2023年3月17日 参議院文教科学委員会質疑(2023年度文科省予算/医療的ケア児支援、学校バリアフリー)
○舩後靖彦君
れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本日は、令和5年度の文部科学省予算案について質問いたします。よろしくお願いします。
令和5年度の文科省関連予算案の中で、医療的ケア看護職員の配置のために、前年度比740人増の3740人分、33億1800万円が盛り込まれました。前年度比127%で、厳しい予算案編成の中で文科省として頑張っていただいたと感謝申し上げます。
しかし、医療的ケアが必要な子が安心して学校生活を送るためには、看護師等医療的ケアのできる人材の確保はまだまだ十分とは言えません。
資料1を御覧ください。
特別支援学校では医療的ケア児1人に対して0.85人、通常の小中高校では1.13人です。特別支援学校では医療的ケア児が普通にいますので、医療的ケア児5人に対して医療的ケア従事者4人いれば回していけるとは存じます。しかし、通常学校の場合、医療的ケア児が通う学校はばらばらですので、医療的ケア児1人に対して従事者1人の体制では、従事者が休憩を取ったり欠勤する際、親が付き添わざるを得ません。1校に最低2名は必要と考えると、実際に医療的ケアの体制が取れているのは2校に1校以下となります。
その結果、資料2のように、特別支援学校では、親の付添いなしが48%、学校での付添いありが約6%なのに対して、通常学校では、親の付添いなしは34%、学校での付添いありが約30%です。
特別支援学校では学校での親の付添いがほとんどなくなっており、また、付き添う理由も保護者又は教育委員会、学校が望むからとなっているのに対して、通常学校では親の付添いはいまだに3割あり、その理由も医療的ケアの従事者がいないために付き添わざるを得ないという実態が分かります。
大臣、この結果についてどう思われますか。
○国務大臣(永岡桂子君)
学校におけます医療的ケア児については、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律に規定するとおり、小中学校を含めて、保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアを受けられるようにすることが重要であると考えております。
そのため、文部科学省では、保護者の付添いについて真に必要と考えられる場合に限るよう努めるべきであること、また、やむを得ず協力を求める場合には代替案などを十分に検討した上で保護者に丁寧に説明することを周知するとともに、教育委員会の担当者が集まる会議におきましてその趣旨を説明してきたところでございます。
また、全国的に看護師が不足している状況がございますが、文部科学省でも、本年度、登下校時のこれ送迎車両への同乗も含めまして、医療的ケア看護職員の配置に係る経費を大幅に増額をするとともに、令和5年度予算案におきましても同様に拡充するなど、必要な財源の確保に努めております。
保護者等の付添いの必要性は各自治体等が実情を踏まえまして判断するものでありますが、今後とも医療的ケアを必要とする児童生徒等に対する支援、それの充実に努めてまいります。
○舩後靖彦君
その一方で、特別支援学校、通常学校共に通学時の親の付添いは5割を超えており、通学時の付添いが共通した課題になっていることが分かります。
資料3を御覧ください。
特別支援学校は、自家用車の送迎が61.2%、スクールバスが24.4%で、計85.6%です。通常学校では通学圏が狭いため、徒歩、公共交通機関がほぼ48.5%、自家用車の送迎が42.3%で、計9割以上です。この調査からは、特別支援学校に通う医療的ケア児の親は、スクールバスが使えない場合、自家用車で送迎、通常学校に通う子の場合は、自家用車で送迎か、徒歩又は公共交通機関での通学での付添いを強いられていることが分かります。
今回増員された医療的ケア看護職員の配置には、校内だけでなく校外学習や登下校の送迎車両への同乗を含むとあります。そのため、特別支援学校ではスクールバスに看護師が同乗することで医療的ケア児のスクールバス利用が拡大し、自家用車での送迎が減少される可能性はあります。しかし、通常学校ではスクールバスの利用は望めません。
通学時の親の付添いを解消するために、障害者総合支援法の地域生活支援事業である移動支援を利用している自治体もあります。しかし、国の義務的経費ではなく補助事業のため、自治体の超過負担が起きやすいという難点があります。そのため、通学支援を実施している多くの自治体が通学対象を特別支援学校、学級に限定し、通常学級に通う障害児が使えないという問題があります。
子供にとって家庭以外に最も基本的な居場所である学校への通学を保障するために、通学する場所に応じてではなく、通学する子供の必要に応じて移動支援を使えるよう、国の補助の予算を増やしていただきたいが、厚生労働省、いかがでしょうか。
○大臣政務官(畦元将吾君)
お答えいたします。
