2021年6月8日 参議院文教科学委員会質疑(東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催中止を求め質疑、反対討論)
○舩後靖彦君
れいわ新選組、舩後靖彦でございます。再度よろしくお願い申し上げます。
午前中の質疑で萩生田大臣が、予算が枯渇するのが心配だと答弁されました。その際は私も一緒に財務省に乗り込みます。
では、質問に入ります。
本日は、国内では認められていない覚醒剤成分を含む医薬品について、ADHDのある東京オリンピック・パラリンピック選手が大会期間中に国内で使えるよう特例的に使用や輸出入を認めるための法案の審議です。
アスリートへの配慮として、ふだん使っている医薬品を大会期間中に使えるようにするという法案の趣旨自体に反対するつもりはございません。しかし、昨年十一月の本委員会でも述べたとおり、れいわ新選組は、オリンピック・パラリンピックを中止し、コロナ対策に全力を注ぐべきだと訴えています。このため、開催を前提とした本法案に賛成することはできません。
新型コロナの感染状況は昨年の段階より悪化しています。医療、介護、福祉関連従事者は長く続く逼迫状況に疲弊し、飲食、サービス、観光、文化芸術業界も大きな打撃を受けています。職を失い、その日の衣食住もままならない方々が増えています。にもかかわらず、本当にオリンピックを開催するべきなのかどうかを熟考しているとは思えません。予定どおりの開催に突き進もうとする姿勢は、まるで戦時中のようだと言わざるを得ません。学習院大学の井上寿一教授も、政府の迷走は八十年前の太平洋戦争時と酷似していると分析しています。私も同じ思いです。
丸川大臣にお尋ねします。丸川大臣は、安心、安全な大会の条件は何だとお考えですか。その根拠を誰もが理解できるようお示しください。
○国務大臣(丸川珠代君)
ありがとうございます。
昨日、菅総理も答弁の中で、国民の命と健康が守られるということが大会の大前提であるということをおっしゃっておられました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止ということは、これは大会があってもなくてもやらなければいけないことでございまして、これをしっかりとまず行っていく中で、感染状況を踏まえながら、東京大会に特別に必要な感染対策とはどういうことかという議論を行っているわけでございます。
既に御承知のように、四月の二十八日には、政府主導のコロナ対策調整会議におきまして、変異株等を踏まえた追加的な対策というものを定めました。この中では、厳格な行動管理や検査、特に頻回な検査、また国内にお住まいの国民の皆様との接触の回避ということが厳格に管理されるということで定められております。
そして、去年の状況と一つ違うことがあるとするならば、これはワクチンの接種がこれから進んでいくという状況にあることでございます。ワクチン接種が既に他国で大きな成果を上げているということは私どもも横目に見ておるわけでございますが、こうした中で、ワクチン接種に加えて今回は頻回な検査を行うという、今まで我々どももどういうペースでどういう検査をしていくことが社会の中で活動を進めていくことに資するのかということを様々部分的にはやってきてございました。今回の大会で一つこうしたことを取り入れることが社会、経済を動かしていく大きなきっかけになればという思いもございまして、しっかりとしたエビデンスをこの中でもつくっていきたいと考えておるところでございます。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございます。
続いて、萩生田大臣にお尋ねします。
ほかの先生方も質問されておられましたが、学校連携観戦プログラムについて、学校行事として集団観戦させるべきではないと考えます。改めて、この点について御意見を伺います。
○国務大臣(萩生田光一君)
学校連携観戦プログラムにつきましては、これ、コロナ禍の前に企画をして、それぞれ準備をしたものです。現在、観客上限をどうするのか、組織委員会や各局が相談をしている最中でございますので、無事予定どおり実施ができる、観客も入れることができるということであれば、先ほども申し上げましたけれども、子供たちの健康管理も含めて、関係する自治体と連携を取りながら、安全をしっかり確保して観戦をしていただきたいと思っています。
現段階では上限が決まっておりませんし、入場者については今後決定するということでございますので、その推移を見てまいりたいと思っています。
○委員長(太田房江君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(太田房江君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
私はいたずらに反対しているわけではありません。もし何かあったら、両大臣は国民からどのような非難をされるか、想像できません。大会の中止を御検討ください。両大臣にお願いします。
○委員長(太田房江君)
どなたに御質問ですか。
○舩後靖彦君
丸川大臣と萩生田大臣、それぞれにお願いいたします。
○国務大臣(丸川珠代君)
私も、大会を開催するに当たっては、当然のことですが、責任を負っているということをよく自覚をしております。その上で、いろいろな議論がございますし、国民の皆様の不安も、この状況ですからもっともだと思います。
私どもの方法としては、まず、できる対策は一体何なのかということをしっかり積み上げていく中で、観客が入れられるのか入れられないのか、あるいは、大会自体を、今のところはもうこれ開催する方向で準備を皆さんが進めていただいている中で、どう判断するのかということに、六月中に観客を決めるということになっているわけでありまして、しっかりとそこは、国民の皆様の命、健康を守るということをしっかり大前提として判断をしていきたいと考えております。
○国務大臣(萩生田光一君)
特別の、直接の所管ではございませんけれども、スポーツを所管する大臣として、オリンピックの大きな意義というものをしっかり受け止めながら、しかし、安心、安全を守る、そういう大会にできるように、できる努力をしっかりやっていきたいと思います。
○舩後靖彦君
代読いたします。
ありがとうございます。
大会に向けて、全力を尽くしているアスリート、現場で奔走する大会関係者の方々には心から敬意を表しますが、改めて大会の中止を申し入れ、質問を終わります。
◆反対討論
○委員長(太田房江君)
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
文科大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○舩後靖彦君
私は、れいわ新選組を代表し、令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。
本法案は、東京オリンピック・パラリンピックに参加する選手のうち、ADHDがある選手が使用している医薬品を特例的に国内への持込み、使用を認めるという内容です。アスリートへの配慮として、ふだん使っている医薬品を大会期間中に使えるようにするという法案の趣旨自体に反対するつもりはございません。
しかし、この法案は、東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催を前提としています。その時点で賛成することはできません。新型コロナウイルス感染症の感染拡大は今も深刻な状況です。今政府が取り組むべきは、東京オリンピック・パラリンピックの中止を表明し、資源をコロナ対策に集中させるべきではないでしょうか。
国民が不安に思っているのは開催できるかどうかではありません。五輪によってクラスターが発生するのではないか、助かる命が助からなくなるのではないか、医療、介護、福祉職の方々の負担が増えるのではないか、そういうことなのだと思います。だからこそ、五月の新聞各社の世論調査でも、約六―八割の方が中止や再延期を求めているのではないでしょうか。問題が解消されない限り、大規模な国際大会を開くべきではないと考えます。
是非、政府には立ち止まる勇気を見せていただきたく存じます。一刻も早く東京オリンピック・パラリンピックの中止を明言することを求め、反対討論といたします。