2024年4月25日 参議院国土交通委員会質疑(物流関連法案、トラック運転手の命と暮らしを守るために)
○舩後靖彦君
れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本日は、物流関連2法案に関する質疑となります。大臣、よろしくお願いいたします。
実は私は、病気になる前の大学生の頃、大型と牽引、つまり大型トレーラーの免許を取得し、港で木材を運ぶアルバイトの運転手として働いていたことがありました。アメリカ大陸を横断する長距離トレーラー運転手になるのが夢でした。結果的にその仕事の道は選びませんでしたが、運転手として働いている方々への憧れと敬意は今も変わりません。
今、運転手の方々が厳しい労働環境に置かれていることに強い危機感を抱いています。今回の法案は今の環境を改善する道筋になるのかどうか、質問していきます。よろしくお願いいたします。
まず、今回の法案を考える前提として、大臣にお尋ねします。
今、トラック運送業は厳しい環境にあることは言うまでもないと思います。トラックの貨物運送量はトンベースで国内の貨物輸送量の9割以上、その輸送を支えるトラック事業者の99%以上は中小企業、保有台数10台以下の小規模事業者が半数以上を占めています。ドライバーの状況は本当に深刻です。全産業と比較して、年間労働時間は約2割長く、年間所得額は1割低い状況にあります。
このような現状にどうしてなったのか。過当競争が激化し、運賃ダンピングが起こり、そのしわ寄せとして運転手の労働環境の劣化につながったのはどうしてなのでしょうか。それは、そもそも政府が進めてきた規制緩和が原因ではないのでしょうか。大手がコストと責任を負わず、零細事業所が朝から晩まで働かなければならない状況をつくり出してきたのは、政府の責任ではないでしょうか。まずは反省に立つべきではないのでしょうか。この点について、大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
まず、この1990年、平成2年に行われた規制緩和についての評価の御質問がございました。
この規制緩和によりまして事業者数が増加したことなどにより、競争が激しくなり、事業運営が厳しくなった事業者がある、これは事実でございます。しかし一方で、大きく変化する社会の中で、新規参入が容易になるとともに、営業の自由度も高まり、その変化する市場に機敏に対応するような業界になっていった、これも事実でございます。現在も、Eコマースの拡大、働き方改革の推進など、物流をめぐる状況は目まぐるしく変化しており、引き続き、事業者の営業の自由度を確保していき、対応していく必要がございます。
他方、御質問にありましたように、荷主に対する交渉力が弱いことや多重下請構造等により、実運送を行う中小トラック事業者が適正運賃を必ずしも収受できず、トラックドライバーの長時間労働、低賃金という実態が生じている、これも事実でございます。今回の法案は、まさにこのトラックドライバーが適正な労働時間で適正な賃金を収受する、こういう環境をつくり出すための法案、このように御理解いただければと思います。
○舩後靖彦君
今回の法案は今までの規制緩和から規制強化の方向に向かう内容だとは理解しています。その意味では前進と評価できる面がある一方、不十分な点もあると感じております。
以下具体的に質問していきます。
まず、多重下請問題について取り上げます。
今回の法案では、元請トラック事業者に対する規制的措置として、下請事業者に運送を依頼した場合、実運送体制管理簿の作成を義務付けています。多重下請構造を改善する手段として実運送体制管理簿の作成がどの程度効果的に機能すると考えているのでしょうか、大臣の見解をお示しください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
元請事業者が作成を義務付けられる実運送体制管理簿には、荷主ごとに整理して実運送事業者の名称及び下請次数、それから貨物の内容及び運送区間などを記載することとしております。また、今般の標準的運賃の見直しにおいて新たに下請手数料を設定をいたしました。
これらによりまして、元請事業者は実運送事業者が収受すべき運賃の総額に下請手数料を上乗せした金額を荷主に求めることが可能となり、荷主は運送コストを適正化すべく過度な下請構造の回避を運送事業者に求めることが可能となります。これによって多重下請構造の是正が図られると考えております。
これらの効果あらしめるように我々も頑張っていきたいと思いますが、トラックGメン等もこの実運送体制管理簿等を確認できるようになることで、元請事業者等への監視を強化し、実効性を高めていきたいと考えています。
○舩後靖彦君
この管理簿について続けて質問します。
国土交通省の資料にある実運送体制管理簿のイメージを見たところ、貨物の内容や実運送会社名、請負階層などの記載は義務付けられていますが、運賃や下請手数料の記載が義務付けられていません。この管理簿を多重下請構造是正という目的で導入するのならば、運賃や下請手数料の記載も義務付けるべきではないでしょうか。運賃や下請手数料をブラックボックス化せずに明らかにしていくことこそ是正につながるのではないでしょうか。それによって、ダンピングや中抜きをさせない、できない仕組みを構築するべきではないでしょうか。
