2023年12月4日 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会質疑

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。

私は、参議院議員になってからほとんどの期間、本特別委員会に所属しております。過去4回質疑を行いましたが、政府からは明確な答弁をいただけることがほとんどありませんでした。本日は、角度を変えて、本質的な質問をさせていただきたいと考えております。松野大臣、上川大臣、本日もよろしくお願いいたします。

上川大臣にお聞きします。

そもそも拉致問題はなぜ起こったとお考えでしょうか。

○国務大臣(上川陽子君)

お答えをいたします。

2022年9月の日朝首脳会談におきまして、金正日国防委員長は、特殊機関の一部の妄動主義者らが英雄主義に走ってかかる行為を行ってきたと考えているとし、その理由として、一つは特殊機関で日本語の学習ができるようにするため、二つ目は他人の身分を利用して南に入るためである旨述べ、拉致を認めて謝罪をいたしました。

我が国といたしましては、拉致問題のこの全面解決に向けて、この拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明並びに拉致実行犯の引渡しのために引き続き全力を尽くす考えでございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

同じ質問を松野大臣にもお聞きします。

松野大臣はなぜ拉致問題が起こったとお考えでしょうか。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

外務大臣の答弁と同趣旨でございますけれども、平成14年に行われた日朝首脳会談での当時の金正日国防委員長による説明や、よど号犯人の元妻の証言を含め、諸情勢を分析しますと、拉致の主要な目的は、北朝鮮工作員が日本人のごとく振る舞えるようにするための教育を行わせることや、北朝鮮工作員が日本に潜入して、拉致した者に成り済まして行動ができるようにすることのほか、金日成主義に基づく日本革命を行うための人材獲得にあったと見られますが、北朝鮮による拉致事件については、現在、我が国の警察当局による捜査が引き続き行われているところであり、拉致に関する真相が必ずしも全て明らかになっているわけではないことから、現時点で確定的なことを申し上げるのは困難と考えております。

○舩後靖彦君

松野大臣、ありがとうございます。

では、上川大臣、拉致問題がここまで長い間解決に至らない根本原因は何だとお考えですか。

○国務大臣(上川陽子君)

北朝鮮による拉致が発生して長い年月がたった今も、2002年に5名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現していないことは痛恨の極みでございます。拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題と考えております。

現在の状況に至っている背景についての御質問でございますが、様々な要因があると思っておりまして、御質問の根本的な原因として一概に特定の事柄を挙げるのはなかなか困難でございます。また、この点に係る認識について述べることが今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは適切ではないということも御理解いただきたいというふうに思います。

政府といたしましては、引き続き、国際社会とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動してまいります。

○舩後靖彦君

大臣の痛恨の極みという思いは私も一緒です。日本と北朝鮮間の歴史の総括が今こそ必要と感じております。

次は、順番を変えて、松野大臣にお聞きします。

岸田総理は、10月の所信表明演説で、大局観に基づく判断をするとおっしゃいました。松野大臣は、記者会見で、日朝間の実りある関係を築くという大局観と解説されていますが、理解がしづらいので、誰もが分かるように解説していただけますか。

○国務大臣(松野博一君)

お答えをさせていただきます。

総理は、これまでも、日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの総理の決意をあらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと考えていると述べてきているところであります。

御指摘の表現につきましては、こうした観点も踏まえ、日朝間の懸案解決に向けて一歩でも前に進めていくという決意を表現したものであり、日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくという大局的な観点から総理自ら判断していくという決意を述べられたものと承知しています。

○委員長(山谷えり子君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山谷えり子君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

お尋ねします。ハイレベルとはどのレベルかを言うのか、具体的にお示しください。

○国務大臣(松野博一君)

御指摘の総理直轄のハイレベルでの協議については、岸田総理から、大胆に現状を変えていくために、総理自身が主体的に動き、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であるとの趣旨を述べられたとおり、大局観に基づいて総理自ら決断するという決意を示されたものと考えています。

いずれにせよ、政府としては、このような協議の実現のために様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けており、そうした働きかけを一層強めていく考えでありますが、北朝鮮への働きかけに関する具体的な内容などは、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えさせていただきます。

○舩後靖彦君

質疑のたびに申し上げておりますが、拉致被害者家族の高齢化が進む中、拉致問題の解決は一刻の猶予も許されません。政府はあらゆるチャンネルを使って問題解決に全力を尽くしていただくようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。