文教科学委員会と成果報告
5月21日に参議院文教科学委員会で、質疑を行いました。新型コロナウイルスの感染拡大影響に関連し、
① 遠隔授業における自治体間格差
② 遠隔授業における障害者への合理的配慮
③ 海外で暮らす日本人の子供のための「日本人学校」で働く先生への支援
について、質問致しました。
このうち、③の日本人学校の教員の支援策について、質問を行った約1週間後、文部科学省が、以下の事務連絡を発出致しました。
国内待機中の教員の方は、国内で赴任予定先の仕事に従事していても、生活費として支給される「在勤手当」が支払われていませんでした。今回の改正で、4月にさかのぼり、支給されることになります。
質疑のなかで、萩生田光一・文部科学大臣は「これから海外で働いて頂ける教員の皆さんが納得して頂けるような応援の仕方をしっかり考えていきたい、そのことをお約束したいと思います」と答弁されました。この大臣答弁通り、国内待機で生活の不安を抱えている教員の方々に、十分とはいえないまでも、一定の安心をしていただける内容につながったのではないかと考えております。
迅速に取り組んでいただいた皆様に感謝申し上げます。また、前例のない状況のなかで、国内待機をしながら、仕事をしておられる教員の皆様に敬意を表します。
事務所一同、引き続き、この問題に取り組んでいく所存です。
質疑の詳しいやりとりは、以下にございますので、動画と合わせてご覧ください。
※この資料に関する質問は、時間内に行うことができませんでしたが、ご参考として掲載しております。
○舩後靖彦君
れいわ新選組の舩後靖彦でございます。
全国を対象とした新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が十四日に見直されました。この間、国民は、感染症対策のため、憲法で保障されている多くの権利を制限されてきました。損なわれた権利の一つは学ぶ権利です。
そこで、休校期間中の学びの保障のため、そして学校再開後のICTを活用したオンライン授業の可能性と課題についてお尋ねします。
代読いたします。
遠隔授業の自治体間格差について質問いたします。
私は、四月七日の文教科学委員会で、遠隔授業の推進と家庭環境などによる格差から取りこぼされる児童生徒さんがないよう、御配慮と予算措置をお願いし、大臣から前向きな回答をいただきました。実際、文科省は、全国の小中学生が一人一台の端末を使えるようにするGIGAスクール構想の目標を前倒しし、令和二年度補正予算でも二千二百九十二億円を盛り込みました。その中に障害のある児童生徒のための支援装置整備の十一億円が含まれていることは高く評価したいと存じます。
しかし、残念ながら、私立学校に比べ公立学校でのICT活用は遅れています。文科省の四月十六日段階の調査では、休校中の千二百十三自治体のうち双方向のオンライン指導をするのは五%にすぎない状況です。
熊本県嘉島町にお住まいの保護者の方からこのような御相談を受けました。三月から学校に行くことができず、オンライン授業に期待をしたが、教育委員会からはいつから行えるのか全く決まっていないという返事でした。町議会へ要望書を提出したが、五月一日に返ってきた回答は、来年度、各生徒にタブレットを配付するという対応でした。同じ熊本県内でも、新学期から実施していたり一気に進めたりしている自治体もあります。住んでいる自治体や家庭によって受ける教育に差があることはあってはならないと思っていますというものでした。
経済的な余裕のある家庭では、独自に有料、無料のオンライン講座で学びの場を確保していることもあります。住んでいる地域や親の収入によって教育の格差が広がることは、将来の子供の自立に大きく影響することが危惧されます。
文科省も、四月二十一日に、平常時のルールにとらわれずにICT活用をするよう全国の教育委員会に通知を出されています。ICT先進国でオンライン授業が進んでいる北欧デンマークでも、困難を抱えた地域などへの対応が課題になっているとの報道があります。
大臣にお尋ねいたします。
学校休業による遅れを埋め、義務教育における学びを保障するためのオンライン授業推進において、自治体間格差をなくすため何が課題となっているとお考えでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君)
学校の臨時休業期間において、ICTの活用により子供たちの学びを保障することは極めて重要です。
