2023年2月22日 参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会(原子力発電、再生可能エネルギーについて)

○舩後靖彦君

れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

まずは、原子力規制委員会の活動状況について質問いたします。

質疑の前に、改めて一言申し上げます。

私は、難病、筋萎縮性側索硬化症、ALSの進行により、肺による呼吸ができず、喉に人工呼吸器のチューブを差し込み呼吸をしています。ゆえに、声を出すことができません。したがいまして、パソコンを用いて、電子音声の読み上げによって質問を行います。聞き苦しい点もあるとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

れいわ新選組は、2021年の衆議院議員選挙において、原発は即時禁止、政府が買い上げて廃炉を進めていくとマニフェストで示して選挙戦を戦いました。それゆえ、現在の原子力規制委員会の方向性には違和感を覚えております。

最初に、原子力発電所の再稼働についてお尋ねいたします。

本年2月10日、政府は、GX実現に向けた基本方針、今後10年を見据えたロードマップを閣議決定しました。

まずは、GXとは何か、経済産業省、国民の皆様に分かりやすく説明をお願いいたします。

○政府参考人(南亮君)

お答え申し上げます。

GX、グリーントランスフォーメーションですが、現時点ではまだ国際的に統一された定義は存在していないと考えております。

他方、我が国では、2030年の温室効果ガス四六%削減、2050年のカーボンニュートラルという野心的な目標に向け、産業革命以来の化石燃料中心社会から脱却し、クリーンエネルギー中心の社会、経済、産業構造へ転換することをGXと、そのように捉えているところでございます。

GXの推進を通じまして、エネルギー安定供給、脱炭素、経済成長、この三つを同時に実現するべく、しっかり取組を進めてまいりたいと、そのように思っております。

○舩後靖彦君

ありがとうございました。

GXとはクリーンエネルギー中心にと転換する方針だというのが私の理解であります。GX実現に向けた基本方針、私も拝読させていただきました。基本的な考え方として、G7を始めとする欧米各国は、様々なエネルギー小売価格の高騰対策を講ずるとともに、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を行いつつ、原子力発電所の新規建設方針を表明するなど、エネルギー安定供給確保に向けた動きを強めていると記載されています。

クリーンエネルギーに転換するGXが原子力発電所の新規建設を表明するとはそもそも矛盾を感じますが、経済産業省、欧米各国の原発新規建設方針について所見をお伺いいたします。

○政府参考人(松山泰浩君)

お答え申し上げます。

先ほど御答弁申し上げたGXでございますが、2月10日の閣議決定の基本方針の中におきまして、原子力について再稼働、次世代革新炉への建て替え、そしてその他の建設についての検討といったことを決め、これに対する法案等の準備をしているところでございます。

GXについては世界的に様々な議論が進んでいるところでございます。お尋ねの海外の状況でございますが、例えばアメリカでは現在92基の原発が運転中、2基が建設中であります。さらに、革新炉の実証炉2基の建設に向けた研究開発の支援も行われていると承知しています。また、フランスにおきましては現在56基が運転中であり、2050年に向けて大型革新軽水炉14基の建設、検討が行われているところでありまして、世界では、グリーントランスフォーメーションと、これ国際的な用語であるわけではないのですが、脱炭素的な社会に向けて原子力の活用についての取組が積極的に進められているものと承知しております。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

基本的な考え方の中に国内についての記述もあります。足下の危機を乗り切るためにも再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するというものです。

経済産業省、我が国のGX基本方針の中にも原発の再稼働及び新規建設も含まれているという認識でよろしいでしょうか。

○政府参考人(松山泰浩君)

お答え申し上げます。

2月10日の閣議決定行いましたGXの基本方針の中で原子力について記述しておりますけれども、この中では再稼働について安全性の確保を大前提に再稼働に全力を挙げるということにした上で、廃炉が決定した炉については次世代革新炉への建て替えを具体化する、その他の開発、建設については今後の状況を踏まえて検討していくといったことを規定しているところでございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

通告しておりませんが、委員長に基本的な考え方をお尋ねします。

GX実現に向けた基本方針の中にも、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓をひとときたりとも忘れることはないと強調されています。そのとおりです。

