差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

○舩後靖彦君

次に、北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長の発言の関連でお尋ねします。

金副部長は、今年3月、日朝首脳会談に関する談話を二度出し、日本側との接触や交渉を拒否すると表明したとされます。4月3日付け日経新聞では、金副部長の発言を踏まえ、慶応大の西野純也教授は、信頼関係が全くない状況では日朝首脳会談まで実現するのは難しいと言わざるを得ないと分析しています。この信頼関係、拉致問題は解決済みと主張する北朝鮮に対し、意見の隔たりは大きいと言わざるを得ません。

北朝鮮側の発信を踏まえ、どのように距離を詰め、関係を構築していくつもりなのでしょうか。外務大臣、お答えください。

○国務大臣(上川陽子君)

北朝鮮側の発表でございますが、その一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

その上で、岸田総理も繰り返し述べているところでございますが、北朝鮮との間の諸懸案を解決し、日朝間の実りある関係を樹立することは、日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与すると、そうした考えの下で、日朝間の諸懸案の解決に向けて、首脳会談、これを実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていく、こうした考えを貫いてきているところであります。

そのために、様々なルートを通じまして働きかけを絶えず行ってきているところでございますが、これ以上の詳細につきましては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることについては差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

○舩後靖彦君

関連した質問を続けます。

北朝鮮側があえて談話を発表したことについて、接触、交渉の余地があるとの見方もあります。岸田総理は度々、条件を付けずに向き合うと述べてきました。これが最大かつ最後のチャンスと捉えるべきではないでしょうか。一回の会談で成果を上げることは考えなくてもよいと思います。何度でも継続的に行えばいいのです。とにかく会談の場を設けるべきではないですか。外務大臣、お答えください。

○国務大臣(上川陽子君)

岸田総理は、大胆に現状を変えていくためには、我が国自身が主体的に動き、そしてトップ同士の関係を構築していくことが重要であると、こうした考え方の下で、条件を付けずにいつでも金正恩委員長と直接向き合う決意である旨を述べてきていると承知をしているところであります。

その上で、総理御自身が日朝間の諸懸案の解決に向けて首脳会談を実現する、すべく、総理直轄のハイレベルで協議を進めていくことにつきまして繰り返し述べているところでございまして、外務大臣としては、こうした協議のための外交的な取組につきまして引き続き粘り強く進めてまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

質問を続けます。

4月3日付け産経新聞で南山大学の平岩俊司教授は、日朝交渉を動かすにはどうしたらいいかという問いに対し、北朝鮮が日本に対して拉致問題というカードを切るとしたら、国交を正常化して、大規模な経済支援を出すときしかないと私は考えていると述べています。

この見解についての受け止めとともに、拉致問題解決のために、国交正常化、大規模な経済支援を出す考えはあるのかどうか、外務大臣、お答えください。

○国務大臣(上川陽子君)

ただいまの有識者の方の御意見の一つ一つに対しまして、政府としてコメントすることにつきましては差し控えさせていただきます。

その上で、この日朝平壌宣言におきましては、この日朝間の国交正常化の後、日本側が北朝鮮側に対して経済協力等を行うことが同宣言の精神に合致するとの基本認識が記載されているところでございます。

いずれにいたしましても、我が国の一貫した方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化の実現を目指すというものでございまして、今後の対応については、そのような諸懸案の包括的な解決に向けまして何が最も効果的かという観点から不断に検討してまいりたいと考えております。

○委員長(松下新平君)

申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。

○舩後靖彦君

一刻の猶予も許されません。

改めて、問題解決に全力を尽くしていただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。