2023年4月19日 参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会質疑・意見表明

○会長(宮沢洋一君)

他に御発言はありませんか。

舩後靖彦君。

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

私は、進行性の難病、筋萎縮性側索硬化症、ALSの進行により、喉に穴を空けて人工呼吸器を付けているため、声を出すことができません。このため、パソコンによる音声読み上げで質問をいたします。聞き取りにくい点もあるかと思いますが、御容赦ください。

経済産業副大臣にお尋ねします。

質問に当たり、はっきりと申し上げます。政府の原発政策について、断固として抗議いたします。

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からまだ12年しかたっておりません。福島県内外への避難者数はいまだ2万人以上おられます。今も故郷に帰れない方、なりわいを奪われた方、原発事故によって人生を大きく変えられてしまった方々の支援と補償は道半ばです。にもかかわらず、新増設や運転期間の実質延長をもくろみ、原発推進を強化しようとする政府の姿勢は到底容認できません。

今、日本に求められているのは、再生可能エネルギーをいかに発展させていくのかということです。経済安全保障の観点からも国として再生可能エネルギーに全力を尽くすべきところ、原発の新増設や運転期間延長を打ち出しました。あり得ません。

もう一度言います。原発事故からたった12年です。政府が閣議決定したGX実現に向けた基本方針の中に、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓をひとときたりとも忘れることはないと明言されています。そのとおりです。しかし、政府がしようとしていることは、この方針とは全く相入れない内容ではないかと考えます。

質疑に当たり、福島で暮らす農家の団体である福島県農民運動連合会の事務局長佐々木健洋さんにお話をお聞きしました。佐々木さんはこのように話されました。

原発事故の最大の教訓は、動かさないということです。政府が原発の新設や運転期間延長をしようとすることは、この教訓がなかったことにするという意味です。原発事故があったのに今後何十年も更に動かそうとするのは、福島の事故は大したことなかったのだ、賠償も十分されて、支援もされて、もう収まっているのだと国は捉えているように感じます。南海トラフ巨大地震も危惧される中、日本で決して原発を稼働させる状況ではないと考えますとおっしゃっていました。

本当にそのとおりであり、政府はこうした意見を真摯に受け止めるべきだと考えます。こうした福島の被災者の声をどのように受け止めておられるのですか。

○副大臣(太田房江君)

私も、原子力災害現地対策本部長として度々福島に伺わせていただいております。そのたびに、事故により被災された方々への心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、最後まで福島の復興再生に全力で取り組むことが、これまで原子力を活用してきたエネルギー政策、それを進めてきた政府の責務であるというふうに考えております。

GX実行方針にも書いてございますけれども、原子力を活用していく上では、東京電力福島第一原発の事故の経験、反省と教訓をひとときも忘れることなくエネルギー政策を進めていくこと、これが一貫した政府の方針でございまして、2月10日に閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針にも明記をされておるところです。

今後も、原子力を活用し続ける上で、安全神話に陥ることなく、安全性を最優先することが大前提であるということを肝に銘じた上で、安全性が確保された原子力の利活用を図っていきたいと考えております。

○舩後靖彦君

到底納得できません。

経済産業副大臣にお尋ねします。

原発回帰ではなく再生可能エネルギーの発展に全力を注ぐべきだという点について、改めて申し上げます。

2月の本調査会に出席していただいた大島堅一龍谷大学政策学部教授は、再生可能エネルギーを100%にするような政策をこれから大胆に取っていくことが日本社会にとって、また日本の経済にとって自立性を高める道とおっしゃいました。

先ほど御紹介した福島県農民連は、自ら市民共同発電所に取り組み、自然エネルギーへの転換を実践されています。佐々木事務局長は、分散型、営農型発電所が増えれば送電線に負荷を掛けずに済む、地域の中でエネルギーが循環でき、仕事も増やせるし人口流出も防げる、太陽光や風力の普及を今やらなくていつやるのだというタイミングなのに、原発にお金を注ぐのはどう考えてもベクトルが逆ではないですかと指摘されています。全くそのとおりです。

原発の稼働、建設に使う分のお金を再生可能エネルギーの普及、発展に使うべきではないでしょうか。見解をお聞かせください。

○副大臣(太田房江君)