会社名や請負階層を出すだけでは不十分だと感じます。この件について大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
実運送体制管理簿に運賃や下請手数料を記載する場合、その金額を把握した荷主などが元請事業者等への発注額を引き下げたり、実運送事業者に安値で直接発注したりすることなどによりまして全体の運賃水準の低下につながる懸念もあり、慎重な検討が必要であると考えております。
一方、実運送体制管理簿には運賃等が明示されていなくても、この法案におきましては、契約の書面化を義務付け、契約条件の明確化を進めることによりまして、国土交通省としては運賃等を把握できるようになります。
このため、ダンピングや不合理な中抜きを行う悪質なトラック事業者に対して監査の重点化やトラックGメンによる是正指導を行うことで取引環境の適正化を推進してまいりたいと、このように考えております。
○舩後靖彦君
多重下請の問題について質問を続けます。
多重下請構造の改善のため、より具体的に多重下請を禁止する法規制をすべきではないでしょうか。
衆議院の委員会質疑でも、同僚のたがや議員がこの点について質問いたしました。大臣は答弁の中で、多重下請是正のためとして、管理簿作成義務付けなどにより、荷主にとって、元請にとって利益がある体制につなげると答弁。下請の具体的な法規制については慎重な姿勢を示しておられました。しかし、管理簿作成では、抜本的な構造転換にはつながらないように感じます。23日の参考人質疑でも、多重下請について一定の規制が必要との指摘もありました。
法規制が最も合理的ではないのでしょうか。この点について、見解をお聞かせください。
○政府参考人(鶴田浩久君)
この法案におきましては、御指摘のありましたような、その一定の下請の禁止措置を盛り込んではございませんが、元請事業者等に対しまして、実運送体制管理簿の作成義務ですとか、下請行為の適正化の努力義務、さらには義務を課すこととしております。
この考え方としましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、我が国における現在の物流の実態を踏まえて、現実に即した形で漸進的に多重下請構造を是正を図っていくという考え方でございます。
加えまして、この法案によりまして、契約内容が可視化、見える化、明確化すると、これをトラックGメンが確認をして、悪質な荷主等に対しては是正指導を徹底すると、こういったことを含めまして、適正な取引環境の実現に向けて取り組んでいくこととしております。
まずは、これらの施策の効果を見極めることとして、その上で実効性確保という観点で、どういう方策があるかということも検討しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○舩後靖彦君
解消に向けた取組を進めていただくよう改めてお願いいたします。
多重下請について質問を続けます。
多重下請の問題で再三指摘がされている実運送を行わず取次ぎのみを行う事業者、いわゆる専業水屋やマッチングサイトについてお尋ねします。
多重下請構造の中で、こうした専業水屋の存在によっていわゆるピンはねがされ、運転手の手取りが減っているのではないかという指摘もあります。水屋やマッチングサイトを挟む構図自体が、多重下請、トラック運転手の賃金低下を招いている可能性があります。そのためにも実態調査を行い、規制を検討するべきではないですか。23日の参考人質疑でも、実態の把握は是非してほしいなどと実態調査の必要性について言及がありました。
マッチングサイトや専業水屋が利益を得る構造、そうした仕組みを使わざるを得ない現状についても把握するため、実態をつかみ、その上で規制を検討するべきです。この件について大臣の見解をお示しください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
いわゆる水屋と呼ばれる事業者には様々な形態がありますが、これが荷主又はトラック事業者と運送契約を締結する利用運送事業者に該当する場合は、下請行為の適正化に係る努力義務等が課される対象となるほか、トラックGメンによる是正指導の対象となります。
次に、水屋がマッチングサイトの運営事業者等のいわゆる取次事業者に該当する場合についても、取り次がれた契約の発注者側が同様の規制的措置の対象となります。
いずれの場合も、個別のケースではサプライチェーンの効率化に資する場合もあると考えられますが、不合理な中抜きについては、この法案に基づく運送体制の可視化や契約内容の明確化を前提として、荷主と元請事業者との運賃交渉やトラックGメンによる指導等を通じて是正してまいりたいと思います。
