2023年11月30日 文教科学委員会質疑(障害児が通う放課後デイサービス/インクルーシブ教育)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

本日は一般質疑ということで、こども家庭庁さんに来ていただき、障害のあるお子さんが通う放課後等デイサービスについてお伺いいたします。

改正児童福祉法の下、2012年、平成24年に放課後等デイサービス事業が発足してから11年たちました。

資料を御覧ください。

この10年間に、事業所数は6.6倍、費用は約10倍に増えています。令和4年度の費用額は約4669億円で、障害福祉サービス等全体の総費用額の13.7%、障害児支援全体の総費用額の67%を占めるまでに至っています。

しかし、中には利益優先で、単にDVDを見せるだけ、学校の宿題をやるだけの事業所もあるなど、支援の質に関してはいろいろ指摘がなされてきました。

この現状に対して、障害児通所支援に関する検討会が今年3月に報告書をまとめ、以下のような方向性を打ち出しました。ガイドラインに記載されている四つの活動、すなわち自立支援、創作活動、地域との交流、余暇活動の提供という総合的な支援を基本とすべき。その上で、子供の状態に合わせて理学療法、作業療法、言語療法などを重点的に行う場合、必要性を丁寧に判断し計画的に実施する。その一方で、ピアノや絵画のみを提供する支援は公費負担の支援としてふさわしくない、ガイドラインに示される支援の視点とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供することが必要とされました。

そこでお伺いいたしますが、ガイドラインにある総合的支援を満たさず預かりがメインの場合や、学習支援のみ、趣味の指導など特定の技能教育だけを提供する場合は公費の対象から外されるということでしょうか。

○副大臣(工藤彰三君)

お答え申し上げます。

放課後等デイサービスは、障害のある就学児に対して授業の終了後又は学校の休業日に発達支援を行う重要なサービスであり、現在、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて、質の高い支援を提供するための方向について検討しているところでございます。

その中では、令和5年3月に取りまとめられた障害児通所支援に関する検討会報告書も踏まえて、適切なアセスメントの実施と子供の特性を踏まえた支援を確保する観点から、支援において、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性の5領域を全て含めた総合的な支援を提供することを基本することと求める方向で検討を進めているところでございます。

委員御質問のピアノや絵画、学習支援についても、それ自体を否定するものではありませんが、放課後等デイサービスが発達支援を提供するサービスであることを前提に、適切なアセスメントの下で五領域を踏まえた支援として提供していただくことが必要であると考えております。

引き続き、子供の発達段階や特性を踏まえた質の高い支援が適切に提供されるよう必要な取組を進めてまいります。

○委員長(高橋克法君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(高橋克法君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

そこでお尋ねします。そこでお尋ねしますが、発達障害のお子さんに必要な支援の評価基準はあるのでしょうか。副大臣、お願いします。

○委員長(高橋克法君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(高橋克法君)

速記を起こしてください。

○副大臣(工藤彰三君)

お答え申し上げます。

それぞれに必要な支援を基準化したり数値化したりすることは、子供の発達段階や特性、支援ニーズが様々である中で難しい面があると考えております。一方で、放課後等デイサービスの実施に当たって基本的事項を定めた放課後等デイサービスガイドラインの見直しに取り組んでおり、この中で基本となる支援の内容や障害特性に応じた配慮事項などもお示しすることを検討しております。

質の高い発達支援の提供が推進されるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

今回質問するに当たり、発達障害のお子さんを対象としたクリニックの医師であり、個々のニーズに沿った学習支援に特化した放課後デイを行っている先生にお話をお伺いいたしました。

不注意、多動、衝動のため制止されたり叱られたりして暴れる、一つのことに集中し過ぎて次の行動に移れない、知的障害はないのに、手先の不器用さ、眼球運動、視覚、音韻などに課題があり、文字の読み書き、算数などの学習障害を引き起こす、手、足、目、耳などの個別の動きを一緒に行う協調運動が苦手で、キャッチボールができない、人の話を聞きながらメモを取ることができないなど、様々な運動、学習に困難を来すお子さんがいます。発達の凸凹状態は様々ですが、小さいときから生きにくさ、困難を生きている点は同じといいます。集団生活の中では失敗が多く、集団規律の厳しい競争主義的な環境の中で自己肯定感を持てないでいます。そのようなお子さんにクリニックで出会い、医療の枠の中だけでは月に一回の作業療法、理学療法しかできず、あとは家庭に任せてしまうことになる。得意なことを伸ばし、不得意は他人に任せて育ててもらう。助けを求めることができるようにという生活支援、個別の学習支援ができる場として放課後デイを始めたとのことでした。

こうしたお子さんは放課後、学童保育にも通っていますが、そこではこうした個別の困難に対応した支援は難しく、また学校現場では教員不足が深刻で、一人一人の子供にきちんと向き合う時間がありません。通級指導にしても、子供の個性に合った指導スキルを有する教員はもっと不足しています。そのため、学習支援を受けるために放課後デイに通っています。