先ほども触れましたGX基本方針、2月に閣議決定をされておりますけれども、この中には、Sプラス3Eの原則の下、まあこれは日本の置かれたエネルギー状況、それから、エネルギーの安定供給、そして成長、日本の成長、さらにはカーボンニュートラル、この三つを同時達成するためには、あらゆる選択肢を確保することを前提に、徹底した省エネの推進に加えて、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換、これを推進する方針が明記されているわけです。

エネルギーの安定供給と気候変動対策を両立するためには、再エネか原子力かといった二元論に立つのではなく、脱炭素電源である再エネと原子力を共にしっかり利活用していくという発想が重要ではないでしょうか。その上で、再エネについては、主力電源化に向けて最大限導入を進めていくために、全国規模での系統整備、海底直流送電の整備などを加速した上で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、2030年度の電源構成に占める再エネ比率三六から三八%の達成に向けて取組を進めているところでございます。

○舩後靖彦君

時間の関係で通告と少し順番を変えて、最後の質問にいたします。

経済産業副大臣にお尋ねします。

GX基本方針に原子力を盛り込んでいること自体への違和感についてお尋ねします。

米国の環境保護庁のウェブサイトや英国のグリーンエネルギー法などでも、グリーンエネルギーに原子力が含まれるという定義は見当たりません。フランスのグリーン化促進のためのエネルギーの移行に関する法律にはグリーンエネルギーの定義はありませんが、原子力発電を削減して、再生可能エネルギーや省エネルギー、電気自動車などを促進する内容の法律となっています。

こうしたことを踏まえると、グリーントランスフォーメーションの中に原子力発電をグリーンエネルギーのように含めて原子力発電の推進を含むのは非常に違和感を抱きます。どのようにお考えですか。

○副大臣(太田房江君)

御指摘のありました何がグリーンかということでございますけれども、現時点では世界共通の定義というのは存在していないというふうに我々は認識をしております。

例えば、EUでは経済活動が環境的に持続可能かどうかを判断するための基準としてEUタクソノミーが定められておりますが、これも一定の条件を満たせば原子力もいわゆるグリーンとして認められるというふうに認識をしております。

こうした基準はそれぞれの国や地域の特性、事情を踏まえて作成をされるものでありまして、各国の考え方が一致するとは限らないと、こう考えて私どもの政策は進めているところでございます。

○舩後靖彦君

原発が持続可能なエネルギーではないことは、原発事故を経験した日本で暮らす私たちが一番理解しているはずです。

質問を終わります。

○会長(宮沢洋一君)

他に御発言はありませんか。

舩後靖彦君。

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

れいわ新選組は、原発は即時禁止し、廃炉を進めていくべきだと訴えております。

東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からまだ12年しかたっておりません。今も故郷に帰れない方、なりわいを奪われた方、原発事故によって人生を大きく変えられてしまった方々の支援と補償は道半ばです。にもかかわらず、新増設や運転期間の実質延長をもくろみ、原発推進を強化しようとする政府の姿勢は到底容認できません。

福島で生きる方、やむなく避難した方たちは、今も原発事故の延長線にあります。第一原発の廃炉作業すらまだ十分な見通しが立たず、被災者の支援も道半ばです。政府がまず取り組むべきは福島原発事故への対応であり、原発の新規建設ではありません。エネルギーの確保についても、質疑で述べたとおり、再生可能エネルギーの普及、発展を目指した施策に重点的に取り組むべきであり、原発に頼るなどもってのほかです。

本日、自分の質問を含めて政府の回答をお聞きしていましたが、それでも原発を動かさなければならない明確な理由を得ることはできませんでした。

GX、グリーントランスフォーメーションの中で原発を推進しようとする政府は、原発をグリーンエネルギーに含まれると考えておられるようですが、環境への負荷が少ないグリーンとは到底言えません。一たび原発事故が起きたら、地域に、社会に何が起こるのか、日本で暮らす私たちは世界のどこよりもそのことをよく理解しているはずです。南海トラフ地震を含め、今後も巨大地震のリスクと直面しながら生活している日本において、原発をグリーンエネルギーとくくるのは余りに無理があると考えます。

れいわ新選組の公約である脱原発、グリーンニューディールは、10年間で200兆円(政府50兆円、民間150兆円)、グリーン債を発行し、毎年250万人の雇用創出を目指すというものです。脱原発と脱炭素を柱に、持続可能な社会を実現するための政策が必要だと訴え、私からの意見といたします。