2022年3月11日 参議院北朝鮮による拉致問題等特別委員会質疑

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日で東日本大震災と福島第一原発の事故から11年となりました。お亡くなりになられた方を心からお悔やみ申し上げます。避難生活を続けておられる方々に心からお見舞い申し上げます。また、今も行方が分からない方々を待つ御家族が再会できることを心から願います。

さて、冒頭、委員の皆様に御報告とお礼を申し上げたく存じます。

私は、車椅子を利用していますので、自力で体の向きを変えて委員会室内を見渡すことができません。また、眼球の動きにも制限があります。そうした私への合理的配慮として、今国会より私のパソコンに広角のカメラを設置し、質問されている先生方と答弁されている大臣、参考人の方々のお顔をモニターで見られるようにすることをお認めいただきました。委員長以下、理事の先生方々の御理解に感謝申し上げます。

それでは、質問に移ります。

代読いたします。

まず、岸田総理の拉致問題への姿勢についてお尋ねします。

岸田総理は、昨年11月に開かれた集会で、拉致問題は岸田内閣の最重要課題だ、私の手で必ず解決しなければならないと強く考えているとおっしゃったとお聞きしています。私の手で必ず解決とは非常に力強い言葉です。

そこで、お尋ねします。

前回の私の質疑で、当時の加藤大臣は、拉致問題の解決について、認定の有無にかかわらず、北朝鮮に拉致された全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて取り組んでいきたいとおっしゃいました。そうしますと、拉致被害者として政府が認定した方のほか、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者を合わせて九百人弱の方々の帰国が実現したときが政府の考える解決の状態ということでしょうか。この点について、松野大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

政府としては、認定の有無にかかわらず、北朝鮮に拉致された全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて取り組んできているところであります。あらゆるチャンスを逃さないという決意で、全力で取り組んでまいります。

なお、拉致被害者の人数につきましては、政府として拉致被害者に関し様々な情報に接していますが、拉致被害者の安全確保に関わるものであることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

いずれにせよ、北朝鮮に対しては全ての拉致被害者を一日も早く日本に帰国させるよう求めていく考えであります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

質問を続けます。

家族会、救う会の皆様は、全拉致被害者の即時一括帰国を求めておられます。

そこで、お尋ねいたします。

政府としても、この全拉致被害者の即時一括帰国を目指していくというお考えでよろしいでしょうか。この点について、松野大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

家族会、救う会の運動方針は承知をしており、これについては真摯に受け止めているところであります。

政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいりたいと考えております。

その結果を出すことが全てであり、それに至る道筋、プロセスについて言及をすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○舩後靖彦君

代読いたします。

質問を続けます。

拉致被害者の5人の方が帰国されて今年で20年になります。ここから九百名弱の方々の帰国を目指すとなると、単純に考えると更なる年月が必要になると考えます。この点についてどのようにお考えでしょうか。

政府としては、まず政府認定の被害者の帰国を目指すという段階的なアプローチを検討されるおつもりはありますでしょうか。この点につきまして、松野大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいる考えであります。

その結果を出すことが全てでありますので、それに至る道筋、プロセスについて言及をすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○委員長(山谷えり子君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山谷えり子君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

私は、セールスマン時代、答えを控えさせていただくというときは何も考え付かないときでした。

大臣、プランがないのではないでしょうか。委員の先生方も疑っておられるのではないでしょうか。この点について、大臣、松野大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(松野博一君)

拉致問題に関しましては、繰り返して答弁させていただきます、しているとおり、岸田内閣の最重要事項でございます。

拉致対策室において、また外務省においても、日々この問題に関しては取り組んでいるところでございますけれども、事柄の性質上、答えを差し控えさせていただく事項があるということに関しては是非御理解をいただきたいと思います。

○舩後靖彦君

代読いたします。

納得できる回答ではありませんが、続いて質問いたします。

北朝鮮において、ほとんどの拉致被害者の方が家族を構成、多い場合三世代の家族を構成していると考えます。例えば、横田めぐみさんは北朝鮮で韓国から拉致された金英男(キム・ヨンナム)氏と結婚し、ウンギョンさんが生まれました。そのウンギョンさんは、毎日新聞の報道によると、帰還事業で北朝鮮に渡った在日コリアンの息子さんと結婚し、娘さんがいるとのことです。つまり、めぐみさんには孫がいることになります。