しかし、今回の方針では、児童発達支援における5領域、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性の全てを含む総合的支援の実施が前提となっています。そのため、多職種の専門スタッフを必要とし、今まで小規模で丁寧な支援をしてきた事業所では、経営的に成り立ちません。

学習支援や音楽、絵画など、本人の得意分野での指導などに特化した放課後デイが今後淘汰されると、発達障害のお子さんが学習支援や自己表現の機会を失うことになり、自己肯定感の低下につながり、不登校、引きこもりにつながりかねないと、お話を伺った先生は憂慮されます。小規模で十分な支援を行うには、現在でも財政支援が足りないと言います。

もちろん、営利だけが目的の事業所は論外ですが、放課後デイの見直し、再編に当たっては、医療的ケア児の判定スコアのように、障害に応じて何が必要な支援か適正に評価する仕組みと、それに応じた支援の拡充が必要と考えますが、いかがですか。

○副大臣(工藤彰三君)

お答え申し上げます。

再質問というか、深掘りした質問だと思いますが、現在、令和6年度障害福祉サービス等の報酬改定に向けて質の高い支援を提供しておりますという方針について先ほど答弁させていただきましたが、障害を持つ方、様々な特性のある方に対しては、手広く手厚く、そして様々な観点から対応せねばならないと考えております。

そのことは、これはガイドラインも大変ですが、現場の方々、教員の方、地域の方々としっかりと対話しながら、そしてまた、一番大切なのは、本人が何をそのデイの中で、放課後デイサービスにおいて望んでいるか、そのことを対話をしっかりして、本人がこの教室に来ることが本当に毎日楽しくあってもらいたい、そんなふうに考えておりますので、精いっぱいこども家庭庁としては目くばせ気くばせをしながら、各部署と連携取りながらこれからも進めてまいりたいと考えておりますので、御理解をよろしくお願いいたします。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

今回の報告にインクルージョンの推進が掲げられ、児童発達支援、放課後等デイサービスの通所障害児支援についても、より子供一般施策にシフトしていくことがうたわれていることには大賛成です。

しかし、そもそも学童保育での障害児の受入れがなかなか進まないために、障害児にとっての安心、安全な居場所として、また、就労する親、家庭支援の場所として放課後デイが増え続けた経緯があります。2024年の法改正で、預かりを主とする事業所や、学習支援のみ、ピアノや絵画のみの事業所が支援対象にならず淘汰されることで、障害児の放課後の居場所が奪われることのないよう願います。

次に、前回、大臣所信に対する質問で時間切れでお聞きできなかった質問をさせていただきます。

大臣は、特別支援教育の充実に触れ、インクルーシブな学校運営モデルの構築を進めるとおっしゃいました。これは、今年の3月に報告書が出された通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議の提案を受けてのものと存じます。

しかし、報告書では、現在の多様な学びの場を維持しつつとあり、あくまで特別支援学校と通常の学校という二つ以上の仕組みを前提にしており、障害者権利条約が言う全ての子供が必要な配慮を受けて同じ場で学ぶインクルーシブ教育は想定されていません。

確かに、モデル事業の構想では、現在取り組まれている特別支援学校と通常学校との交流、共同学習をより日常的に場を統合して行い、それぞれの教員がその専門性を生かし、柔軟な教育課程、指導体制の下で協力して指導に当たるとなっています。そのため、現状の一年に数回、行事のときだけの交流に比べたら、格段に交流、共同学習は進むと期待されます。

しかし、一緒に過ごすことがいいなら、なぜそもそも学籍を分けた上で交流、共同学習を進めるのでしょうか。せっかく一緒の場で学習をしても、学籍を分けることで障害のある子はお客さん扱いとなってしまいます。

大臣、最初から同じ学級、学籍で学校生活を送り、必要な配慮を得て一緒に授業を受けるインクルーシブ教育に向けての制度改革と条件整備こそ必要ではないですか。

○国務大臣(盛山正仁君)

先ほども出ておりましたが、本年3月に取りまとめられた検討会議報告において、特別支援学校と小中高等学校を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルの創設等について提言されたことも踏まえ、文部科学省においては、その実現に向けて必要な予算を令和6年度概算要求に計上したところです。

具体的には、先進的な取組を行おうとする自治体等に委託し、現行の特別支援学校と小中高等学校においてそれぞれの教育課程で学ぶ障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶ環境を整備するため、柔軟で新しい授業の在り方や人員配置を含む指導体制の在り方などについて様々な観点から実証的な研究を行うこととしています。これらの実証的な研究の成果等を踏まえた上で、他の地域への展開を図るなど、よりインクルーシブな学校の実現を目指して取組を進めていきたいと考えております。

以上です。

○舩後靖彦君

代読いたします。

終わります。ありがとうございました。