このように、あらゆる施策を組み合わせまして取引環境の適正化を推進するとともに、実態を把握し、必要な対策を不断に検討してまいります。御意見にありましたように、まず実態を把握したいと、このように思っております。
○委員長(青木愛君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(青木愛君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
これまでの委員会の議論を踏まえますと、業界の課題は多重下請にあると考えます。
そこで提案です。国がリードして取次システムをつくられてはいかがでしょうか。大臣、どう思われますか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
御質問ありがとうございます。
今、現状でも、マッチングアプリにつきまして、取次マッチングアプリにつきましていろいろな提案がございます。そういう中で、いいものをしっかり支援をする、そういう形で取次ぎということをしていきたいと、このように思っております。
○舩後靖彦君
次の質問に移ります。
ドライバーの労働環境改善に向けた取組についてお尋ねします。
まず、最低運賃の導入について質問いたします。
運転手の過重労働、長時間労働、人手不足を解消するためには、一刻も早い待遇改善が不可欠です。そのためにも、最低運賃を導入する必要があるのではないかと考えています。
現在、標準的な運賃が導入されていますが、この標準的な運賃では賃金に反映されていない、荷主の方が圧倒的に力関係が強い中で交渉できないという現場からの意見もあります。標準的な運賃についての実態調査を見ても、運賃交渉を実施したうち、希望額を収受できた、一部できたが六割強となっています。この結果を見ると、標準的な運賃に効果がないとまでは申しませんが、まだまだ十分とは言えないということは認識されているかと存じます。そのためにも、より強制力のある最低運賃導入に踏み出すべきではないでしょうか。
大臣は、衆議院質疑で最低運賃について問われた際、運賃が下限に張り付くおそれがあると答弁しています。しかし、その論拠はあるのでしょうか。そもそも標準的運賃すら十分に反映されていない実態があるのですから、より強制力のある仕組みをつくるべきではないでしょうか。この点について、大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
最低運賃の設定につきまして、様々な御意見があり、トラック事業者からも、荷主に対する交渉力が弱い現状を踏まえれば、荷主から最低運賃での運送を強要されるおそれ、まあこれは先ほど私が衆議院で答弁した張り付くということにつながるものですけれども、こういう声、それから、高い水準の運賃を収受できている事業者にまで悪影響が及び、運賃が下方修正をされるおそれがあるといった懸念の声が上がっております。私が衆議院で答弁した論拠は、まさにこういうトラック事業者の声が論拠でございます。
標準的運賃についての御意見も伺ったところでございますが、確かにこれがまだ大いに力を発揮しているという状況にはございませんけれども、しかし、制度開始以来、活用率、それから、制度の活用率、それから実際に収受できた運賃の水準が年々向上してきております。今回の法律も踏まえまして、こういう今回新たに設けるいろいろな制度、手段も用いて、実際の運賃が上がるように頑張っていきたいと、このように思います。
○舩後靖彦君
私たちれいわ新選組は、運転手の暮らしのため、最低運賃の導入が必要だと訴えます。
続いて、ドライバーの運転環境について質問いたします。
運転手の深刻な労働環境が改善されていません。御存じのとおり、トラック運転手の過労死は高止まりしています。2022年度の過労死などの労災補償状況で、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患による過労死などは、道路貨物運送業が最も多い請求件数133件、支給決定件数50件。2009年以降、道路貨物運送業における脳・心臓疾患の支給決定件数は14年連続最多を記録しています。この状況を放置している国の責任があるのではないでしょうか。トラック運転手をここまで追い込んでいる責任があると思います。
全日本建設交運一般労働組合全国トラック部会が2023年9月から今年3月末にまとめたトラック職場の要求アンケートによると、仕事中に事故を起こしそうになったことがあるとの回答が、よくある、時々あるを合わせて5割以上に上りました。この結果は、個人の運転手の規範意識や技術だけに着目すべきではありません。背景には、過酷な労働環境があるからです。その一つとして、同じアンケートでの睡眠時間を見ますと、5時間未満は20%もいます。当然、前日の疲れは残るでしょう。前日の疲れについて尋ねると、よくあるは24.5%、時々あるも64%に上りました。
トラックドライバーの職場環境は限界状態にあることを政府は改めて認識すべきです。深刻な労働環境を改善するためにどのような方策を取るのか、大臣の見解をお示しください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