医療的ケア児に関する通学支援については、障害者差別解消法に基づく教育機関等による合理的配慮との関係等を踏まえ、文部科学省と連携しつつ取り組む必要があると考えております。
地域生活支援事業の移動支援事業は、地域の実情や利用者の状況に応じても地方自治体が柔軟な形態で事業を展開するものであり、こうした性格から、一部の自治体では通学も含めて移動の支援を行う事例もあると承知しております。
そこで、回答になると思うんですが、地域生活支援事業の国庫補助に係る予算については、毎年増額は図っているところではありますが、引き続き財政支援の充実に努めてまいりたいと思っております。
○委員長(高橋克法君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(高橋克法君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
永岡大臣にお尋ねします。
永岡大臣におかれましては、この親の付添い問題を御理解いただけているでしょうか。
○国務大臣(永岡桂子君)
医療的ケア児を移送して学校まで運ぶということ、大変緊張感がある、また大変厳しいものだと思っております、親御さんがやるということはですね。
先日、私も、特別支援学校でございます、これは光明学園に行ってまいりました。そのときに、校長先生始め親の皆さん方から御意見を伺いましたし、またその実態ですね、医療ケア、医療的ケア児のスクールバスはどうなっていますかというお話になったときに、やはりこれはベッドが2台入る、そういうスクールバスでございましたが、必ずそこには看護師さんがいて、そして運転手さんがいると。で、行きも帰りもその親御さんは行っていらっしゃいといって学園に送り出すと、そういうことでございましたが、やはり校長先生にお聞きしますと、何が足りないといって、看護師さんが、一緒に同乗してくれる看護師さんが足りないというのが一番大きな問題だということでございました。学園の周りのフェンスには看護師募集の本当に大きな横断幕がぐるっと張られていまして、やはり、その対応をしていただける看護師さんの応募というのはやはりどちらでも頭を悩ませているということでございました。
また、お母様からお聞きしたんですけれども、やはりスクールバスの場合は看護師さんが足りないと。あと、やはり学校に、医療的ケア児ではございますがそれほど厳しくない状態の子はスクールバス、普通のスクールバスで通うわけですけれども、初めはお母さんの付添いというものは一か月は要るよと、そういうふうに話を聞きまして、やはり普通の学校に行くのは相当やはり看護師さんの数等を考えますと厳しいものがあるなという、そういう実態を今私の胸の中では思っているところでございます。
○委員長(高橋克法君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(高橋克法君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
永岡大臣にお尋ねします。
自家用車で送迎されている御家族の経費はどうしたらよいのでしょうか。
○委員長(高橋克法君)
答弁できますか。
○政府参考人(藤原章夫君)
自家用車というお話でございますけれども、スクールバスの制度などもございます。そうした諸般の制度の充実などによって対応してまいりたいというふうに考えております。
○委員長(高橋克法君)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(高橋克法君)
速記を起こしてください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
支援の対象はスクールバスだけでなく、文科省でも厚労省でもお金の出どころはどこでもよいです。親の付添いなく学校に着けるよう、必要な財政支援を国として実施していただきたいと考えています。
永岡大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤原章夫君)
通学支援についてでございますけれども、文部科学省におきましては、寄宿舎やスクールバスに要する経費の財政的支援のほか、特別支援教育就学奨励費において通学に要する交通費を支援しているところでございます。具体的には、通学に要する交通費としてタクシーによる送迎も支援の対象とし、その充実を図ってきたところでございます。
今後とも、種々のこうした支援策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○舩後靖彦君
質問を続けます。
次に、公立学校設備の整備についてお尋ねします。
公立学校は、大規模災害時の避難所として地域防災の拠点施設であり、地域コミュニティーのプラットフォームです。さらに、インクルーシブ教育推進のためにも、学校設備のバリアフリー化は必須です。
