2020.11.26 参議院文教科学委員会質疑(東京五輪・パラリンピック特措法について質問、反対討論)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

まず初めに、一言申し上げます。

私は、人間の可能性に限界はないというスローガンで活動しています。そのことを証明されたオリンピアンの橋本大臣、パラリンピアンの横沢先生に敬意を表したいと存じます。

それでは、質問に移ります。

この法案を審議するに当たり、前提となる東京五輪・パラリンピック開催の是非を問いたいと存じます。私たちれいわ新選組は、五輪・パラリンピックの中止を求めています。この立場から質問いたします。

代読いたします。

東京五輪・パラリンピックに対し、選手や関係者の方々が開催に期待する声があることは理解しています。また、延期を受けて、アスリートや関係者の方々の不安は余りあると思います。

しかし、今、国内で五輪・パラリンピックを開催する状況でないことは明白です。資料一と二を御覧ください。新型コロナに伴う景気低迷の影響もあって、八月の完全失業率は三%となり、完全失業者は二百万人を超えました。資料は八月の数字ですが、九月も三%と横ばいでした。自殺者も増えており、NHKの報道によると、十月の自殺者は昨年よりも約四〇%増えました。医療現場の厳しい状況も変わりません。コロナ禍による困難さは現在進行形で続いています。こうした状況は、約八か月たって劇的に改善しているとは考えにくいと思います。

こうした中、新型コロナへの感染リスクを拡大しかねない大規模な国際大会を行うことが菅総理のおっしゃる打ちかつあかしなのでしょうか。資料三のとおり、京都大学人文科学研究所准教授の藤原辰史さんは、東京五輪や観光振興といった動かしにくい大きな目標があり、感染対策の遅れにつながったことは否めないと思いますと述べ、五輪の存在が感染対策に影響を及ぼしたと分析しています。

そもそも、当の国際オリンピック委員会、IOC自身が、当初二〇二〇年にモナコで開催予定だったIOCのワールドカンファレンスを、コロナ発生後、一度、二〇二一年二月に延期し、さらに、今年の十月二十日には、それが来年の十一月二十五から二十七日に再延期すると発表しています。

資料四のとおり、共同通信社が今年七月十七日から十九日に実施した全国電話世論調査で、来年夏に開催すべきだとの回答は僅か二三・九%にとどまります。中止すべきだとの意見は三三・七%に上ります。再延期を含めると七〇%です。

こうしたことを踏まえると、まずは五輪・パラリンピックを中止し、新型コロナ感染拡大防止対策を進め、アスリートやファンの人たちが希望を持てる環境を構築していくことが求められているのではないでしょうか。今すぐ中止を表明すべきではないでしょうか。大臣、御見解をお願いいたします。

○国務大臣(橋本聖子君)

来年の東京大会開催に向けて、大会関係者が一丸となって準備に取り組んでいるところであります。

御指摘いただきました様々な声があるということは承知をしておりますけれども、大会における新型コロナウイルス感染症対策をしっかりとやることによって多くの皆様方に御理解をいただける準備をしていきたいと思っております。

九月から開催されている国、東京都、組織委員会によるコロナ対策調整会議におきまして議論を進めており、年内を目途に中間整理を行う予定でありますけれども、引き続き、安心そして安全の東京大会というものを開催できるように努力をしていきたいというふうに思っております。

○委員長(太田房江君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(太田房江君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

お尋ねいたします。

諸外国は参加の意向を示していますか。また、外国の選手の感染対策についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(橋本聖子君)

諸外国の参加につきましては、IOC、各国のNOC等、IF等も含めまして、今後、感染対策、感染の状況を踏まえて判断をするべきものだと理解をしております。

多くの国の選手や関係者が東京大会に参加をしたいというふうに思っていただけるように、安心、安全の対策をしっかりと準備をして取り組んでいきたいというふうに考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

残念ながら中止の表明はしていただけませんでしたが、質問を続けます。

もしこのまま開催を断行するとするならば、この環境下でどのような対策をして、それに幾ら掛かるのかを国民に明確に示すことが組織委員会、東京都、国の責務と考えます。

先日、体操の国際大会が開かれました。選手の参加規模は四か国からの参加で三十人ほどとのことですが、この大会で感染予防対策に掛かった費用は三千七百万程度の見込みと聞いております。