であるならば、原子力発電は即時禁止、全ての原子力発電所は廃炉にというれいわ新選組の主張の方が正しいと思いますが、山中委員長、いかがでしょうか。

○政府特別補佐人(山中伸介君)

お答えいたします。

御質問の原子力利用に関する事案につきましては、原子力規制委員会が何か意見を申す立場ではございません。お答えを差し控えさせていただきます。

○会長(宮沢洋一君)

速記を止めてください。

〔速記中止〕

○会長(宮沢洋一君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

これではGXではなくGS、つまり原発推進ではないですか。経産省、コメントをお願いいたします。

○政府参考人(南亮君)

エネルギー政策、GXについてですが、まさに今、気候変動問題は人類共通の課題、そういった中で、昨年二月以降、ロシアによるウクライナ侵略ございまして、非常にエネルギー政策、難しい状況になっております。まさにエネルギー分野でもインフレーションも出ておりますし、エネルギー安定供給についても大きな課題があると、このような認識に至っております。

そうした中で、周囲を海に囲まれまして、すぐに利用できる資源が乏しい我が国では、足下の厳しいエネルギー供給状況を踏まえますと、やはり省エネルギーを徹底的にやると、さらに、再生可能エネルギーの導入を最優先すると、加えて、原子力を含めたあらゆるエネルギー源を活用する必要があると、そのように認識しているところでございます。

○会長(宮沢洋一君)

速記を止めてください。

 〔速記中止〕

○会長(宮沢洋一君)

速記を起こしてください。

○舩後靖彦君

代読いたします。

それでは原発推進を推し進めている感じではないですか。

次の質問に移ります。

廃炉をしていく過程で、放射性廃棄物の廃棄については国民の安全に関わる大変重要な問題だと考えます。廃炉を進めていく上で放射性廃棄物の処理をいかに安全に進めていくのか、原子力規制委員会の指針をお教えください。

○政府特別補佐人(山中伸介君)

お答えいたします。

廃炉に際して生じる放射性廃棄物の処分につきましては、放射性物質の種類ごとに、原子炉等規制法施行令で定める基準を超える廃棄物を第一種廃棄物、同基準以下の廃棄物を第二種廃棄物として区分し、廃棄物の区分に応じて埋設により最終的な処分を行うこととしております。

一方、放射能濃度が放射線による障害の防止のための措置を必要としないものとして原子力規制委員会によるクリアランスの確認を受けたものは、再利用や一般の廃棄物としての処分が可能です。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

放射性廃棄物を処理していくプロセスで、放射性廃棄物が放射性廃棄物でない廃棄物になる地点が来ると思いますが、それはどのような基準で決まっていくものなのでしょうか。原子力規制委員会、一般の方にも分かりやすく御説明をお願いいたします。

○政府特別補佐人(山中伸介君)

廃棄物の放射能のレベルによってそのクリアランスのレベルが決定されることと考えております。

○政府参考人(大島俊之君)

お答え申し上げます。

放射性物質につきましては、時間の経過とともに放射能濃度が下がってくるのは事実でございます。しかしながら、一定基準を超えるものにつきましては、低レベル放射性廃棄物といたしまして基本的に埋設をいたします。その埋設に当たって、濃度の低いものについては比較的浅い場所で、放射能濃度のレベルに応じた防護措置を講ずること、一方で、少し高いものにつきましてはより深い場所で埋設をするという形で、その放射能濃度の状況に応じまして、埋設の方法が原子炉等規制法によって求められているというところでございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

放射性廃棄物でなくなった廃棄物が一般の産業廃棄物として扱われ、リサイクルされて社会生活に紛れ込む可能性は否定できないと思います。その廃棄物に放射性物質が残っていたら、国民が被曝してしまいます。そこの安全性はどう確保していくのか、原子力規制委員会の見解をお示しください。

○政府参考人(大島俊之君)

お答え申し上げます。

いわゆる放射性物質に汚染されていないものをクリアランスと申してございます。このクリアランスにつきましては、事業者からその確認の方法についての申請を受けた上で、その確認方法が基準に合致をしているかどうかというものをまず認可をいたします。その認可をした上で、事業者がクリアランスできるものかどうかというものを確認をしますけれども、その確認結果につきましても、原子力規制委員会の方で確認をした上で認めるという手続を取ってございますので、原則的に放射能に汚染されているものが施設外に出るということはないというふうに考えてございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

