呼吸器をつけた児童の転校について
舩後が取り組んできた「川崎就学裁判」(参照=2020年3月18日・文教科学委員会質問)をめぐり、ご家族からご報告をいただきました。
当事者である小学3年生の男子児童と家族は、川崎市を離れ、東京都世田谷区に転入されたそうです。提訴されて以降、問題を注視していた舩後が、コメントを公表いたします。
切なく、悔しく、そして嬉しいお知らせです。
3月19日にコメントを載せましたが、特別支援学校への就学措置の取り消しと地域の小学校入学を求めて訴えていた、川崎市の光菅和希君とご両親は、3月18日の横浜地裁での敗訴後、即座に控訴の方針を発表しました。そして裁判を続ける一方で、和希君は4月に東京都世田谷区立の小学校の通常学級に転校しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、実際に登校できたのは分散登校開始の6月5日からだったそうです。7月上旬時点で、ほかの子と同じで教室で、週4日授業を受けています。和希君は飲み込む力が弱いので、食事は胃ろうへの流動食注入をしていますが、ほかの子と同じ給食を味見だけはしています。同級生との学校生活も楽しんでいるそうです。
「裁判で2年間を費やしたが、このままでは小学校に通える見通しが立たない。貴重な小学生としての時間はあっという間に過ぎてしまう」。そう考えたご両親は、今までの生活の基盤を捨てる苦渋の決断をして、父親の実家のある世田谷に転居することにしました。
川一つ隔てた世田谷区では、転入届を出したその日に、校区の小学校の就学通知を手にすることができ、「3年1組」の一人として、受け入れられました。なぜ同じ公立学校で、このような受け入れの差があるのか。地域ごとに様々な事情があるにしても、地域格差を埋めるのが国の役割ではないのか。
障害児、特に医療的ケアの必要なお子さんに対する普通学校での受け入れ格差の是正のために、今後も文教科学委員会で取り組んでまいることをお約束します。