拉致被害から長い年月が経過しました。北朝鮮で家族関係が構築されているのも実態だと思います。こうした状況で拉致被害者本人のみを帰国させることが可能とお考えでしょうか。仮に帰国を拒まれた場合、政府としてはどのように対処をする方針なのでしょうか。この点について松野大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

北朝鮮による拉致から長い年月が経過をする中、拉致被害者の方々を取り巻く環境にも様々な状況があるものと考えられます。

御質問については、仮定のお話であり、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしてまいりたいと思います。

なお、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律においては、拉致被害者本人だけでなく、その配偶者、子及び孫についても支援の対象としており、拉致被害者の帰国が実現した暁には、同法に基づき、拉致被害者の御家族も含めてしっかりと支援をしてまいる考えであります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

質問を続けます。

歴代総理は、拉致、核、ミサイルを包括的に解決しと発言されています。岸田総理も所信表明演説で同様に述べていらっしゃいます。

これは、聞こえはスマートです。しかし、核、ミサイルはグローバルな問題であり、一朝一夕で解決するとは考えられません。一方、拉致問題は一刻の猶予も許されませんし、日本固有の問題です。こうしたことを踏まえますと、拉致問題は核、ミサイルとは分け、独自外交で対応すべきと考えております。

この点について林大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(林芳正君)

我が国として、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すという考えには変わりはございません。

その上で、北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できないと考えております。これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであります。

引き続き、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指します。

また、拉致問題は岸田内閣の最重要課題でございます。御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もないわけでございます。拉致問題の解決に向けては、米国バイデン政権を始めとする関係国と引き続き緊密に連携しつつ、我が国自身が主体的に取り組むことが重要でございます。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するため、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

質問を続けます。

安倍総理、菅総理は、拉致問題は最重要課題、最優先課題と語りました。最重要課題であるはずなのに、私が当選以来、この委員会で質疑が行われたのも今日を含めてたった二回です。そして、安倍政権、菅政権では、残念ながら被害者の方々が帰国する姿を見ることもかないませんでした。岸田総理も最重要課題とおっしゃっています。

松野大臣にお尋ねします。

必ず解決のためには、まず、この間の総括が不可欠です。多額の予算を消化しながら、政府はこの間、拉致被害者の帰国に向けた道筋を1ミリでも進めることができたのでしょうか。安倍政権、菅政権で何が足らなかったのでしょうか。どのような反省をなさっておられますか。松野大臣、是非御説明していただければと存じます。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

拉致問題の解決に向けてあらゆる努力を行ってきていますが、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

いまだに拉致問題を解決することができていないことは、誠に申し訳なく思っております。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしていく考えであります。

なお、国会の運営に関しては国会でお決めをいただくものと考えていますが、本委員会が開催されれば、政府としては引き続き誠実に対応してまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

2月に行われた日米韓外相会談において、林外務大臣は、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けて理解と協力を求め、支持を得たとの説明をされたと報じられています。この理解と協力というのは具体的にどのようなことを求めたのでしょうか。そして、支持とはどのような態度だったのでしょうか。ただ協力してね、分かりましたというのは外交辞令にすぎず、これだけでは事態が前進しないのは明らかです。

この会談において、拉致問題に関して三者でどのくらい時間を割き、どのような意思疎通を図ったのでしょうか。被害者家族、国民が納得できるような御説明を是非お願い申し上げます。

○国務大臣(林芳正君)

この外交上のやり取りの内容やどの程度時間を割いたか等の詳細についてお答えすることは控えますが、先月12日に行われた日米韓外相会合においては、拉致問題の解決の重要性について議論が行われ、私からは拉致問題の解決に向けた理解と協力を求めて、米韓両国から支持を得たところでございます。

アメリカについて申し上げますと、例えばブリンケン米国務長官でございますが、昨年3月に訪日した際に、北朝鮮と協議する機会があれば拉致問題を取り上げる考えであることを明らかにされておられるというふうに承知をしております。また、韓国については、大統領選挙あったところでございますが、これまで文在寅大統領が金正恩委員長に対して拉致問題に関する我が国の立場を直接伝えてきていると承知をしております。

引き続き、米国、韓国等とも緊密に連携しながら、国際世論も味方に付けながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するために全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

拉致被害者家族の高齢化が進む中、拉致問題の解決は一刻の猶予も許されません。政府は最重要課題だと繰り返すばかりで、本日の委員会でも残念ながら誠実な回答をいただけませんでした。全力を尽くすという言葉どおりの取組をしていただくようお願い申し上げ、質問を終わります。