一方、臨時休業を実施する設置者のうち、同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習を課す方針であると回答した割合が約五%にとどまるなど、その活用が進んでいないことも承知をしております。そのため、自治体には、まずは家庭にあるパソコン、WiFi等の活用や、学校の端末の持ち帰りなど既存のあらゆるICT環境を最大限利用するとともに、令和元年度と令和二年度の補正予算でGIGAスクール構想による環境整備を進めるよう働きかけているところであります。
決して他省庁やほかの人の責任にするつもりは全くありませんし、今、私が責任者としてこのGIGA進めているんですけれど、図らずも、水岡先生がさっきちょっと触れていただいたように、これ突然、GIGAスクール構想は去年から始まったばっかりなんですが、学校のICT環境整備というのは、地方財政措置も含めて二十七年間こつこつと予算を積んでやってまいりました。
ですから、さっきお話があった熊本の隣の高森町などは一〇〇%の整備で、今回十分な対応をしておりまして、確かに、地方財政措置というのはその算定根拠ですから、そのものを買うための、整備するためのお金がダイレクトに行くんじゃないんですけれど、お金に名前が書いてあるわけじゃないんですけれど、私は、やっぱり子供たちの教育現場の予算というのは教育委員会を含めて正しく使っていただきたいなという思いが、今回この事態になって改めて感じたところでございます。したがって、今年度中に全ての小中学生にしっかり配布ができるだけの予算は確保しました。
ところが、このコロナの中で。二つ目の課題としては、ものが、海外でほとんどのものが、パソコンやタブレット作られておりまして、いわゆるサプライチェーンが行き詰まってしまっております。少しずつ再開しておりますけれども、これも残り全ての子供たちというと七百万台を用意しなくちゃなりません。今、メーカーの皆さんとも相談して、本当は各自治体が、どのメーカーのどういうものを買いたいか、OSは何にしたいかって考えていただけばいいんですけど、なかなかそういうノウハウがないので、共同である程度買うから安くしてくれということとちゃんと作ってくれということを文科省の責任で今お願いさせていただいて、できるだけ早くこの端末を現場にお配りができるように、今年度中、努力をしてまいりたいなと思っています。
また、同時に、先ほどからお話がありましたように、端末だけ届いても、いわゆる通信環境が整っていなければしっかりとした授業ができないわけでありまして、これは光ファイバーなどの活用によって、何とかその学校現場でも、あるいは自宅に持ち帰っても活用ができるような環境をつくっていきたいなと思っています。
5Gの時代になりまして、新規参入の企業は学校の屋上にアンテナを置くことを条件に学校での5G電波を無料開放するという提案もいただきましたので、政令市などではこの活用をさせていただいている自治体も出てきました。いろんなツールを使いながらICTの環境整備をして、是非、家庭と学校がしっかりつながっていく、一人一人個別最適な授業ができる、そういう環境をしっかりやっていきたいと思います。
最後にもう一点、課題は何かと問われれば、そういったものをコーディネートする専門家が日本の場合は少ないです。これもメーカーのOBさんなんかにも紹介していただいて、それぞれ、何といいますか、ITの一番最初の学年といいますか、ちょうど定年を迎えた皆さんがまさにこのパソコン世代の第一期生になるんだそうでございますので、そういう人たちにも是非現場に入っていただいて、様々な応援をしていただくICT活用教育アドバイザーなどになっていただいて自治体のサポートをしていただきたい。
そして、これもはっきり業者の皆さんにもお話ししましたけど、今まで地方自治体、もっと言えば、なかんずく教育現場って、割とこの手のものをすごく高く買ってきたと思います。もう言われたままに買ってきたと思います。ここは、世の中が変わったんで、今までの分ちょっと返してもらえないかと、金額や何かを含めて、しっかり現場に一日も早くそろうように戻してくれないかってお願いも企業の皆さんにもはっきりお願いをさせてもらいました。皆さんも、笑っていましたけれど、薄々感じるところはあったようでございまして、いい金額のものを提案をしてきていただきましたので、ここは社会全体でまずは学校の子供たちが学ぶ環境ができるようにしっかりサポートしていきたいなと思っています。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございます。