2020年のバリアフリー法改正に伴い策定された改正学校施設バリアフリー化推進指針では、令和7年度末までの5年間に、緊急かつ集中的に整備を行うための国の整備目標が定められました。それによると、2025年度末までに、全ての学校でスロープなどによる段差を解消すること、全学校の93%に当たる避難所に指定されている学校に車椅子用トイレを設置すること、全学校の41%に当たる要配慮児童生徒などが在籍する学校にエレベーターを設置することと、国の目標値を設定しました。
資料4を御覧ください。
2022年9月1日時点のバリアフリー実態調査の結果を見ますと、バリアフリー化に関する整備計画は25%の設置者しか策定していません。また、校門から校舎までの段差解消、車椅子用トイレは対象となっている学校の8割強、校舎内での段差解消は61%、エレベーター設置は全学校数の29%となっています。目標の2025年度の予定でも、校舎内での段差解消は66.5%、エレベーター設置は全学校の34.2%で、目標の41%に達しません。
大臣、国として設定した目標を達成するために、文科省としてはどのように進めていくおつもりでしょうか。
○国務大臣(永岡桂子君)
お答え申し上げます。
公立小中学校等施設のバリアフリー化につきましては、令和4年の12月に公表した調査結果によりますと、前回の令和2年度の調査から進捗はしているものの、令和7年度末までの整備目標の達成に向けて更なる取組が必要であると考えております。
文部科学省といたしましては、学校施設のバリアフリー化の加速を図るために、学校設置者に対します財政支援やまた好事例の横展開等によりまして、技術的支援、文部科学省ウェブサイトやポスターを通じた普及啓発に取り組むとともに、バリアフリー化に関する整備計画の策定等の取組を要請をしているところでございます。
引き続きまして、障害等の有無にかかわらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができるように、環境の整備に取り組んでまいります。
○舩後靖彦君
ありがとうございます。
文科省が実態調査の結果公表と同時にバリアフリー化の一層の推進について通知を出し、要配慮児童生徒の入学予定情報を早めに収集し、学校施設のバリアフリー化を図ること、要配慮児童生徒の入学予定などが確定していなくとも補助申請の事前相談ができることなどを改めて注意喚起されたことから、文科省の本気度がうかがえると存じます。
しかし、文科省が旗を振っても自治体の動きが鈍い理由は何か、そこに迫っていかないと、旗振りだけでは進まないと考えます。地方自治体からは、実際に掛かる費用に比べ助成額が少な過ぎて、これではなかなか進めにくいという声も聞きます。
昨年の秋、2年半後に就学予定の中学校にエレベーターが設置されることになり、設計段階で国に補助申請を出したところ、実質的な補助が1割ほどしか出ないことが判明した、校舎の外にエレベーター棟を増築してエレベーターを付ける予定だが、エレベーター本体の想定価格の2分の1の補助は出るが、エレベーター棟の増築の附帯工事分の経費が出ないという御相談をいただきました。中学校は北館と南館と2棟あり、当初案では南北1基ずつ、2基設置する予定だったが、国から2分の1の補助がないため1基だけになってしまった、その結果、多目的トイレは南館にしかなく、エレベーターは北館にしかないという不便な造りになってしまうということです。
本補助制度の要綱には、自治体が申請する事業経費の費目には本工事費及び附帯工事費とあります。当然、この自治体は、エレベーター棟の増設費用を含めて経費を申請しましたが、文科省の算定方法にはなぜ含まれないのでしょうか。双方を比較して少ない方の額が助成対象額となるとしたら、実際に掛かる工事費との乖離はかなりの割合になります。当初、国の補助率が2分の1に引き上げられたということで、これで一気にバリアフリー化が進むと期待も大きかったのですが、これでは自治体がなかなか踏み切れない事情も理解できます。
文科省にお尋ねします。申請された各事業に対する配分基礎額の算出方法を工事の実態に合わせて変えていただけませんか。
○政府参考人(笠原隆君)
お答えいたします。
御指摘のありましたエレベーター棟の増設時の費用についてでございますけれども、先生からも御指摘ございましたけれども、今、自治体からの御要望もございますし、今後、補助額の算定に適切に含まれるようにしていくことを考えておりますし、あと同じく、その元々の建築単価の問題もございます。これにつきましても、令和五年度当初予算におきまして、資材費の動向等を勘案しながら、鉄筋コンクリート造の小中学校校舎で対前年度比10.3%増と大幅な見直しも行ってございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、各地方公共団体からの要望を踏まえつつ、必要な支援を図り、公立学校施設のバリアフリー化を推進してまいります。
○委員長(高橋克法君)
時間が来ておりますので、おまとめください。
○舩後靖彦君
代読いたします。
終わります。ありがとうございました。