2023.6.1 参議院厚生労働委員会質疑(重度障害者の訪問入浴について、医療的ケア児支援)

○舩後靖彦君

代読いたします。

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

天畠委員に代わり、本委員会で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

まず、私にとって大変重要な訪問入浴サービスについてお尋ねいたします。

質問に入る前に、大変ぶしつけとは存じますが、大臣にお尋ねいたします。大臣は、週に何回、何時くらいに入浴されますか。

○国務大臣(加藤勝信君)

基本的に毎日入っております。帰宅してからということでありますので、実際入っているのは、どうですかね、夜の11時とか10時とかいうことでございます。

○舩後靖彦君

代読いたします。

プライベートな質問にお答えいただき、ありがとうございます。

私のように自宅の風呂に入ることが難しい重度障害者や要介護度の高い高齢者は、介護保険や障害福祉の訪問入浴サービスを使っています。訪問入浴の様子は資料1を御覧ください。シャワーや体を拭くだけでなく、お湯につかることで血行が良くなり、筋肉や関節の痛みも和らぎます。何より、心身共にリラックスできる至福のときです。

しかし、事業所によって違いますが、一般的に利用可能時間が朝8時半から夕方6時ですので、委員会や本会議が朝から夕方まである日は訪問入浴が使えず、1週間に1回くらいしか入浴できない週もあります。これから暑くなるのに、皆さんなら耐えられますか。障害のない多くの方は、仕事や学校を終えて帰宅し、夕食前後あるいは寝る前に入浴されていると思います。しかし、訪問入浴では夜入浴することができません。

そこで、大臣にお尋ねいたします。

介護保険の訪問看護、訪問介護、障害福祉の居宅介護には、夜間、深夜、早朝加算の設定があります。なのに、訪問入浴介護に夜間加算が設定されていないのは、訪問入浴を利用する重度障害者や要介護度の高い高齢者は日中家にいるものという前提に立っているからではないかと考えます。

しかし、私を含め、人工呼吸器利用者、24時間介助が必要な重度障害者の中にも日中働いている方はいます。訪問入浴でも夜間加算を付けて、せめて夜7時、8時の入浴を可能にすることはできませんでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君)

訪問介護や訪問看護などは、サービスの特性上、早朝、夜間、深夜においてもそれぞれの利用者の状況に応じてサービス利用の必要性が生じる場合があり、人件費等の増加を伴うことから、夜間等に行われるサービスについて加算を設けて評価しているところでございます。

他方、今御指摘がありました訪問入浴介護についても夜間等にサービス提供を行うこと自体は可能でありますが、新たに夜間等におけるサービス提供について加算を設けることについては、サービスの趣旨、夜間におけるサービス提供がどの程度一般的に必要とされているのか、また、利用者の自己負担の増加、夜間等におけるサービス提供に伴う事業者、介護従事者それぞれの負担等を総合的に勘案しながら慎重に検討していく必要があると考えております。

訪問入浴介護も含めて、地域において必要な方に適切に介護サービスが提供される、そうした体制を構築していくことは必要だと認識をしております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

大臣、課題は認識していただけたのですね。ありがとうございます。私は、課題を解決していただけると理解いたします。それでよろしいでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君)

申し上げましたように、訪問入浴介護について新たに夜間等におけるサービスについての加算を設けることについては、先ほど申し上げました様々な課題があるので、これは慎重に考えていかなきゃならないと考えているということを申し上げたところでありますが、その上において、地域において必要な方に適切に介護サービスが提供する、されるということ、これまさに全世代型社会保障構築自体が必要な方に必要なサービスを提供していくという、それに立脚をしているわけでありますので、そういった観点に立ちながら考えていく、そうした体制を構築すべく考えていく必要があるというふうに思っております。

○委員長(山田宏君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山田宏君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

次に、訪問入浴の制度設計についてお尋ねいたします。

訪問入浴は、看護職員1名以上、介護職員2名以上の計3名の配置が原則で、自宅に浴室のない要支援1、2の高齢者の場合は、介護予防訪問入浴介護として看護職員1名以上、介護職員1名以上の計2名以上が行うこととなっていますが、看護職員が必要な理由は何でしょうか。

○政府参考人(大西証史君)

お答えいたします。

訪問入浴介護の看護職員、看護師又は准看護師の方々でありますけれども、これは、入浴によりまして利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがないかどうか、これを確認する観点等から配置をしているものでございます。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

バイタルチェックをして入浴可能かの判断や体調に変化があったらケアマネ若しくは主治医に連絡することなどは、家族や、訪問介護や居宅介護で入浴介助するヘルパーでもやっていることではないでしょうか。

訪問入浴で看護師又は准看護師が付いてきても、たんの吸引や褥瘡の処置、カテーテルチューブ交換など訪問看護で行われる行為はできないとされています。研修を受けたヘルパーが行っているたんの吸引すらできないのであれば、訪問入浴介護において、看護師又は准看護師が配置される必要性が感じられません。