そうしますと、選手の参加人数だけで五百倍の規模となる五輪・パラリンピックで、少なくとも感染対策費用として幾らを投じるのでしょうか。人的、物的資源などについて既に逼迫している医療体制を更に追い込むことになりませんでしょうか。お答えください。

○国務大臣(橋本聖子君)

東京大会における医療体制の確保については、九月から開催されているコロナ対策調整会議において議論を進めているところであります。

アスリートへの医療提供を行う大会指定病院等の人的な負担等を軽減することについても検討する必要があると考えておりまして、経費につきまして、今それぞれの関係機関と連携をしながら、全体的な経費負担、延長した中での追加経費、そしてコロナ対策におけるコロナ感染症対策の経費、こういったものを今組織委員会等と東京都、IOCと連携をしながら経費について示されるというものと承知をしておりまして、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

開催が約八か月後に迫っている今でも、どのような対策をして、幾ら投じるのかを明確に示せない大会に賛同することは、やはり難しいと存じます。

次に、障害当事者の立場から、パラリンピック選手の感染対策について質問いたします。

今のように感染が広がっている中で開催するとなると、多くの選手、関係者たちを感染リスクにさらすことになりかねません。個々の状態や障害の程度によって異なりますが、私を含め、呼吸機能が低下している障害者の場合、コロナ感染時に重症化のおそれがあります。

資料五を参照ください。私を含め、介助者という人を介して支援を受ける障害者は、ソーシャルディスタンスを保つことも難しいのが実際です。こうした状況を踏まえると、特効薬など抜本的な解決策のない現状で、世界各国から人を集めるパラリンピックを開催するのは余りにリスクが高いと感じます。

感染が今も広がっている日本で、このようにリスクの高い大会を開けますでしょうか。率直にお答えください。

○国務大臣(橋本聖子君)

東京大会については、パラリンピックの成功なくして東京大会の成功なしという認識の下で、大会組織委員会、東京都等との皆様と連携をして全力で取り組んでいるところであります。

特に、基本的にはオリンピック・パラリンピックの共通の部分は新型コロナウイルス感染症対策でありますので、パラアスリートについては、障害の種別によって必要となる感染防止策、例えば、ソーシャルディスタンスを保つことや、手、手先、手や指の消毒が困難な選手や関係者もおります。また、基礎疾患を抱えるパラアスリートや呼吸機能が弱いパラアスリートに対して、感染によって急速に重症化するリスクがあるとも言われております。こういったことを踏まえまして、パラアスリートの具体的な感染症対策については、大会組織委員会、日本パラリンピック委員会等と連携をして、しっかりと検討を進めてまいります。

世界のパラアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆さんにとっても安心、安全な大会の実現に向けて、しっかりと声を聞きながら、寄り添いながら大会の準備に全力を挙げていきたいというふうに考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

私は開催に反対をしておりますが、もし開催するとならば、一人一人の状態に応じた対応が欠かせないと考えております。

次に、パラリンピックに関連し、障害のある人がスポーツをする環境について質問いたします。

障害者は地域のスポーツ施設を使いづらいという実態があります。車椅子を使ったスポーツをしようとすると、地域の施設で床が傷つくなどの理由で利用を断られるケースがあるとも聞いております。地域で暮らす障害者がほかの健常者と同じようにスポーツを楽しめる環境づくりが整備されていないのが実態です。

具体的な取組が必要だと考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。

○国務大臣(萩生田光一君)

文科省では、障害者がスポーツを行う場合における様々な障壁を解消し、障害者が身近な場所でスポーツを実施できる環境を整備するため、例えば公立社会体育施設のバリアフリー化などへの整備への支援に取り組んでいるほか、障害者スポーツ推進プロジェクト等の事業を通じた障害者スポーツ用具を気軽に利用できる普及拠点の整備や指導者の育成などを実施しています。これらの取組により、週一回以上スポーツを実施する成人の障害者の割合は、平成二十七年時点の一九・二%から令和元年時点で二五・三%と、障害者のスポーツ実施率の向上が見られるところです。

先生御指摘のように、地域、場所、施設によっては、車椅子でのバスケットなどができないという規定のある施設があることも承知しておりますが、来年のパラリンピックを通じて、改めて障害者スポーツに各自治体にも理解を深めていただいて、引き続き障害者がスポーツに親しめる環境整備にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

