2023年4月13日 参議院文教科学委員会質疑(特定先端大型研究施設共用促進法改正案について)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

特定先端大型研究施設共用促進法の改正案についてお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。

2月、本委員会の視察で、私も次世代放射光施設、ナノテラスを視察いたしました。現場では、私が発症した筋萎縮性側索硬化症、ALSの治療研究にもつながる成果が期待できるともお聞きしました。病気を発症して20年余り、同じ病気の仲間のためにも、一患者としても、大いに期待しています。

本法案の趣旨そのものについては評価をしておりますが、幾つかの懸念点について質問したく存じます。

まず、登録利用促進機関についてお尋ねします。

法の趣旨に沿って共用を促進する上で、この登録利用促進機関が公平公正な利用者選定と利用者支援を行うことが不可欠です。登録利用促進機関については、本法案成立後に申請を受け付け、審査の上で文部科学大臣が登録するとあります。

既に登録施設利用促進機関に登録された機関について、国として、その業務が適正かどうかどのようなチェックをしてきたのか、チェックの結果、不適切な対応はなかったのか、この点についてお聞かせください。

○政府参考人(柿田恭良君)

お答えいたします。

登録施設利用促進機関の業務の適正性の確保につきましては、共用促進法に基づきまして、毎事業年度、文部科学大臣が定める基本方針の内容に即して業務の実施計画を作成し、認可を受けること等を義務付けているほか、科学技術・学術審議会における大規模研究施設に関する中間評価の過程などで業務の実施状況について把握し、評価することとしております。

文部科学省といたしましては、これらの取組を通じて登録された登録施設利用促進機関の業務の適正性を確認しており、これまでに業務の実施状況に問題があったことはございません。

○舩後靖彦君

公平公正な選定がなされることを願います。国が責任を持って、適切な運営が行われているのかチェックをしていただくようお願い申し上げます。

続けて、登録利用促進機関についてお尋ねします。

利用者選定に当たっては、学識経験者による選定委員会を設けて意見を聴くとしています。選任については、委員の職業、専門分野などに著しい偏りが生じないよう配慮することという基準が設けられています。

この選定委員会についてお尋ねします。各機関の選定委員について、各任期における女性委員の割合について御教示ください。

○政府参考人(柿田恭良君)

お答えいたします。

昨年度の女性委員の割合につきましては、まずSPring8、SACLA、放射光施設でございます、その選定委員会につきましては約13%、スーパーコンピューター「富岳」の選定委員会では約18%、中性子線施設でありますJ―PARCの選定委員会では約15%となっております。

また、年度によって変動はありますものの、女性委員の割合は、全体で平均いたしますと、おおよそ5から15%の間で推移をしているところでございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

大臣、この数字は著しい偏りではありませんか。ジェンダーバランスにも考慮すべきと考えます。大臣、いかがですか。

○国務大臣(永岡桂子君)

大変、女性の委員につきましては、随分と低い数字であるなというふうに思いました。また、今のパーセント、女性のパーセントを見ますとね、やはり考えられるのは、特定先端大型研究施設の共用の促進につきまして、それに関係をする研究をしてきた女性が少なかったのだなというふうには思っております。

しかしながら、多様な視点ですとか優れた発想を柔軟に取り入れまして、我が国の研究技術、科学技術イノベーションを活性化していくため、女性の研究者の活躍促進というのは大変重要であると、そういうふうに認識をしております。

そのため、文部科学省では、研究と出産、育児などのライフイベントの、仕事ですね、ライフイベントとの両立であるとか、女性研究者の研究力の向上を通じたリーダーの育成を支援する取組ですとか、また、優れた若手研究者が出産、育児によりまして研究中断の後に円滑にスムーズに研究現場に復帰できるよう支援をする取組などを実施しているところでございます。

また、ナノテラスの利活用の在り方に関します有識者会議の報告でも女性研究者などの積極的な参画の必要性が指摘されているところでございまして、こうした報告なども踏まえて、引き続きまして女性研究者の活躍の促進に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

ジェンダーの観点からも偏りがないよう取り組むべきだと意見を申し上げます。

次に、大学生や大学院生が利用しやすいような支援策についてお尋ねします。

資料1を御覧ください。

資料によると、共用制度の利用料金として、一般課題については施設利用料は免除となるものの、消耗品の使用料や現地への交通費など一定の負担も生じます。若手研究者が意欲的な研究を進めることができるよう、国としても支援策が必要ではないかと考えます。

SPring8では来所の交通費を支援する制度もあったとお聞きしました。この点についてどのような施策を検討されているか、お答えください。

○国務大臣(永岡桂子君)

舩後委員おっしゃいますように、SPring8は旅費を、大学生、これは博士後期課程の大学院生を対象として、旅費ですとかまた消耗品費を支援しております。

やはり、ナノテラスも、これ産業界の研究者を含みます幅広い分野の研究者などが利用することによりまして国際競争力の飛躍的な向上につながる成果が期待できるわけでございます。若手研究者を含みます多くの研究者にとって利用が容易となりますように配慮するということは大変重要でございます。

既に稼働しております放射光施設でありますSPring8におきましては、これは大学院生の提案型課題といたしまして、博士後期課程の大学院生を対象として、旅費そして消耗品費を支援しております。

文部科学省といたしましてもこうした取組は大変重要と考えておりますので、SPring8など既存の施設の制度も参考にしながら、ナノテラスにおきましても大学生や大学院生などの若手研究者の利用が更に進みますように、取組の検討を促してまいりたいと考えております。

○舩後靖彦君

スタートアップ企業、中小企業の利用支援についてお尋ねします。

先ほどと同じ資料一に、スタートアップ、中小企業などの利用については各種支援を検討、実施とあります。

そこでお尋ねします。どのような支援策を検討しておられるのか、お答えください。

○政府参考人(柿田恭良君)

お答えいたします。

ナノテラスにおけるスタートアップや中小企業への利用支援につきましては、量子科学技術研究開発機構や地域パートナーにおいて様々な施策を検討しているところでございます。例えば、企業にとっての利点が分かりやすい広報活動、スタートアップ、中小企業でも使いやすい利用制度、東北大学の専門人材による研究支援や施設設備の利用等の施策を検討しているところであります。

また、地域パートナー側が運用する利用制度におきましては、加入金を支払うことが必要となりますが、既にスタートアップ、中小企業向けに、加入金を分割し、通常よりも低い金額で利用できる制度も準備されていると承知をしております。

今後とも、スタートアップや中小企業の利用支援策の具体化につきまして、量研機構や地域パートナーとも連携しながら進めてまいります。

○舩後靖彦君

一患者として、難病の解明、治療研究の進展への期待を抱いております。もちろん、それだけでなく、日本の研究環境改善、市民生活に寄与する研究成果に導いていただきたいとお願いし、質問を終わります。