続きまして、大学、専門学校における遠隔授業の合理的配慮についてお尋ねいたします。
現在、大学や専門学校ではオンラインによる遠隔授業が急速に広がっております。この中、障害のある学生への合理的配慮について、協議もなく準備が進められ、合理的配慮の調整がきちんとなされず、障害のある学生が遠隔授業から取りこぼされてしまうのではないかという懸念が大学教員から寄せられています。
例えば、音声言語を聞き取ることが難しい聴覚障害者への合理的配慮としてはノートテークやパソコンでの文字通訳が付いておりますが、少なくとも、オンラインによる講義、ゼミにおいてもテレビ会議システムのチャットを使ってメモ取りをする専任の人が必要となります。同様に、文字資料を読むことができない視覚障害者や、暗黙の了解や、あれ、それなどの指示詞を理解することが難しい発達障害者、情報アクセスに困難を伴う障害のある学生に対して、遠隔授業の内容に合わせた合理的配慮の提供について当事者の要望を聞き、調整、提供する必要があります。
通常は大学の障害学生支援センターがこの役割を果たしておりますが、短期間に準備するにはセンターだけではマンパワーが足りません。この点について、既に四月二十二日付けの要望書で要望しているところではございますが、改めて大臣にお尋ねいたします。
オンラインによる遠隔授業においても必要な合理的配慮の提供を各教育委員会や大学に指導するとともに、必要な人的資源の確保について文部科学省として必要な財政措置をお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君)
今般のコロナウイルス感染症拡大の対応として、大学や専門学校等において遠隔授業を行う環境を構築し、障害のある学生等も含めた全ての学生の学習機会を確保することが重要だと、このことは先生と同じです。
このため、遠隔授業の実施に当たっては、障害のある学生等への合理的配慮が重要であり、教員の方々が様々な工夫を行うことにより障害のある学生等に必要な学習機会が確保されるよう努めているところと承知をしております。
このような大学等の取組を後押しするため、文部科学省においては、今回の一次補正予算に遠隔授業の実施に当たり合理的配慮を行うためのサポートスタッフの配置やシステム整備に活用可能な遠隔授業の実施に必要な経費を計上しました。
また、国立情報学研究所を中心に遠隔授業の実施に係るオンラインシンポジウムが毎週開催され、各大学等における遠隔授業の課題や経験、良好事例を共有する取組が進んでいます。遠隔授業における合理的配慮に係る取組も事例紹介され、共有が図られているところでございまして、文科省としては、こうした取組とも連携しつつ、障害のある学生等に配慮した取組について各大学等に対して周知をし、各大学等における取組を促してまいりたいと思います。
○委員長(吉川ゆうみ君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(吉川ゆうみ君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございます。
加えて申せば、健常な教員が気が付かない点があります。それは、私のような耳が聞こえづらい学生は聞き間違いをすることです。健常な学生に合わせた速度で話されますと、聞き間違いをしてしまいます。こういった点についても配慮を伝えていただきたいと存じます。
大臣、お願いします。
○国務大臣(萩生田光一君)
貴重な御意見だと思います。しっかり対応します。
○舩後靖彦君
代読いたします。
引き続き、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響の関連でお尋ねいたします。
海外にある日本人学校、補習授業校への対応についてです。
本日は、特に日本人の派遣教師の方々への待遇について質問したいと存じます。
文科省によりますと、本来であれば、今年度は計百三十七校の日本人学校、補習授業校に千三百二十二人が勤務する予定だったとのことです。しかし、新型コロナの影響による入国制限などのため、今年度予定していた新規派遣のほとんどが見合せになっているとのことです。このことにより、現地で働く予定だった教員の方、今まさに現地で働いている教員の方に大きな影響が出ています。
まず、派遣見合せで国内待機になっている方への対応です。
五月十九日現在、派遣できずに日本にとどまっている方は四百六十五人いるとお聞きしています。この方々に対して十分な支援がなされていないのではないかという問題です。十分な支援がなされていないのであれば問題だと感じます。