地域でスポーツをしたい障害者が排除されない、差別されないよう取組をお願い申し上げます。

次に、パラリンピックの開催が障害者への理解を深めるきっかけになるのかという点について質問いたします。

資料六の記事にあるとおり、二〇一二年ロンドン・パラリンピック大会後に行われた障害者への調査で、ロンドン大会を通じてスポーツに取り組みたいと感じなかったと答えた割合が七九%に上りました。朝日新聞の記事、資料七によりますと、二〇一六年にパラリンピックが開催されたリオデジャネイロで暮らす視覚障害者からは、パラリンピックが来ても、みんなスポーツを見るだけで、障害者を助けてくれる人はかえって少なくなっているとの意見もありました。また、国内でも、共同通信が全国の当事者向けに行ったアンケートで、東京大会が決まった以降に障害理解が進んだ経験、実感があるかとの問いに、なしが六割以上を占めました。こうしたことを踏まえると、パラリンピックは特別な祭典であり、一般の障害者にとって距離が遠いというのが実態ではないでしょうか。

障害当事者であるアクティビストのステラ・ヤング氏は、障害者が健常者に感動を与える存在として消費されていることをインスピレーションポルノ、邦訳ですと感動ポルノと表現しました。こうした受け止めが広がると、アスリートでない障害者が、選手が頑張っているんだから、あなたももっと頑張りなさいとか、障害を言い訳にするなとか、強くあることを求められたり、普通に生活しているのに、偉いね、頑張っているねなど、一方的なイメージを強制されたりするという望ましくない影響にもつながります。競技アスリートの方々が高みを目指して頑張ることも、それを見た一人一人が感動することも否定するつもりはもちろんありません。パラリンピックを通じて障害者への理解を深める契機にするというのであれば、こうした感動の強制やイメージの押し付けが起こらないことが必要なのではないでしょうか。

大臣、御見解をお聞かせください。

○国務大臣(橋本聖子君)

大変重要な御指摘をいただいて、本当に有り難く思っております。

パラリンピックを契機として、心のバリアフリーとユニバーサルデザインの町づくりに取り組み、障害の有無にかかわらず、誰もが生き生きと活躍する共生社会を実現していくことは極めて重要だというふうに考えております。

政府においては、関係閣僚会議で決定したユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画に基づいて、心のバリアフリーを推進すべく、学習指導要領の改訂やパラアスリート、パラスポーツを題材としたパラリンピック教育の充実、ユニバーサルデザインの町づくりを推進すべく、バリアフリー法の改正及び鉄道、駅、ホテル等のバリアフリー基準の見直し等に取り組むとともに、パラリンピック選手の受入れをきっかけに共生社会の実現を目指す共生社会ホストタウンの取組を推進しているところであります。

パラリンピックの選手を受け入れるホストタウンの、特に中学生や高校生といった生徒の皆さんが、障害の有無にかかわらず、どのようにユニバーサルデザインの町づくりを推進していくのかということを積極的にパラアスリートと話をしながら進めているという姿に感動をしております。

こういった取組がしっかりとレガシーになるように、共生社会の実現に向けて、大会のレガシーづくりに全力を尽くしていきたいと思っております。

○委員長(太田房江君)

おまとめください。

○舩後靖彦君

終わります。ありがとうございました。


◆反対討論

○舩後靖彦君

私は、れいわ新選組を代表し、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

本法案は、東京大会の開催時期が約一年延期となったことに伴い、大会推進本部の設置期限を延長することなどを定めています。しかし、新型コロナウイルスの収束の見通しが立っていない中、来年七月の開催を前提として推進体制を延長することには賛同できません。

海外では感染者数が再び増加し、国内でも第三波と見られる感染拡大が続いています。政府は、安心、安全な大会として成功させたいとおっしゃいますが、特効薬の開発などの見通しも立たない中、どうやって実現するのでしょうか。約八か月後に新型コロナの感染を収束できるという見通しも立たない中、開催ありきでこれほどまでの大規模な国際大会を実施しようというのは余りに無謀ではないでしょうか。

今何よりも必要なのは、新型コロナの感染防止対策に徹底的に取り組むとともに、困窮している国民を支えることだと申し上げ、討論を終わります。