2022年6月10日 文教科学委員会質疑(議員立法 在外教育施設における教育の振興に関する法律案)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日は、議員立法、在外教育施設における教育の振興に関する法律案についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。

まず、海外で学ぶ日本人の子供たちの現状についてお伺いいたします。

海外で暮らす邦人には、在留期間の制限なくその国に生活基盤を置いて暮らす永住者と、企業の駐在員、外交官とその家族など、日本に帰国する前提の長期滞在者がいるかと存じます。それぞれの義務教育段階の子供たちで、日本人学校、補習授業校等の在外教育施設に通われている数字を教えてください。

○政府参考人(出倉功一君)

お答えいたします。

日本人学校に在籍する児童生徒につきましては、令和三年四月現在で、長期滞在者が14751人、それから長期滞在者以外のうち永住者が201人でございます。

また、補習授業校に在籍する児童生徒については、長期滞在者は19274人、それから長期滞在者以外のうち永住者は4750人になってございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

そうしますと、在外教育施設のうち日本人学校は、主に日本に帰国する前提の子供たちが通っているところということになるかと存じます。

文部科学省のホームページを拝見しますと、我が国の主権の及ばない外国において、日本人の子供が日本国民にふさわしい教育を受けやすくするために、文部科学省と外務省では、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、海外子女教育の振興のために様々な施策を講じていますとあります。

今回、議員立法により、ようやく、海外で暮らす日本人の子供たちが教育を受ける機会の確保と在外教育施設における教育振興のために国の責務を明らかにした根拠法が提出されました。

そこで、大臣にお尋ねします。

大臣は、在外教育施設の役割をどうお考えでしょうか。また、これまで在外教育施設に対する支援は予算事業としてされてきましたが、明確な根拠法がなく来てしまったのはどこに原因があるとお考えでしょうか。

○国務大臣(末松信介君)

舩後先生にお答え申し上げます。

在外教育施設は、在留邦人であります子供が国内の学校における教育に準じた教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たすものと認識しておりまして、その支援につきましては、民間の熱意と努力を基礎としつつ、在留邦人の増加に伴って充実が図られてきたところでございます。

先生お尋ねのこの支援に係る根拠法の制定がこれまではなかった理由につきまして、いろいろと考えたり調べたりしましたけども、一概にお答えすることは困難ではございますが、内閣法制局長官の見解も踏まえつつ、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、これまで様々な施策を講じてきてございます。先ほど吉良先生とも、お話ありましたけれども、昭和53年の、真田内閣法制局長官の答弁が昭和53年2月14日にございます。これに沿うものでもございます。

私といたしましても、在外教育のこの振興を担う立場から、本法に係る様々な御議論を踏まえつつ、しっかりと施策の推進に努めるだけでございます。よろしくお願い申し上げます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

本法案が成立することで、海外で学ぶ日本人の子供たちが安心して学び、そして帰国後、日本語能力や教育水準に大きなギャップを感じることなく日本の学校に移行できるよう、在外教育施設の教育環境の一層の充実、振興を期待したいと思います。

次に、海外で学ぶ日本人の障害のある子供たちの教育についてお伺いいたします。

2019年の海外子女教育振興財団によるアンケート調査結果、「日本人学校における特別支援教育の実態について」によりますと、資料1にありますように、発達障害、学習障害、知的障害を始め、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱、精神障害と、あらゆる障害種の子供が日本人学校に学んでいます。しかし、資料2にありますように、障害のある児童生徒の指導経験がある教員が一人もいない学校が3割です。そして、資料3にありますように、障害のある子を受け入れる際、最も課題となっているのが人員面、そしてそれに次ぐのが設備、専門機関との連携です。

こうした在外教育施設における障害のある子供たちの教育環境の改善については、障害のある児童生徒の指導経験がある教員の派遣、介助員や現地の専門機関との調整を担うコーディネーターなどの採用、校舎のバリアフリー化やリソースルームの設置など、建物、施設の環境整備などへの日本政府の支援が必須と存じます。

本法案が成立しましたら、これらの課題にどう対応されていくか、文部科学大臣、そして外務省から是非前向きな御回答をお願いいたします。

○国務大臣(末松信介君)

舩後先生、お答え申し上げます。

海外におきまして障害のある児童生徒が必要な教育が受けられるようにすることは、極めて重要なことでございます。このため、文部科学省では、各日本人学校から特別支援教育の経験を有する教師の派遣要望があった場合は、それを踏まえた教師の派遣や各学校への助言等の支援を行っているところでございます。先ほど吉良先生からのお話があったときにちょっとシンガポールの話を申し上げましたけど、そのとおりでございます。出張に行かせます。

文部科学省といたしましては、各日本人学校の実情を踏まえた適切な教育環境の整備が図られるよう、本法案の趣旨を十分踏まえまして、総合的に施策の推進を図ってまいりたいと存じます。

○大臣政務官(上杉謙太郎君)

舩後先生にお答え申し上げます。

海外で生活する児童生徒への教育は在留邦人の最大関心事項の一つでありまして、外務省といたしましても、その充実及び強化は、海外に滞在する国民が活躍するための環境整備の一環として重要であると認識をしております。

これまでも安全対策を含めた支援を行ってきたところでありますが、先生が今御指摘された点も踏まえつつ、今後、それぞれの学校の要望等を踏まえまして、適切に対応していきたいと思います。

外務省といたしまして、引き続き、文部科学省と連携をしつつ、可能な限りの取組を行っていく考えであります。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

障害者権利条約が発効し、批准している国であれば、世界中どの国にあってもインクルーシブ教育が要請されます。また、SDGs、持続可能な開発目標においては、全ての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するとうたわれています。

海外で学ぶ全ての子供たちが日本にいるのと同等の教育を安心して受けることができるよう、本法案成立後の施策の充実を願って、質問を終わります。ありがとうございました。