実際、訪問入浴介護の説明では、入浴により利用者の身体状況等に支障が生じるおそれがないと認められる場合に、主治医の意見を確認した上で、介護職員3人による訪問が可能という例外規定もあります。この規定は、私のように、人工呼吸器を利用している医療的ケアの必要な利用者に対しても適用可能と考えてよろしいでしょうか。

○政府参考人(大西証史君)

お答えいたします。

舩後議員御指摘のとおり、指定基準におきましては、利用者の身体の状況が安定していることなどから、入浴により利用者の身体の状況などに支障を生ずるおそれがないと認められる場合においては、主治の医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができるとしているところでございます。

御指摘の人工呼吸器を利用する医療的ケアが必要な利用者の方について、この規定上、除外しているものではございませんが、いずれにいたしましても、個々のケースごとに主治の医師の御意見に基づいて適切に判断されるものと考えております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

引き続き、訪問入浴介護についてお尋ねいたします。

資料2を御覧ください。介護保険による訪問入浴介護の事業所数と利用者数の推移です。

これを見ますと、平成24年から事業所、利用者数とも減少傾向が続いています。要介護高齢者が増えているのに、訪問入浴介護の事業所、利用者数ともに減っているのは訪問入浴介護の収益が訪問看護、訪問介護に比べて低いことが理由ではないかと私は捉えています。

資料3を御覧ください。

令和4年度の介護事業経営状況調査によれば、令和3年度の訪問入浴介護の収支差率は3.6%、訪問看護は7.2%、訪問介護は5.8%です。

訪問入浴介護は、基本的に看護職員1名と介護職員2名、計3名のチームで動く必要があり、また、特殊浴槽等の設備と移動のために車が必要なため、訪問看護、訪問介護に比べ、一回の訪問に掛かる支出が大きい一方で、訪問回数が少なく、収益性が低くなってしまうのです。

こうした事情に加え、看護師、介護士不足が相まって、事業所が訪問入浴介護から撤退してしまい、地方では訪問入浴サービスを提供できる事業所がない自治体もあります。

そこで、提案です。

私のように、重度訪問介護によって長時間介護と医療的ケアが提供されている場合、先ほど確認した訪問入浴介護の人員配置基準の例外規定を拡大し、看護職員でなく介護職員3名若しくは2名での対応にできないでしょうか。訪問入浴介護はチームで行いますから、1日に複数回の利用がある場合、1件目は看護職員なしでできても、2件目は看護職員が必要であれば結局看護職員を配置せざるを得ず、人員の負担軽減にはなりません。しかし、今後、夜間帯での提供が可能になった場合や、1日に1件のみの場合などでは、人員配置基準を緩めることで負担が軽減され、事業所が訪問入浴サービスを提供しやすくなればと考えます。

大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君)

今、これまで議員から御指摘あるように、訪問入浴介護は、大変、居宅において利用者の身体の清潔保持、心身機能の維持等を図るサービスとして、特に中重度の利用者にも多く利用されており、大変大事なサービスだということは認識をしております。

また、訪問入浴介護の事業所数は減少してきているものの、お示ししていただいた資料は平成31年までになっておりますが、近年のを見ると、これは増加傾向にございます。例えば令和2年が6万3500人が、令和4年には7万500人と増加をしているところでございます。

また、収支差率についても、近年、訪問介護や訪問看護と比較すると低くなっている傾向はあるものの、全サービスの平均よりは高く、黒字となっているものと承知をしているところでございます。

訪問入浴介護の看護職員の必要性は先ほど説明をさせていただいたところでございます。

重度訪問介護の利用時において、訪問入浴介護の看護職員の配置基準を緩和することについては、重度訪問介護の基準上、看護職員が配置されておらず、訪問入浴介護における看護職員の役割を代わることができる人員が配置されていないことから、利用者の安心、安全の確保など、サービスの質の確保から困難と考えております。

ただ、先ほど説明させていただいたように、介護職員3名によるサービス提供については、重度訪問介護の利用者の場合によっても、指定基準により、個々のケースで主治の医師の意見に基づいて適切に判断されるものと考えております。

訪問入浴介護も含め、地域において適切に介護サービスが提供されるよう、引き続き努力をしてまいります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

入浴は生活の質を向上させる上で大変重要な要素と考えます。医療的ケアが必要であったり全介助の状態の人が全国どこにいても入浴を楽しみ、快適な生活を送れるよう、訪問入浴サービスの充実を願い、次の質問に移ります。

今年度から、医療的ケア児含め、障害児支援の予算が厚労省からこども家庭庁に移りました。このことは、子供施策全体の中に障害児も位置付けられたことと捉え、歓迎いたします。その上で、私も法案策定に関わりました医療的ケア児支援法施行後の状況についてお尋ねいたします。