トラック運転者は、他の産業に比べ労働時間が長く労災認定の件数が多いことから、今月から適用された改善基準告示の適正な運用を前提といたしまして、トラック運送業を適正な労働時間と適正な賃金が両立する魅力ある職場としていく必要がございます。
国土交通省としましては、トラック事業者への監査時にその遵守状況を確認し、違反している場合には厳正に処分を行ってきたところでございます。新たな改善基準告示につきましても確実に遵守されるよう、厚生労働省とも連携し、事業者を指導してまいりたいと思います。
国土交通省としては、トラック運転者の健康と安全を確保しつつ、物流を持続的に成長させるべく、荷主などの協力も得ながら、荷待ち、荷役時間の削減や、輸送の効率性、生産性の向上による労働時間の削減に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○舩後靖彦君
労働環境改善は一刻の猶予も許されない問題です。命の問題です。以下、具体的な改善策について提案しながら質問したいと思います。
先日の参考人質疑でも取り上げましたが、国土交通省、貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転手の勤務時間及び乗務時間に係る基準についてお尋ねいたします。
この基準には、拘束時間や休息時間、運転時間、休日労働などについての記載がございます。今回特に指摘したいのは、「一の運行における最初の勤務を開始してから最後の勤務を終了するまでの時間は144時間を超えてはならない」についてです。
労働組合の方にお尋ねしたところ、この項目によって、6日間、144時間出っ放しの運行が許容されてしまっているということです。大手の企業は、各地の営業所に寝泊まりできる場所があるなど、休息の確保がしやすいかもしれません。しかし、大半の零細企業は、トラックの車内で寝るしか手段がないのです。一運行当たり144時間、この基準、余りに長過ぎるのではないでしょうか。
参考人質疑でも、長時間労働の温床になっているため、より短くするべきだとの意見もありました。この点について見解をお示しください。
○政府参考人(鶴田浩久君)
一運行当たりの時間を144時間、6日以内にするという制限につきましては、平成15年に貨物自動車運送事業法が改正された際に営業区域が廃止されたことに伴って導入されたものでございます。考え方は、長期間にわたって所属営業所に戻らないで運行を行うことによって疲労が蓄積する、これを防止することが目的でございます。
一運行当たりの時間につきましては、これを短縮することで、例えば本来長期間を要する運行を短期間で行わせるなど、かえって無理な運行を強いられるという懸念もございます。物流の持続的な成長に向けた各種の取組を進める中で、まずはこの現行の規制の遵守を徹底すると。徹底しつつ、引き続き、現場の実態を踏まえまして、慎重にその在り方を検討していく必要があるというふうに考えてございます。
○舩後靖彦君
今の仕組み自体が無理な運行の温床になっていることは、改めて申し上げたいと思います。
続いて、厚生労働省のいわゆる改善基準告示についてお尋ねします。
厚生労働省、自動車運転者の労働時間などの改善のための基準、いわゆる改善基準告示、この第4条第2項について質問します。
同項目では、「使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の休息期間については、当該自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする。」とあります。この努力義務を義務とすべきではないでしょうか。
これまでも述べてきたとおり、運転業務はただでさえ過酷な労働です。運転手の皆さんが健康で安全に安心して物を運ぶためには十分な休息が不可欠です。にもかかわらず、今の告示では、住所地以外での休息時間が長くなったとしても、努力義務だから守らなくて済むようになってしまっているのです。これは余りに体への負担が大き過ぎないでしょうか。
幾らトラックが普通の車よりも大きいからといって、人が体を休める環境でないことは明らかです。休息の場所は運転者の住所地、つまり家、当然家に帰って体を休めることができるような労働環境にすべきです。それができないのであれば、運行の在り方などを政府主導で業界全体で見直すべきではないでしょうか。
先ほど紹介した建交労トラック部会のアンケートで、1回の運行が2日以上で1日の走行距離平均200キロ以上になる方に睡眠、休息場所を尋ねたところ、主に車両内ベッドとの回答が約八割に上りました。この規定を撤廃して、改善基準告示に基づく労働環境を徹底、少なくとも努力義務を義務にして、この項目についての拘束力を強めるべきではないですか。
この点について、厚生労働省の見解をお示しください。
○政府参考人(梶原輝昭君)
