2020年12月1日 参議院文教科学委員会質疑(toto法改正案について質疑)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日は、スポーツ振興投票の実施等に関する法律の改正案について質問をいたします。法案を提出された先生方、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、質問に移ります。

代読いたします。

totoなどスポーツ振興くじについては、売上金の一部がスポーツ振興に活用される仕組みになっています。そのことによりアスリートへの支援、地域振興が図られていること自体は否定いたしません。しかし、国民にとって必要なスポーツ振興については、国の責任において実施、助成すべきではないでしょうか。

くじの売上げは、二〇一八年度、二〇一九年度と二年連続で一千億円を下回りました。しかも、今年は新型コロナウイルスの影響で販売ができない状態が続きました。

売上増に向け、新商品や対象競技の拡大を図るというのが今回の法改正となっておりますが、そもそも、水ものであるくじの売上げを前提にするのは本当の意味でのスポーツ振興として望ましくないのではないでしょうか。

国費によるスポーツ予算の推移を見ますと、東京五輪・パラリンピック開催決定もあり、二〇一九年度は三百五十億円に上るなど、年々増加傾向にあります。しかし、スポーツくじの助成額など、国費以外を含む関連予算で見ますと、年々くじの占める割合が高くなっています。くじの助成が必要なところに割り当てられているとするならば、本来はくじ頼りではなく国が出すべき支出と考えますが、いかがでしょうか。

くじの売上げ次第でスポーツの振興ができるかできないかを左右するのはおかしくありませんか。人々がその人らしく暮らすため、スポーツは欠かせない要素の一つであると認識しております。そうであればこそ、売上げ頼りの仕組みにするのではなく、通貨発行権のある国の責任においてスポーツ振興予算を大幅に拡充すべきではありませんでしょうか。提案者の皆様の御見解をお聞かせください。

○衆議院議員(藤田文武君)

ありがとうございます。

お答え申し上げます。

御指摘のとおり、スポーツ振興については国の責任において実施、助成することが重要であると考えます。他方、選手の視点に立った安全確保のための環境整備など、我が国のスポーツ界をめぐる諸課題の解決を図るためには相当規模の財源が確保される必要があり、公費のみに依存しない多様な財源を持続的かつ安定的に確保することも重要であるというふうに考えるわけでございます。

このため、制度創設以降、既にスポーツ界への助成等に約二千八百億円の貢献をしているスポーツ振興投票制度を活用しながらも、広く国民の理解と協力を得てスポーツ振興に必要な資金を確保する必要があると考えるわけでございます。

○委員長(太田房江君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(太田房江君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

なるほど。であっても、くじの売上げに左右されることなく国が責任を果たすべきことと、重ねて申し上げたく存じます。質問ではなく意見として申し上げます。

続けて質問いたします。

くじの売上げの五〇%のうち、経費や特定金額、国庫納付を除いた分がスポーツ振興のための助成に使われていると承知しておりますが、このうち障害者スポーツ関連の助成は幾らになったでしょうか、お答えください。

○政府参考人(藤江陽子君)

お答え申し上げます。

独立行政法人日本スポーツ振興センターにおきましては、スポーツ振興投票助成として、地域のスポーツ施設の芝生化ですとかスポーツ教室の開催等に対して助成を行っているところでございまして、障害者スポーツ関連の助成としては、地域スポーツ施設のバリアフリー化あるいは障害者スポーツ大会の開催支援等を行っているところです。

このうち、スポーツ施設のバリアフリー化については、比較的小規模な工事も含めて助成の対象とすることにより整備促進を図っているところでありまして、バリアフリー工事を伴う施設整備事業として今年度は五億一千万円を助成しております。また、これらに加えまして、施設全体の改修を行う中でバリアフリー化を行う工事に対しても助成を行っております。

障害者スポーツ大会の開催支援については、今年度は二億八千万円を助成しており、これらのほかにも、例えば健常者と障害者が共に参加できるスポーツ活動やスポーツ大会等にも助成を行っております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

続いて、不正対策などについてお尋ねします。

今回、単一試合投票やリーグ、トーナメント戦の順位予想投票を導入されています。単一試合投票については、射幸心をあおり、不正行為につながる懸念がございます。制度創設時には見送られた経緯があると聞いております。くじ導入から約二十年が経過し、現時点で不正が発覚していないとはいえ、なぜ当時見送った仕組みが導入可能と判断したのでしょうか。

私が懸念しているのは、こうした拡大路線と射幸心をあおる仕組みです。スポーツくじのパンフレットである簡単ガイドを拝見しました。毎週十二億円を大きく打ち出し、小さな文字で一等最高、キャリーオーバー発生時などと注釈しています。これは、大勝ちできるんだよと購入者をあおっているように受け止められます。こうした射幸心をあおる構造になっているのが現在のスポーツくじではないでしょうか。

スポーツくじは、売上げが伸び悩むたび、新商品の導入などで拡大路線を図っています。今回の拡大がギャンブル性を高め、射幸心をあおり、そのことが不正にもつながってしまうのではないかと懸念しています。この辺り、どのように考えですか、お答えください。

○衆議院議員(浮島智子君)

お答え申し上げます。

スポーツ振興投票法の制定に当たりまして複数の試合を対象とした理由は、我が国においてスポーツ振興投票というこれまでにない仕組みを導入するに当たりまして、当選確率を過度に上げないことによる射幸性の抑制、また、選手による不正行為のリスクの軽減といった観点から、慎重な検討、判断がなされるものと考えております。

また、他方、スポーツ振興投票法が施行されて約二十年がたち、スポーツ振興投票が社会に定着し、Jリーグ等においてもこれまで不正行為の事案等が発生していないことがという実績に加えまして、単一試合の投票においても商品設計等において適切な配慮を行うことにより射幸性の抑制と不正行為の防止を担保しつつ売上げの向上を図ることが可能であると判断をいたしまして、単一試合の投票の導入を盛り込んだところでございます。

また、射幸性の抑制に関しましては、単一試合の投票は払戻しの率は売上金額の五〇%以下と決まっておりまして、当選者も多いことが見込まれるため、特定の購入者に多額の利益が生じにくく、また、Jリーグ、Bリーグ共に特定のチームの試合は一日一回でございまして、次の試合まで数日から一週間程度の間が空きます。そして、冷却期間が置かれまして、次から次へとお金をつぎ込むことは生じにくいといった理由から、そもそもの仕組み上、射幸心を過剰にあおらないものと考えているところでございます。

また、不正行為の防止に関しましては、単一試合の投票は特定の購入者に多額の利益が生じにくく、また、具体的なスコア等まで特定の予想の結果を合致するような相当数の試合等、買収するなどして試合の結果を操作することは困難性が高いといった理由から、不正行為を起こすインセンティブは小さいものと考えているところでございます。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

くじを楽しんでいる方や、くじを通じてサッカーやスポーツの関心を持つようになった方もおられるかと存じます。また、売上げによる助成を必要としている団体や地域があることは承知しております。

しかしながら、スポーツ振興のために必要な助成は、くじという形を取らず、国の責任でやるべきであるということを改めて訴えまして、質問を終わります。