次に、電力逼迫への対応についてお伺いいたします。

昨年、電力逼迫注意報が発令されましたが、この注意報が発令される基準はどのようなものなのでしょうか。経産省、お答えください。

○政府参考人(松山泰浩君)

お答え申し上げます。

昨年の3月、6月と電力の需給逼迫が生じ、その地域の方々には大変御心配をお掛けしたところでございます。

こういった需給が逼迫する際に、事前にどういうことが起こり得るというリスクについてお知らせする必要性から、今御質問いただきました電力需給逼迫注意報という注意報を設定しておりまして、これは、逼迫の可能性について、前日の16時、夕方の四時の時点をめどといたしまして、翌日の広域予備率が5%を下回る見込みとなった場合に発令するというようなルールで運用してございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

有識者によると、注意報が発令されても現実の逼迫は数時間程度で、全国的に見れば逼迫ではなく余裕がある状態であったとのことです。この逼迫は、原発再稼働ではなく、管内同士の電力融通をよりスムーズにするための送電網の整備及び逼迫時間帯の節電システム構築で対応が可能だと指摘されています。

この有識者の意見について、経産省の見解をお示しください。

○政府参考人(松山泰浩君)

お答え申し上げます。

御指摘のところは非常によく理解できるところでございます。すなわち、電気というのは発電と消費というものをぴったり合わさないと大停電が生じるものでございます。特に、太陽光のように出力が天候によって変動する、こういうリスクが生じる場合に、もし太陽光が出なかったら、風が吹かなかったらというときのリスク分をどう織り込み、準備をしていくかということが非常に大きな課題となってきているのが現実でございます。

その中で、今御質問の中で御提案ございましたような送電線の充実ということも非常に重要なことだと思います。現在取組進めておりますが、送電線を造るのには一定の長時間とコストが掛かってまいります。運用によって対応しておりますが、なかなか簡単にいかないところがございます。しっかり取り組んでいきたい。

一方で、節電。需要側でうまくマネジメントをして、逼迫しそうなときにこれを抑えていくということの御協力を賜るということも重要な点でございます。これは、昨年から節電プログラムというものを応援する事業を始めているところでございますが、これを通じて需要家の方々にメッセージを送って、その時点では危ないというときには下げていただく、それに対してメリットが付くというようなことは非常に重要な取組だと思っておりまして、御指摘のような形の取組を現在進めているところでございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

再び、GX実現に向けた基本方針について質問を戻します。

今回のウクライナ侵攻を受け、欧州各国は2030年までの再エネ比率の目標を上方修正しています。多くの国で50%以上は目標にしています。これに対し、我が国は38%と、欧米各国に比べて低い目標設定となっています。

再エネ比率を諸外国並みに、少なくとも50%以上に目標値を定めるべきであると考えますが、経済産業省のお考えをお聞かせください。

○会長(宮沢洋一君)

申合せの時間が来ておりますので、ごく簡潔にお答えください。

○政府参考人(井上博雄君)

はい。

お答え申し上げます。

再生可能エネルギーにつきましては、大震災前の約10%から直近では約20%まで拡大しております。その上で、2030年度には、御指摘のとおり、現行から更に二倍という目標を掲げております。

現時点で、太陽光につきましては、既に面積当たり主要国最大級の導入量となっておりますし、平地面積で見るとドイツの二倍以上となっておりまして、これを太陽光だけでも2030年度には更に2倍程度とする高い目標となっております。

この実現、非常に容易ではございませんけれども、先ほど御答弁ありましたとおり、再生可能エネルギーが抱える様々な課題にもしっかりと対応すべく、送電網の整備であるとか蓄電池の導入加速、あるいは地域と共生した再生可能エネルギーの導入を実現するための事業規律の強化など、しっかりと関係省庁一丸となって取組を強力に推進していきたいと、かように考えてございます。

○舩後靖彦君

ありがとうございます。

改めて原発即時禁止を訴え、私の質問を終わります。ありがとうございました。