新型コロナウイルス対策についての障害者関連施策の要望

新型コロナウイルス対策について、木村英子議員とともに、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の担当者に障害者関連施策の要望書を提出致しました。

提出に至る経緯については、木村議員のホームページをご参照ください。

要望についての回答は、来週以降の「新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会」開催後にご連絡いただけるとのことです。またホームページなどでご報告いたします。

令和2年3月25日

新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会 御中

新型コロナウイルス対策についての障害者関連施策の要望

れいわ新選組

木村英子

舩後靖彦

●物品・人の不足等に関すること

1、障害・高齢・児童の福祉施設及び訪問系事業所への消毒用アルコール、マスク、使い捨てガウン、使い捨て手袋等、感染対策に必要な物品を優先的に割り当てること。その他、各種障害者に対応している支援者(手話通訳者などの意思疎通支援者、ガイドへルパーなど)に対しても同様の対応とする。

2、在宅の人工呼吸器利用者が痰の吸引等、医療的ケア時になくてはならない消毒用アルコール、消毒綿、使い捨て手袋を優先的に支給すること。

3、介護者や障害者の体調が悪い場合には、介護者や障害者がPCR検査を優先的に受けることができるようにすること。

現在、PCR検査は高齢者や基礎疾患のある者が優先されており、それ以外の人は容易には検査を受けられない状況にある。しかし、介護者は、障害者の介護をするために濃厚接触が避けられない関係に有る一方、障害者は新型コロナウイルスに感染した場合に重篤化する危険性が高く、感染の疑いのある介護者については感染しているか否かを早期に判断することで、障害者へ感染させないように対策をすることが大変重要である。

また、感染拡大を防ぐため、障害者も希望する場合は、PCR検査を優先的に受ける必要がある。

なお、新型インフルエンザ等対策特別措置法28条第1項では、「国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者」として、告示第369号で介護者が指定され、インフルエンザの予防接種を優先して受けられるものと定めていることからも、介護者は医療従事者などと同様にPCR検査を優先的に行うべきと考える。

4、感染が長期化・拡大し、在宅の人工呼吸器利用者等への医療的ケアによる従事者のサービス提供が不足する場合、希望する障害者に対しては、ホテルを借り上げる等の福祉避難所的対応を検討すること。

5、通所・短期入所施設の利用が制限もしくは停止された場合、代替え策としてホームヘルプが想定されている。ヘルパーの待遇改善等、ヘルパー不足に対する緊急対応策を打ち出すこと。

6、学校一斉休校は特別支援学校・学級にも適応されているが、障がい児を抱える親が常時介護を行うことが難しい状況がある。親が介護できない場合又は保護者が仕事を休めない事情のある障害のある児童生徒を対象に、通っている特別支援学校・学級の開放を臨機応変に検討すること。ただし、生徒たちは慣れた介護者や職員の支援を必要とするため、開放の際には、通常時と同様の職員が対応することが必要である。

●休業補償・減収に対する支援策

7、就労継続支援A型・B型事業所などの障害者総合支援法に基づく事業所の減収に対する適正な補填をすること

8、訓練等給付費を日払いでなく月単位で一定額の補助金を支払う月額払い制度へ変更すること

●政府の指示・対応について

9、一律に発熱(37.5度以上)だけで福祉サービスの利用停止をするのではなく、その他の症状がない場合は、感染対策を取ったうえで利用を受け入れることを周知徹底すること。現在、福祉サービスの利用者に発熱がない場合でも、介護が「濃厚接触である」「(障害者側が)マスクをしてもらわないと感染のリスクがある」という理由で派遣を拒否する事例が出てきており、福祉サービスの利用停止を安易に行わないように周知徹底することが必要である。

10、通知や事務連絡を出す場合には、施設での対応と居宅での対応を明確に分けるべきである。重度訪問介護は、見守りも含め長時間の介護を必要とするために、対応が混同されることがないように留意して通知等をだす必要がある。

11、新型コロナウイルスの影響で、各地で喀痰吸引等第3号研修等ヘルパー養成研修が中止されている。感染拡大収束の目途が立たないので、この状態が長期化すると、元々の人材不足に加え、研修ができないために現場で働けず、在宅介護崩壊が一気に来てしまう。やみくもに研修を中止するのではなく、どのようにしたら研修会を開けるか、規模の縮小、感染対策等のガイドラインを示すこと。

12、聴覚障害や言語障害があってコミュニケーションなどにバリアがある障害者もいるため、新型コロナウイルスにともなう緊急時の情報提供などの合理的配慮の徹底をすること。以下、具体例をあげる。

① 電話でのコミュニケーションが困難な障害者もいることから、相談窓口・保健所・医療機関等の連絡先には必ずFAX番号や、やりとり可能なメールアドレスを記載すること。

現在、厚生労働省の相談窓口ではFAXやメールアドレスでの対応がなされていますが、各都道府県の保健所や相談窓口でのFAXなどでの対応はなされていないところが多いため、聴覚障害者の人は相談もできず、適切な情報を得ることができない状況にある。

② 新型コロナウイルスの予防策としてマスク着用が推奨されているが、病院や保健所などでの受診の際などの正確なコミュニケーションが求められる場面では、マスク着用によってコミュニケーションが阻害される場合があるため、筆談や手話言語等の代替手段による対応を徹底することや筆談対応をしていることを表示することなどのガイドラインを示すこと。

③ 新型コロナウイルス感染に関しての大臣や都道府県知事の記者会見などでは、聴覚障害者でも理解できるように字幕を付す又は手話言語通訳者を配置すること。

なお、会見直後に字幕を付したものをホームページに載せるなどの方法でも良い。