2021年9月18日に医療的ケア児支援法が施行され、一年九か月たちました。医療的ケア児支援法は、その目的として、医療的ケア児の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるように、保育、教育、その他必要な施策を拡充し、医療的ケア児支援センターの指定等を定めることにより、医療的ケア児の健やかな成長を図るとしています。つまり、この法律の重要ポイントの一つが、医療的ケア児とその家族に対する相談支援をワンストップで提供する医療的ケア児支援センターの設置であり、その機能を実質的に担う医療的ケア児コーディネーターの配置です。

センターは最低、都道府県に一か所以上設置されることになっていますが、現在のセンターの設置状況及び医療的ケア児コーディネーターの配置状況をお示しください。

○政府参考人(黒瀬敏文君)

お答え申し上げます。

現在の状況でございますけれども、医療的ケア児支援センターにつきましては、令和5年5月現在で43都道府県において設置をされるとともに、各地域のコーディネーターにつきましては、令和3年度末時点でございますが、841市町村において配置がなされておりまして、医療的ケア児とその家族に対する支援体制の整備が全国各地で進捗してきているものと承知をしております。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

都道府県に一か所ではアクセスしづらいわけです。今後、医療的ケア児支援センターの設置が広がっていくことが期待されます。

一方で、医療的ケア児コーディネーターの配置が余り進んでいない理由としては、予算や人員の確保が困難であることが想像されます。医療的ケア児とその家族からの相談に対する情報、アドバイスの提供、地域の医療、保健、福祉、教育など関係機関からの相談への対応、連絡調整、地域の医療的ケア児の状況の共有や研修の実施など、センターが担う総合的な機能への予算措置についてお示しください。

○政府参考人(黒瀬敏文君)

お答え申し上げます。

こども家庭庁におきましては、医療的ケア児支援センターの設置を進めますとともに、コーディネーターの配置や支援者養成研修など、支援体制の整備について総合的な支援を実施する医療的ケア児等総合支援事業によりまして、自治体に対する財政的支援を行っているところでございます。

本事業は、令和元年度の創設以降、増額を図ってきたところでございます。また、こども家庭庁に移管された本年度からは、統合補助金である児童虐待防止対策等総合支援事業費補助金のメニュー事業として実施をしておりまして、令和5年度予算額は208億円の内数となっているところでございます。

市町村に配置された医療的ケア児等コーディネーターの人数につきましては、平成30年度の562人から令和3年度は1896人に増加をしておりまして、今後とも、自治体と連携をしながら、医療的ケア児等に対する支援体制の整備を推進してまいります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

社会保障費全体の伸びを抑制する方針の中、医療的ケア児の支援体制を拡充されていることは医療的ケア児支援法を実際に進める強い意思の表れと受け止め、感謝申し上げます。

その上で、医療的ケア児支援センターが当事者目線に立ってその機能を果たすために、医療的ケア児であった当事者若しくはその家族の配置を要望いたします。医療的ケア児が地域で育っていく過程で、医療、保健、福祉、教育機関などとのやり取りの中で、良い経験や困難、課題を整理して相談事例に対応することで、支援する側の視点に偏りがちなものがより多角的になるかと存じます。とりわけ、関係機関への情報提供、医療的ケア児支援者養成の研修においては、そのニーズを一番把握している当事者参画は欠かせないと存じます。

医療的ケア児は高度な医療機関が存在する都市部に偏在しているなど、各センター配置に課題はありますが、是非御検討をお願いしたいと存じます。こども家庭庁としての御見解をお示しください。

○政府参考人(黒瀬敏文君)

お答え申し上げます。

医療的ケア児とその家族に対する支援に当たって、当事者及びその家族の方のニーズを、のニーズですとか御意向をしっかりと把握をして取組に反映していくことは、私どもとしても大変重要であるというふうに考えております。

昨年度、医療的ケア児支援センターの状況等に関する調査研究というのを実施しておりますが、こちらの中では、センターが利用者にとって利用しやすく、また真に求められる支援が可能となるよう、家族会等と情報交換を行っている等といった事例も報告されているところでございます。

このように、医療的ケア児やその家族の方々の支援体制をつくる際には、当事者やその御家族の御意見を踏まえることは私たちとしても大変重要と受け止めておりまして、地域全体による医療的ケア児とその家族が直面する課題及びその対策、対応策等の検討を行うために設置を進めております協議の場につきまして、当事者団体等も構成員として我々としてお示しをしているところでもございます。

引き続き、当事者や御家族の御意見を踏まえながら、医療的ケア児支援センターの設置、運営、医療的ケア児に関する地域の支援体制の整備、充実が図られますよう取り組んでまいります。

○舩後靖彦君

代読いたします。

ありがとうございます。

難病等で重い障害があり医療が必要であっても、子供は子供の中で育ちます。医療的ケア児が地域で豊かな子供時代を過ごし社会に出ていくことをシームレスに支える体制整備の一層の推進をお願いし、質問を終わります。