改善基準告示については、過労死防止等の観点から、トラック運転者の休息期間を改正前の継続8時間以上から、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないようにという形で延長する改正を行っており、本年4月から適用されております。その上で、トラック運転者の疲労の蓄積を防ぐ観点から、運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるよう努めることというふうに改正もしております。
トラック運送の多様な勤務の実態を踏まえますと、この取扱いを一律に義務化することは困難であると考えております。労働基準監督署の監督指導等において、休息期間の状況を確認した上で、この努力義務の規定に関しても、問題が認められた場合には改善を指導をしておるところでございます。
トラック運転者の休息期間が適切に確保されるよう、告示の内容の周知や指導を引き続きしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○舩後靖彦君
代読いたします。
あわせて、国交大臣の御意見もお聞かせください。
○国務大臣(斉藤鉄夫君)
今のこの御議論聞きながら、数年前に国会でこの改善基準告示の議論をやったときに大変な議論があったと、この点につきましても努力義務若しくは義務ということで議論があり、結果的に努力義務になったというのを思い出しました。
国土交通省としましては、トラック事業者の監査を行った際などに、ドライバーが過労運転にならないよう、厚生労働省が定める改善基準告示にのっとり休息期間を適切に確保することを指導しております。その上で、更なる労働環境改善や生産性向上に向けて、長距離での輸送需要に対して、ドライバーの日帰りも可能となる中継輸送の促進など、実態に応じて様々な手法を支援しています。
先ほど答弁いたしましたように、私の地元の広島でもこの中継輸送の施設が造られまして、そこで、荷物はそのまま行く、ドライバーは家に帰るというような試みが、そういうふうな運用がされているようでございまして、こういうものを全国につくっていかなきゃいけないなと思っております。
引き続き、厚生労働省とも連携し、適正な労働環境の確保に取り組んでまいりたいと思います。
○舩後靖彦君
是非改善の検討をしていただくようお願いいたします。
労働環境の問題についての質問を続けます。
夜間労働としての対策について質問いたします。
ILO基準における夜間労働規制、夜間労働の条件をいま一度確立すべきではないかと考えております。その一つとして、労働組合などはILO基準における夜間労働規制を求めています。いわゆる夜業条約と言われるILO171号条約を批准し、夜間労働条件を整備するべきではないかというものです。
先ほども触れた厚生労働省の改善基準告示を見ますと、昼間と夜間の労働の区別がなされていません。夜間の労働はより心身に負担が生じるリスクがあること、トラック運転手は夜間労働をする機会が一般的に少なくないことを踏まえ、少なくとも改善基準告示において夜間労働に関するルールを設けるべきではないかと考えますが、厚労省の見解をお示しください。
○政府参考人(梶原輝昭君)
まず、ILO第171条約を批准すべきではないかとの御指摘をいただきました。これについては、国内法制との整合性を慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
深夜業につきましては、労働基準法において、午後十時から午前五時までの間に労働させた場合には、25%以上の割増し賃金の支払を使用者に義務付けており、違反した場合には罰則の適用がございます。この制度により、深夜業の抑制が図られているところでございます。
その上で、トラック運転者については、手待ち時間が長く、長時間労働になりやすいなどの業務の特性を踏まえまして、これら労働基準法による規制に加えて、この改善基準告示をもちまして、拘束時間、休息期間、運転時間等のきめ細かなルールを定め、長時間労働の抑制を図っているところでございます。
改善基準告示に深夜業についての特別な定めが置かれていないこと、御指摘のとおりでございますが、この今回の告示の改正では、拘束時間を短縮し、休息期間を延長するなど、全体として大きな改善が進められたところであります。
まずは、この改正後の告示を遵守いただくことが重要であると考えており、厚生労働省としましては、労働基準法の上限規制及び改正後の告示の内容の周知や指導を通じ、自動車運転者の労働環境の改善にしっかりと努めてまいりたいと考えております。
○舩後靖彦君
代読いたします。
冒頭申しましたとおり、大型車両の運転手を目指していた一人として、現在のトラック運転手の方々の労働環境に強い危機感を抱き、質疑に臨みました。
物流を担ってくださっている方々が健康に安心して働ける環境を整備することは喫緊の課題です。そのためにも、れいわ新選組は、最低運賃を含めた賃上げや労働環境の改善を行うとともに、多重下請構造の改善は必須と考えております。
本日、質疑で述べた国交省基準、改善基準告示の改定についても、トラック運転手の立場から改善を図っていただきたい、このことを改めて申し上げ、質問を終わります。