そこで、国内待機の仮住まい費用と待機期間中の在勤手当を手当てするべきではないかという問いかけです。
国内待機をしている教員の方々の中には三月いっぱいで賃貸住宅を引き払っていた方もいるかと思います。こうした方々は仮住まいを用意せねばなりません。持家などがあれば対応できるかもしれませんが、そうでない方もおられるはずです。一時的な仮住まいを用意している方もおられるのではないかと推察します。後ほど述べる赴任先の家賃も払っているとなると、家賃の二重払いになってしまいかねません。
深刻なのは給与の問題です。教育委員会から派遣される現職教師派遣の方は教育委員会から給与が支払われますが、退職した方によるシニア教師派遣、正規教師を目指す若手によるプレ教師派遣の方は現職派遣の方のように給与がなく、着任に当たって支払われる在勤手当が前提となっております。このため、在勤手当がなければ収入がゼロになってしまう可能性があります。シニア教師派遣、プレ教師派遣で日本にとどまっている先生方の中には、現地でオンライン授業などを国内から取り組んでいる方がおられるともお聞きしています。つまり、現地には赴任していなくても、国内で現地の仕事に従事しているとも言えます。
それを踏まえますと、赴任を前提に支払われる在勤手当が支払われるべきではないでしょうか。在勤手当はもちろんのこと、当然、仮住まいの家賃も国が手当てするべきではないでしょうか。こうした負担を個人に課すのは余りに理不尽ではないでしょうか。現在は前例のない事態です。前例のない対応をお願いいたします。大臣、御答弁、お願いいたします。
○政府参考人(浅田和伸君)
お答えいたします。
今お話ございましたように、令和二年四月に派遣教師としての委嘱を行い、日本人学校、補習授業校といった在外教育施設に派遣を予定していた教師は四百八十四名です。ところが、新型コロナウイルス感染症の影響による赴任国、行き先の国の入国制限などによって現在派遣を見合わせざるを得ない、見合わせている教師がそのうち四百六十五名という、これまでにない極めて異例の状況となっています。
これらの先生方には、派遣が可能になればできるだけ早く行っていただきたいと思っていますが、それまでの間は国内で、赴任予定であるところの在外教育施設に関する業務を行っていただいているところです。
派遣教師に対しては、赴任後に、勤務に必要な衣食等の経費である在勤手当が支給されます。現行の規定上、この在勤手当は赴任前に国内にとどまる場合には支給できないという規定になっております。
現在国内待機中の先生方には、さっき申し上げたように、相手国が派遣可能な環境になれば速やかに赴任していただくことをもちろん予定しておりますけれども、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大という今回の異例の状況に鑑みて、その影響などやむを得ない理由により国内にとどまりながら在外教育施設の業務を行っていただいておりますので、そのことに対する適切な手当の支給を検討させていただいているところでございます。
○国務大臣(萩生田光一君)
時間がないと思うので私からもう一度お答えしますけど、先生の御指摘のとおりでありまして、この特に家賃などは、もうこれ六月以降自分で払えという話になってしまうんですね。せっかく志持って海外の日本人学校で働こうという先生方が、もうこれで気持ちが萎えてしまうようなことがあってはならないと思います。
現地での家賃については、その土地カンがない中で、学校運営協議会に相談して、前の先生が借りていた同じ宿舎を借りたりしているものですから、中には、大家さんと相談の上、こういう事態だから、じゃ一回解約しましょうねという国もあれば、あるいは減額しますねという国もあったりするので、様々なので一律の支援というのではなくて、この辺、ちょっと調整しながら考えたいと思います。
今局長も答弁しましたように、赴任していませんけれども、赴任する予定で、全ての予定をキャンセルして教員としてスタンバイしているわけですから、これも一定の手当といいますか支給をして、在宅でも何でも、現地と連絡を取りながら頑張っていただきたいと思いますので、一個一個に対して同じ支援にはなかなかならないかもしれませんけど、これから海外で働いていただける教員の皆さんが納得していただけるような応援の仕方をしっかり考えていきたい、そのことをお約束したいと思います。
○舩後靖彦君
ありがとうございました。